ロビン・ウォレン:ピロリ菌の発見により胃炎や胃潰瘍の原因を証明した病理学者

ロビン・ウォレンはオーストラリアの病理学者です。『ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の発見と胃炎や胃潰瘍における役割の解明』で2005年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。ピロリ菌に関する彼の研究は胃潰瘍の治療をはじめ、胃がんの予防などにも役立っています。そんなロビン・ウォレンの受賞までの道のりについて詳しく解説していきます。

◆幼少期、学生時代

ロビン・ウォレンは、1937年6月11日に南オーストラリア州にあるアデレードという街で生まれました。学生時代をウェストボーンパークスクール(Westbourne Park Primary School)、セント・ピーターズ・カレッジ(St Peter’s College)で過ごし、読書が好きだった彼は古典的なものから冒険物語、そして科学に関する本をたくさん読んでいました。スポーツはあまり得意ではありませんでしたが、自転者で街を周遊したり風景写真を撮ったりとマイペースに遊んでいたそうです。1955年にアデレード大学医学部に進学し、1961年に医学士と理学士の学位と医師免許を取得。翌年には医学獣医学研究所の研修医となりました。

◆受賞に至るまでの逸話など

1963年、ウォレンはロイヤルアデレード病院で病理学の名誉臨床助手と血液学の名誉登録官に任命されます。その後ロイヤル・メルボルン病院に移り仕事を続け、1967年にはロイヤルパース病院の上級病理学者として迎え入れられました。1981年になると研修医として働いていたバリー・マーシャルに出会い、二人は共同でらせん状微生物の研究を開始します。翌年彼らは胃炎や胃潰瘍の患者から新種のらせん状細菌を発見し、培養してその生体や特徴を調べました。その結果胃炎などの原因となっている『ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)』であるということを突き止めますが、「強い酸で満たされている胃の中で何日も細菌が生きられるはずがない」と世間は聞き入れなかったのです。そこで彼らはピロリ菌感染が直接の原因であると証明するため、マーシャルが菌の培養液を飲みウォレンがその状態を記録するという驚きの検証を行いました。培養液を飲んでから5日後、マーシャルに膨満感や食欲低下、嘔吐といった症状が現れ、内視鏡検査を行うと急性胃炎を発症していることが判明。もともと胃に問題がなかったマーシャルに症状が現れたことで結果が証明され、ヘリコバクター・ピロリの存在がようやく認知されるようになりました。そしてこの功績が讃えられ、2005年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。この発見のおかげでピロリ菌を除菌すれば胃潰瘍などの再発を減少できることが分かり、胃がんなどの発症も予防できるようになりました。ウォレンとマーシャルの研究は、現在も多くの治療や予防に役立っているのです。

◆おわりに

ピロリ菌の存在や病気との関連について研究し、医療の進化に大きく貢献したロビン・ウォレン。胃の病気はストレスや食生活の乱れが原因とされていましたが、彼とマーシャルが研究を行ったことでピロリ菌の治療法が確立され今も多くの人が救われています。彼らが体を張った実験をしていなければピロリ菌の存在はいまも明らかになっていなかったかもしれませんね。世間から否定されても研究を続けたその信念に心から敬意を表したいと思います。

出典:(Wikipedia、RobinWarren)(7,2021)
(THE NOBEL PRIZE、warren)(7,2021)

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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