• HOME
  • 記事
  • アジア ,
  • 山東料理(さんとうりょうり):北京の宮廷料理のルーツとされ、素材本来の旨味を活かした繊細な料理

山東料理(さんとうりょうり):北京の宮廷料理のルーツとされ、素材本来の旨味を活かした繊細な料理

※山東省青島市の街並み

山東料理(さんとうりょうり)は、中国の山東省で発祥しました。中国四大料理(四大菜系)や中国八大料理(八大菜系)に分類され、北京料理の原型とも言われています。現在の山東省南部は、紀元前の頃には「魯国(ろこく)」であった事から、「魯菜(るーつぁい)」とも呼ばれてきました。そんな山東料理の歴史と特徴について、詳しく解説していきましょう。

※曲阜市にある孔子廟

◆山東料理の歴史

山東料理は、紀元前8~紀元前3世紀の春秋戦国時代に存在した「斎国」と「魯国」が起源とされています。この地域は、中原(黄河中下流域の平原)の農村地帯と黄海の漁村があるため、昔から豊富な食材を手に入れる事が出来たのです。また、山東省曲阜市(きょくふし)の中心部には、孔子を祭祀する中国最大規模の孔子廟(こうしびょう)があります。山東料理は、孔子に捧げる料理を作るために独自の調理法を生み出していきました。
秦、漢時代になると、急速に経済や文化が発展していきます。それは料理も例外ではなく、当時の料理人たちは様々な食材を使用して技術を高めていきました。
北宋時代(960年~1127年)になると、山東料理は「北方料理」の代表格として知られるようになります。そして、次第に北京、天津、塘沽(たんく)や東北三省へ広がり、北京料理の原型となっていったのです。
そして、元、明、清の時代になると、山東料理は北京の皇帝から注目され、宮廷料理として採用される事になりました。宮廷の調理場には、高い技術を持った山東省出身の料理人が集められ、山東語でコミュニケーションを取っていたそうです。その後、宮廷料理は山東料理の影響を強く受けながら、益々発展していきました。

◆山東料理の特徴

山東料理の発祥地である山東省周辺は、海、淡水、農地などに恵まれているため、食材が豊富です。
山東料理は、やや塩辛い味付けと柔らかい歯ごたえ、食欲をそそる香辛料の匂いが特徴で、スープは透明なコンソメベースの清湯(ちんたん)、芳醇な牛乳ベースの奶湯(ないたん)の2種類がよく使われます。また、鮮やかな彩りと繊細な調理方法も、山東料理の特徴と言えるでしょう。

※山東省にあるシーフードショップ

・山東料理の主な材料

海産物…ナマコ、フカヒレ、アワビ、ホタテ、エビ、ハマグリ、鯛、カニなど
淡水魚…鯉など
肉…豚肉、鶏肉、アヒルなど
野菜…白菜、ニンニク、さつまいも、蓮、ネギ、ショウガなど

・山東料理の分類

山東料理は、地域によって使用する材料や調理方法が異なり、現在は主に3つの系統に分類されています。

①『済南料理(さいなんりょうり)』

済南料理は、山東省西部の済南市(歴城区)で発祥。その後、徳州、泰安などで発展しました。黄河が流れる肥沃な平原地帯である済南市には、章丘(しょうきゅう)ネギ、長清(ちょうせい)クルミ、莱蕪(らいぶ)黒豚などの名産品があります。また、内陸地であるため、豚肉料理、淡水魚料理、スープ料理が発展していきました。

「済南料理の主な調理方法(濃い味付けが特徴)」
爆(バオ)…強火で一気に加熱する
焼(シャオ)…あぶり焼き、または揚げたものを煮込む
扒(パー)…弱火でじっくり煮込む
炸(ジャ)…食材の大きさや形を揃え、均一に揚げる
炒(チャオ)…短時間かつ、少ない油で加熱する

※九転大腸

「済南料理の代表的メニュー」

・九転大腸(大腸の旨煮)
豚の大腸を煮込んだ料理で、甘辛くスパイシーな味わいが特徴。

・糖醋黄河鯉魚(コイの丸揚げあんかけ)
鯉を丸ごと揚げ、甘酸っぱい餡をかけた料理。

②『膠東料理(こうとうりょうり)』

膠東料理は、山東半島先端に位置する膠東地方の福山(現在の煙台市)で発祥。海に面しているため、多くの魚介類を使用するのが特徴です。また、冬も穏やかな気候なので、リンゴ、ナシ、ブドウ、ブルーベリーなどの栽培も行われています。

「膠東料理の主な調理方法(淡白で軽やかな味付け、形にこだわった包丁捌き、繊細な色合いが特徴)」
焼(シャオ)…あぶり焼き、または揚げたものを煮込む
蒸(ゼン)…食材を蒸し器で蒸す

※扒原壳鲍鱼

「膠東料理の代表的なメニュー」

・扒原壳鲍鱼(あわびのあんかけ)
あわびを柔らかく煮込み、旨味のあるスープをかけた料理。

・葱烧海参(ナマコとネギの煮込み)
肉厚のナマコに塩気のある濃厚なスープを閉じ込めた料理。

③『曲阜料理(きょくふりょうり)』

曲阜料理は、孔府(孔子の故郷)のある曲阜市周辺で発展。孔子に捧げるための料理として始まり、中国の食文化を語る上で重要な料理と言えるでしょう。一方、曲阜料理は家庭料理としても広がり、お粥やパンケーキなど、親しみやすい料理として知られるようになりました。

『Confucian Cuisine in Jining: ancient dishes served in a modern city』

「曲阜料理の代表的なメニュー」

・祭典料理

寿字鸭羹(鴨のスープ)
鴨胸肉、マッシュルーム、タケノコを使用したまろやかな味わいのスープ。中央に祝い文字を書くのが特徴です。

翡翠虾环(エビとキュウリの炒め物)
鮮やかな彩りと、軽やかな味わいが特徴。

・家庭料理

一品豆腐(具材たっぷりの蒸し豆腐)
細かく切った野菜に調味料を混ぜ入れ、豆腐と一緒に蒸し上げる料理。栄養価が高く、調理も手軽なため、一般家庭において人気があります。

※木须肉

木须肉(豚肉とキクラゲの卵炒め)
豚肉や鶏肉、キクラゲを卵と醤油ベースの味付けで炒めた料理。

◆終わりに

山東料理は、山東省周辺で発祥した中国の代表料理です。その立地から食材に恵まれ、繊細な包丁飾りなど、調理技術の高さも有名でしょう。そんな山東料理をぜひ堪能してみてはいかがでしょうか。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

関連記事一覧