ジェームズ・P・アリソン:新たながん治療の基礎を築いた免疫学者

ジェームズ・P・アリソンはアメリカの免疫学者です。『免疫チェックポイント阻害因子の発見とがん治療への応用』で2018年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。彼の発見をもとにがんに対する新しい治療法が確立されています。そんなジェームズ・P・アリソンの受賞までの道のりについて詳しく解説していきます。

◆幼少期、学生時代

ジェームズ・P・アリソンは、1948年8月7日にアメリカのテキサス州にあるアリスという街で生まれました。アリソンは中学のとき数学教師の影響を受け科学の道に進み、テキサス大学オースティン校で行われた夏の科学トレーニングプログラムに参加しました。高校では生物学を学び、その後テキサス大学で微生物学の学士号を取得しています。彼は幼い頃に母親と叔父をがんで失っており、母の寝たきりの姿や、放射線治療によってできた首の火傷など痛々しい記憶がずっと残っていたといいます。

◆受賞に至るまでの逸話など

アリソンは1974年から1977年までカリフォルニア州にあるスクリプス研究所(The Scripps Research Institute、略称:TSRI)で、ポスドクと呼ばれる任期付き研究員として働きました。彼はそこで腫瘍免疫学者のラルフ・ライスフェルト博士(名誉教授)から訓練を受け、ヒト白血球抗原(HLA)とT細胞について研究し、免疫系が侵入者と自己を区別できるようにする『HLAタンパク質』の役割を調査しました。1985年にはカリフォルニア大学バークレー校の免疫学教授および癌研究所所長に任命されT細胞応答のメカニズムを解明するための研究を行い、『CTLA-4』というタンパク質がT細胞応答を制限する阻害分子として機能することを示しました。1996年になるとこのT細胞阻害分子(CTLA-4)の抗体遮断が抗腫瘍免疫応答と腫瘍拒絶反応の増強につながる可能性があることを初めて明らかにしました。
抗腫瘍免疫応答を解き放ち、臨床的利益を引き出す方法としてT細胞阻害経路を遮断するというこの概念は、T細胞阻害経路を標的とする薬剤開発の基礎を築きました。この研究は最終的に「イピリムマブ(商品名:ヤーボイ)」の開発につながり、イピリムマブは2011年に転移性メラノーマ(悪性黒色腫)の治療薬としてアメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration、略称:FDA)に承認されています。
2004年になるとアリソンはメモリアル・スローン・ケタリング癌センターで多くの患者の治療に成果を出すようになり、これらの功績が認められ彼は2018年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。ノーベル賞以外にもウィリアム・コーリー賞、ガードナー国際賞、ルイザ・グロス・ホロウィッツ賞、ウォーレン・アルパート財団賞なども受賞しています。

◆おわりに

細胞の役割について研究し、がんの新たな治療法を確立したジェームズ・P・アリソン。彼の出した成果はがんと闘う人々の大きな希望となっています。アリソン自身も幼い頃家族をがんで亡くしているため、そのときの思いが彼の中で「患者を救いたい」という気持ちに繋がったのかもしれませんね。

出典:(Wikipedia、JamesP.Allison)(7,2021)
(THE NOBEL PRIZE、allison)(7,2021)

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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