ナタリー・コール:グラミー新人賞を受賞した栄光のシンガー

ナタリー・コールは1976年に初めてグラミー賞のFemale R&B Vocal Performance部門を受賞して以来、長年グラミーの様々な賞を受賞してきたアーティストです。デビュー曲の『This Will Be』は彼女の栄光の扉を開いた曲であり、今なおたくさんの人々に愛されています。父であり“キング”の愛称で知られる歌手、ナット・キング・コールとの幾度かの共演も話題を呼びました。そんな彼女には不遇な時代もありましたが、それも乗り越えて復活を果たした経歴はとても魅力的です。

◼︎ナタリー・コールとは

ナタリー・コールは1950年にアメリカのロサンゼルスで生まれました。父親は“キング”の愛称で知られるアーティスト、ナット・キング・コールであり、その才能を十分に受け継いだ彼女は幼少の頃から圧倒的な才能を発揮していました。その歌声は、子供のものとは思えないほど完成されていたそうです。

そして1975年『This Will Be』でデヴューした彼女は、いきなり大きなヒットを記録します。ビルボード・チャートで第6位を記録し、グラミー賞で新人賞と最優秀R&B女性ボーカル賞を受賞し、華々しいデビューとなりました。

また、1976年には日本を訪問するなど、国外での活躍も話題を集めました。その翌年、1977年には代表曲となる『I’ve Got Love On My Mind』を発表。この曲も総合チャートで第5位、R&Bチャートで第1位を獲得します。1970年代はナタリー・コールの黄金時代であり、彼女の活躍に世界中の音楽ファンが注目していました。

しかし、1980年代に入ると人気に陰りが見え始めます。売り上げ枚数が減少し一時期は音楽活動を休止するところまで追い詰められた上に、薬物中毒になってしまうなど、公私共に不遇な時代を過ごしました。デビューの当時の華々しさとは打って変わって、辛い状況が続きます。

※ナット・キング・コール

しかし彼女はそこで終わりませんでした。1988年に発表した『Pink Cadillac』が大きなヒットを記録し、かつての人気を回復します。1989年に発表した楽曲も全米チャート7位、全英チャートで2位を獲得し、往年の名声を着実に取り戻していきました。そして1991年には偉大なミュージシャンである父親、ナット・キング・コールのカバー集『Unforgettable… with Love』を発表します。このアルバムは全米ポップチャート首位を5週間連続で獲得し、グラミー賞最優秀アルバム賞も受賞しました。

華やかな活動を続けてきたナタリー・コールですが、2015年に65歳でこの世を去りました。その訃報に世界中のファンが悲しみ哀悼の意を示しましたが、彼女が残した音楽はこれからも輝きを放ち続けます。そんな、ナタリー・コールの代表的な作品を紹介していこうと思います。

◼︎ナタリー・コールの代表作

ナタリー・コールといえば、ジャズ・ソウルのスタンダード・ナンバーを多く生み出したことで有名です。デビュー曲の『This Will Be』は発表当時から変わらずジャズ・ソウルの名曲として愛され続け、オーバーダビングによって亡き父と“共演”を果たした名曲『Unforgettable』も彼女を語る上では欠かせない作品でしょう。そして1996年に発表されたアルバム『Stardust』は、彼女のミュージシャンとしての魅力が凝縮されています。

・ This Will Be(ジス・ウィル・ビー)

『This Will Be』は彼女のデビュー曲です。この曲でデビューしてすぐに大ヒットを記録したため、彼女のアーティストとしての道を示してくれた作品と言えるでしょう。のちに様々なアーティストにカバーされるなどして、長い間ずっと愛され続けています。『This Will Be』は、ジャズ・ソウルの名曲として語り継がれ、深くしっとりとしたメロディーと、ウィットに富んだ歌詞の内容に心を掴まれること間違いありません。初めてナタリー・コールの作品を聴くなら、まずはこの曲から入ることをお勧めします。

・Unforgettable(アンフォゲッタブル)

『Unforgettable』はもともと父ナット・キング・コールが歌っていた歌で、1951年にブルックリン出身のソングライター、アーヴィング・ゴードンによって作曲されました。ナタリー・コールによるカバーヴァージョンは1991年に発表され、音源のオーバーダビング(重ね録り)によって父と娘が共演しているかのようなアレンジが施されました。このカバーは世間から脚光を浴び、翌年のグラミー賞でソング・オブ・ザ・イヤーを受賞します。そしてタイトルの通り、まさに忘れられない名曲となり、その後も大勢のアーティストにカバーされ続けています。

・Stardust(スターダスト)

『Stardust』は1996年に発表されたアルバムです。通算で3枚目のアルバム作品にして、彼女の代表作となった作品でもあります。19曲、合計で約78分分の曲が収録されていますが、その長さを感じさせないほど魅力的な曲ばかりで、ナタリー・コールを聴くならこのアルバムを避けては通れません。

また表題曲の『Stardust』は誰もが知る定番であり、今でも様々な場所でカバーされています。優しいギターの音色と心地よく広がってゆく彼女の歌声が、静かな夜のような安心感を与えてくれます。またこのアルバムを通して聞けば、彼女の歌唱力や音楽性の幅広さに没入してしまうことでしょう。

◼︎おわりに

デビューから華々しい活躍をしてきたシンガー、ナタリー・コールの経歴や代表作品を紹介してきました。父もミュージシャンで、デビュー作からいきなりグラミー賞を受賞するなどの華やかな活躍ぶりが注目を浴びがちですが、そんな彼女にも不遇な時代はあったのです。そんなナタリー・コールの力強くメロウな歌声に、体と心を委ねてみてはいかがでしょうか?

『This Will Be』

『Stardust』アルバム

『Unforgettable』 ライブ映像

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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