湖南料理(こなんりょうり):トウガラシを使った激辛料理が有名

※湖南省の街並み

中国では、清王朝末期から中華民国時代にかけ、役人がお抱え料理人を伴って地方へ赴任していました。そのため、中国の各地方では独自の料理が発展していったのです。

『湖南料理の概要』

湖南料理は、四川料理と共に中国内陸部の湖南省で誕生し、中国八大料理の一つとして分類されています。また、湖南省出身の毛沢東は、湖南料理をこよなく愛していました。そのため、中国では湖南料理を「毛家菜(マオジアツァイ)」と呼ぶ事もあるそうです。
世界的には、広東料理や四川料理ほどの知名度はありません。しかし、中国本土の都市には必ず湖南料理の店があるほど、中国人にとってポピュラーな料理だと言えるでしょう。

※湖南料理で使われる赤トウガラシ(イメージ)

『湖南料理の特徴』

湖南料理といえば、トウガラシを使った激辛料理として有名ですが、同じく辛さで有名な四川料理は、「麻辣(マーラー)」という花椒とトウガラシを使います。一方、湖南料理は「酸辣(スワンラー)」というトウガラシと酢を使い、酸っぱくて辛い味付けが特徴です。また、湖南料理の辛さは「鮮辣(シェンラー)」とも言われ、まるでトウガラシをそのまま齧った時のような強烈な風味がします。
辛さの他にも「発酵する、燻製する、ハーブ(香味野菜)を使う」という特徴があり、ここにトウガラシの辛みを加え、たっぷりの油で炒めます。そして、全体をしっかりとした醤油味でまとめて完成です。

※米粉(ミーフェン)のイメージ

また、湖南料理には「米」が欠かせません。湖南省は、タイ米に似た細長い米を主食としており、湖南料理はこの米の味を引き立たせる料理とも言えるでしょう。また、湖南省では米粉(ミーフェン)という米を使った麺が好まれており、その麺を湖南料理独特の醤油ベースと唐辛子の辛みが効いたスープに絡めて食べます。

『代表的な湖南料理』

①酸辣湯(サンラータン)

中国では一般的なスープで、酢と唐辛子、胡椒の香味が融和した味わいが特徴です。四川料理として紹介される事もありますが、本来は湖南料理に属しています。
主な食材はシイタケ、タケノコ、鶏肉、キクラゲ、豆腐、ネギなどです。そこに食塩、醤油、生姜汁を入れて煮込み、さらに酢、唐辛子、胡椒を入れて味付けをします。片栗粉でとろみをつけ、最後に溶き卵を入れて完成です。

②剁椒鱼头(ディオ・ジャオ・ユー・トウ)

剁椒(ディオ)とは、刻んだ唐辛子をニンニク、生姜、砂糖、塩などに5日ほど漬け込んだ発酵調味料です。この調味料と川魚の頭を使い、蒸し焼きにします。
まずは、魚の頭を剁椒(発酵調味料)、豆鼓、刻んだネギ、ニンニク、生姜、酒、塩で味付けし、蒸します。川魚独特の臭みは、酸味と辛みの絶妙なバランスによって消され、全く気になりません。また、川魚の身がとても柔らかいので、一度食べたら忘れられない味と言われています。出汁の効いたスープに茹でた麺を絡めて食べるのも、おすすめのようです。

③臭豆腐(シュウドウフ)

豆腐を加工した食品で、その強烈な臭いから臭豆腐と呼ばれています。湖南省出身の毛沢東は、この臭豆腐を好んで食べていたようです。現在では、中国全土で食べられていますが、好みは大きく分かれます。
以前は、野菜などと一緒に一週間ほど漬け込んで作っていましたが、発酵の状態を管理するのが難しく、現在では納豆菌と酪酸菌で発酵させた汁に漬け込む方法が主流になりました。また、湖南省の臭豆腐は、豆鼓を使用しているため、真っ黒なのが特徴です。
臭豆腐の本場である長沙では、カリッと上げた臭豆腐にニンニクの効いたタレをかけます。

④毛氏紅焼(マオシーホンショオロウ)

紅焼肉(ホンショオロウ)は、中国の代表的な家庭料理の一つです。毛沢東が好んでいた事から、料理名に「毛氏」が付いたと言われています。
皮が付いた豚バラ肉を醤油と砂糖でじっくり煮込むため、トロッとした食感になります。脂身が多いので脂っこく見えますが、実際はほぼコラーゲンを食べているような状態なので、お肌にも良さそうです。
湖南料理は辛いというイメージがありますが、毛氏紅焼肉は甘みと醤油の風味が特徴なので、辛い料理が苦手な人にもおすすめです。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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