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浙江料理(せっこうりょうり):東シナ海や銭塘江(せんとうこう)流域で獲れる水産物の恵みを受け、発展した料理

※浙江省杭州市の街並み

浙江料理(せっこうりょうり)は、中国の浙江省で発祥した料理です。中国八大料理(八大菜系)の一つで、「浙菜(ぜーつぁい)」や「浙江菜(ぜーじぃぁんつぁい)」とも呼ばれてきました。そんな浙江料理の歴史と、特徴について詳しく解説していきましょう。

◆浙江料理の歴史

浙江省は、東シナ海に面した中国東部の地域です。北側に上海市がある事から、沿岸部でも経済的な発展を遂げました。
呉、越の春秋時代には、会稽(現在の紹興市)に都が置かれ、農産業の発展と共に新しい料理も誕生。その後、温州(おんしゅう)と寧波(ねいは)が貿易や海運業の重要拠点になると、次第に調理技術も洗練されていきます。
その後、南宋の時代(12世紀~13世紀頃)に都が杭州(こうしゅう)へ移り、中国北部から多くの料理人が働きに来ました。様々な技術を持つ料理人が集まった事、山海の豊富な食材が手に入った事が重なり、浙江料理は多彩な広がりを見せます。浙江料理の代表的なメニューは、この時代に考案された物が多いのです。

※浙江省を流れる河川「銭塘江」

◆浙江料理の特徴

浙江料理では、東シナ海の豊富な海産物をはじめ、銭塘江(せんとうこう)や周辺流域で獲れる淡水魚、川エビなどを味わう事が出来ます。また、古くから栽培されてきた野菜も、料理の幅を広げる食材の一つです。
この地域は、海、川、山の食材に恵まれた環境であったため、食材本来の味を大切にしてきました。そのため、塩気のあるさっぱりとした味に仕上がっています。
また、鮮やかな盛り付けも浙江料理の特徴でしょう。料理人たちは、浙江省の豊かな景観をヒントにして彩りを考えたそうです。主な調理法には、煮物、炒め煮、揚げ物、蒸し物、あんかけなどがあります。

・浙江料理の主な材料

海産物…エビ、カニ、ナマコ、イカなど
淡水魚…草魚(そうぎょ)、田鰻(たうなぎ)、鳜魚(けつぎょ)、鯉など
肉…豚肉、鶏肉、アヒル、フォアグラなど
野菜…タケノコ、シイタケ、大根、マコモダケ、雪菜、マッシュルーム、キュウリ、大豆など
その他…ワイン、紹興酒、茶葉など

・浙江料理の分類

浙江料理は、地域によって使用する材料や調理技術が異なります。主に分類されている4つの系統についてご紹介しましょう。

①『杭州料理(こうしゅうりょうり)』

杭州料理は、浙江省北西部の杭州で発祥し、浙江料理の代表格と呼ばれています。古くから、杭州には皇帝や文化人が集まり、景色と料理を楽しんでいました。そして、次第に街の文化や料理は発展していき、多くの名物料理が生まれていったのです。
また、旬の野菜や野草などの豊富な食材を活かした、細やかな調理方法を得意としています。

「杭州料理の代表的なメニュー」

・西湖醋魚(草魚の甘酢あんかけ)
主に西湖で獲れる草魚に黒酢をかけた料理。黒酢を使う事で甘みと酸味が抑えられ、やさしい味わいになっています。

・龍井蝦仁(川エビの龍井茶炒め)
川エビと龍井茶を炒めた爽やかな料理。
龍井茶とは、色、香り、味わいの3つが整った浙江省龍井産の緑茶葉です。

②『温州料理(おんしゅうりょうり)』

温州料理は、浙江省南東部の温州で発祥しました。古くから商才に長けていた温州の人々は、現在も世界各地で活躍しています。
そんな温州は、東シナ海に面しているため、新鮮な海産物を使用した海鮮料理が名物です。

「温州料理の代表的なメニュー」

・温州灯盞糕(豚と大根の包み揚げ)
大豆や米などから生地を作り、そこに豚と大根の餡を入れて揚げた料理。
温州地方の代表的なスナックです。

③『紹興料理(しょうこうりょうり)』

紹興料理は、浙江省南東部の紹興市で発祥しました。この地域の名物といえば、米などを原料とした醸造酒「紹興酒」です。現地では、鑑湖の水で仕込む事から「鑑湖名酒」とも呼ばれ、料理にもよく使用されています。
また、淡水魚、水鳥、家禽を使った調理の技術が高く、柔らかくて口当たりの良い食感と濃い味わいのスープが特徴です。

「紹興料理の代表的なメニュー」

・青唐越路(鶏肉の紹興酒蒸し)
鶏肉、ハム、タケノコ、キノコなどを紹興酒と調味料で蒸した料理。柔らかい肉と旨味たっぷりの澄んだスープは、味わい深く、やさしい口当たりです。

・紹興臭豆腐(発豆腐のスパイシー仕立て)
豆腐を野菜などの汁に漬けた後、油で揚げ、そこに辛味ソースをかけた料理。約千年もの長い歴史を持つ家庭料理として親しまれています。

『浙菜暗黑料理三臭之一紹興臭豆腐中國進行式20200926』

④『寧波料理(ねいはりょうり)』

寧波料理は、浙江省東部の寧波市で発祥しました。沿岸地方のため、新鮮な魚介類を使用した塩味が特徴です。素材本来の味わいや新鮮さを重視しており、蒸し、焼き、見込みなどの調理方法を得意としています。

「寧波料理の代表的なメニュー」

・冰糖甲鱼(スッポンの旨煮)
スッポンをじっくり煮込み、もちもちとした食感に仕上げた料理。甘辛くてコクのある味わいが特徴です。

・寧波湯団(ゆで団子)
餅の中に黒ゴマ餡を入れてゆでたデザート。

『淘最厨房19 宁波汤团店宁波汤圆』

◆終わりに

浙江料理は、浙江省周辺で発祥した中国の代表料理です。南宋時代、浙江省に都が置かれた事で、大きな発展を遂げました。東シナ海に面している地域の特性が浙江料理の方向性を決定付けたと言えるでしょう。そんな浙江料理をぜひ堪能してみてはいかがでしょうか。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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