アンドリュー・Z・ファイアー:RNAiの発見により大きな可能性を開いた生物学者

アンドリュー・Z・ファイアーはアメリカの生物学者です。『RNAi (RNA interference:RNA干渉)の発見』で2006年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。彼の発見は生物学的研究に影響を与え、人間の疾患治療に大きな可能性をもたらしました。そんなアンドリュー・Z・ファイアーの受賞までの道のりについて詳しく解説していきます。

◆幼少期、学生時代

アンドリュー・ファイアーは、1959年4月27日にアメリカのカリフォルニア州にあるパロアルトという街で生まれました。一般教育をホレンベック小学校(Hollenbeck Elementary School)、マンゴー中学校(Mango Junior High School)、フリーモント高校(Fremont High School)で過ごし、高校卒業後はカリフォルニア大学バークレー校に進学します。19歳で数学の学士号を取得した彼はその後マサチューセッツ工科大学に行き、遺伝学者フィリップ・シャープのもとで学びながら生物学の博士号も取得しました。

◆受賞に至るまでの逸話など

大学卒業後、ヘレン・ヘイ・ウィットニー財団(Helen Hay Whitney Foundation)の博士研究員としてイギリスのケンブリッジに移った彼は、生物学者シドニー・ブレナー率いるMRC分子生物学研究所のメンバーになりました。そこでマイクロインジェクション技術(微小ガラス管を用いてDNAなどを細胞内に注入する方法)の改良と、線虫の外来DNAに関する研究を開始します。
1986年から2003年にかけてはカーネギー協会のスタッフとして働き、マサチューセッツ大学で学者のクレイグ・メロー教授とともにDNA形質転換技術の開発と筋細胞における遺伝子活性化の分子基盤について研究を始めました。その中で2本の鎖からなるRNAを特別に設計することにより、標的遺伝子の発現を抑えることができると気づきます。このRNA分子は、関連分子DNAの有名な二重らせん構造に似た二本の鎖からなります。二本鎖RNA分子の一本の鎖はセンスRNAであり、構造遺伝子の配列は標的遺伝子のヌクレオチド配列と同じです。アンチセンスRNAとして知られるもう一方の鎖は、標的遺伝子の配列と相補的な配列を持っています。二本鎖分子が生物に導入されると、メッセージ伝達プロセスを妨げ、遺伝子をシャットダウンするのです。
これらの現象はRNAi(RNA interference:日RNA干渉)と呼ばれ、遺伝子機能探索のための技術として細胞や個体でも応用が可能であり、創薬に繋がる大きな可能性を秘めています。ファイアーらは以前から報告されていた一本鎖RNA (single-stranded RAN) によるRNA干渉よりも、二重鎖RNAの方がより効率的に遺伝子発現を抑制することを発見しました。そしてこの功績が高く評価され、ファイアーはクレイグ・メローとともにノーベル生理学・医学賞を受賞。ノーベル賞の他にもマイエンブルク賞(Meyenburg Prize)、ローゼンスティール賞(Rosenstiel Award)、ガードナー国際賞(Canada Gairdner International Award)、マスリー賞(Massry Prize)などを受賞しています

◆おわりに

RNAiを発見し遺伝子研究や医学の進歩に大きく貢献したアンドリュー・Z・ファイアー。研究の成果が出てから10年以上経ってノーベル賞を受賞することが多い中、彼らはRNAiの発見からわずか8年で受賞しており、どれだけすごいことを成し遂げたのかがよく分かりますね。ファイアーは2012年以降、スタンフォード大学医学部病理学および遺伝学の教授にもなっています。

出典:(Wikipedia、AndrewFire)(7,2021)
(THE NOBEL PRIZE、fire)(7,2021)

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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