パイ:サクサクした食感が楽しい菓子にもおかずにも万能な料理

パイは、小麦粉を使用した生地を伸ばし、クリームや果物、野菜、肉などを包んで蒸し焼きにした料理です。中に入れるものによって菓子にもなり、おかずにもなります。サクッと歯切れがよく、食べ応えのあるボリュームが特徴です。
そんなパイの歴史と特徴について詳しく紹介していきます。

パイの歴史

パイはもともと古代ギリシャ、ローマ時代に考案され、果物や肉の本来の味を逃がさないように小麦と油脂の生地で包んで焼いたことが発祥とされています。そして、古代エジプトでは「ウテン・ト」、中近東では「バクラバ」と呼ばれるようになりました。
文献では1303年のイギリス、ボルトン修道院の出納帳が最も古い記述です。当時のイギリスのパイは、かまどでの長時間調理に耐えられるように硬く厚く作られていたため、食用には適していませんでした。
一方、フランスでは14世紀に肉や魚、野菜、果物をパイ生地で包んで焼くパイ料理「パテ」が考案されています。
16世紀になってオーブンが進歩すると、イギリスでもパイ生地ごと食べるレシピが出来ました。次第に世界各地にパイは広まり、甘い菓子からおかずの1品になる料理まで様々なアレンジが加えられるようになります。

パイの特徴

パイは、小麦粉ベースで作るパイ生地に具材を包んで作る料理です。パイ生地の中にはバターが多く含まれており、薄い生地の層とバターの層を規則正しく重ねることで、サクサクした独特の食感を楽しむことができます。
パイ生地を作る途中で温まってしまうと軽い食感が損なわれるため、技術が必要な料理ともいえます。近年では出来上がったパイ生地が冷凍販売されているため、家庭でもメニューに取り入れやすくなりました。

・パイ生地の主な材料

パイ生地の材料は主に小麦粉や塩、バターやマーガリンなどの油脂、水です。小麦粉には強力粉と薄力粉を合わせます。一般的には、強力粉が50~80%、薄力粉が20~50%くらいのバランスで作られています。

・パイ生地の主な調理法

パイの調理法は、層の重ね方によって2種類に分類されます。共通の注意点としては、パイ生地を作る工程で生地を低温に保つことです。

「折りパイ」

別名「フィユタージュ」とも呼ばれる作り方です。何層にも折りたたむので、ボリュームのある膨らみとサクサクとした食感になります。
はじめに、油脂(バターやマーガリン)を冷やしておきます。その間に、ふるいにかけた小麦粉に水と塩を混ぜたら、溶かしたバターを加えてひとまとまりにし、1時間ほど冷蔵庫で寝かせます。麺棒を使い生地を四角に伸ばしたら、冷やした油脂を包み込んで引き伸ばします。
生地を折りたたみ少し休ませて、再度引き伸ばします。伸ばして折りたたむ工程を繰り返し、冷蔵庫で数時間寝かせたらパイ生地の完成です。

「練りパイ」

練りパイの中でもさらに2種類に分かれており、砂糖を加える甘い生地を「パータシュクレ」、砂糖を加えない甘くない生地を「パータブリゼ」と呼んでいます。
あらかじめ油脂(バターやマーガリン)を冷やし小さくカットしておきます。ふるいにかけた小麦粉に水と塩を混ぜたら、小さくカットしたバターを加えてひとまとまりになるまで素早く混ぜます。まとまりがでてきたら麺棒で伸ばし、冷蔵庫で数時間寝かせたらパイ生地の完成です。

・パイを使った代表的な菓子

「アップルパイ」

リンゴを使用したパイで、国によって形状や味は様々です。
一般的に知られている円形のパイは、アメリカンスタイルとして知られています。

「パンプキンパイ」

かぼちゃのフィリングや甘く煮たかぼちゃペーストを包んで焼いたパイ。
晩秋から初冬にかけてハロウィンや感謝祭、クリスマスなどのお祝いの席で食べられています。

「チェリーパイ」

生または砂糖で煮たサクランボを包んだパイ。
世界的にヒットしたテレビドラマ「ツイン・ピークス」の主人公クーパー捜査官の大好物としても知られています。

「ミンスパイ」

ドライフルーツから作るミンスミートを詰めたパイ。
東方の三博士がイエスキリストの誕生を祝って捧げた食べ物が起源と考えられており、クリスマスに食べる風習があります。

「ミルフィーユ」

フランス発祥のパイで、焼いたパイ生地とクリームを重ね、表面に粉砂糖をかけます。別名「ナポレオンパイ」としても知られています。

「レモンパイ」

メレンゲやクリームにレモン果汁で味付けし、パイ生地に乗せて食べる菓子。
日本や西洋で親しまれています。

「ミシシッピーマッドパイ」

チョコレートを混ぜたパイ生地で、チョコレートプディングをはさんだ菓子。
アメリカ全土で親しまれており、アイスクリームと共に提供されるのが一般的です。

・パイを使った代表的な料理

「ステーキ・アンド・キドニー・パイ」

細切りの牛肉と牛やラムなどの腎臓、炒めた玉ネギ、グレイビーソースを詰めたパイ。
イギリスの代表的な料理の1つです。

「ミートパイ」

味付けしたひき肉(主に牛肉)やミートソースを包んだパイ。
イギリスをはじめ欧米各国で親しまれています。

「キッシュ」

フランスのアルザス=ロレーヌ地方の郷土料理として知られているパイ。
器をかたどったパイ生地にひき肉や生クリーム、野菜、チーズなどをたっぷりとのせてオーブンで焼き上げます。

「スターゲイジー・パイ」

大型のサーディン、卵、ジャガイモを包んで焼いたパイ。
イギリス、コーンウォールの漁村には、嵐の中漁に行き飢餓を救った漁師トム・バーコックの伝説があります。トムを称えて12月23日に食べるようになった料理がスターゲイジー・パイです。

「ポットパイ」

底と上面をパイ生地で包み、皿で成形してからオーブンで焼いたパイ。
耐熱容器にスープやシチューを入れて、上面だけパイ生地で蓋をして焼いたものを指します。

終わりに

パイはフルーツや肉類を生地に包んで焼いた料理で、世界中で様々なメニューが生み出されています。サクサクした軽い食感が特徴で、どんな具材でも味の邪魔をすることはありません。最近では冷凍のパイ生地も販売されていますので、是非自分だけのパイを作ってみてはいかがでしょうか。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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