カウント・ベイシー:アメリカを代表するビッグバンドの巨人

ビッグ・バンド、スウィング・ジャズを代表するジャズピアニスト、カウント・ベイシー。1977年にグラミー賞Best Improvised Jazz Solo賞を受賞した『Basie & Zoot』の、洗練された音楽性は多方面から高い評価を獲得し、彼の活躍ぶりは音楽史に刻まれました。ビッグ・バンドでは持ち前の統率力や抜群のセンスでメンバーを率いて、時代を超え愛される普遍的な音楽を生み出してきました。そんなジャズ界の巨人、カウント・ベイシーの経歴や代表曲を紹介します。

◼︎カウント・ベイシーとは

カウント・ベイシーは1904年にアメリカのニュージャージー州レッドバンクで生まれます。彼はジャズのひとつのメインストリームとも言える、スウィング・ジャズやビッグ・バンドで活躍し、時代ごとに「オールド・ベイシー」もしくは「ニュー・ベイシー」と呼ばれていました。そして現在でも、彼らの圧倒的な音楽の数々は世界中の人々に愛されています。

そしてカウント・ベイシーと言えば「ワンノート・スタイル」と呼ばれるピアノを弾くというよりは、叩くような演奏スタイルが有名です。ピアノの鍵盤を弾くのを最小限に抑え音1つ1つの音色という側面をより強調させ、その曲の持つ魅力をどんどん昇華させていきました。

そんなカウント・ベイシーは母親からピアノを教わり、1924年にプロの演奏家として活動を始めました。そして、仕事でカンザスを訪れた際に多くのジャズ・ミュージシャンに出会ったことが、彼の人生を一転させたきっかけでした。

ベーシストのウォルター・ペイジ率いるバンド「ブルー・デビルズ」やべニー・モーデン楽団で活躍します。そして1935年にべニー・モーデンが亡くなった後は、彼に代わって楽団のバンド・リーダーとしてメンバーを牽引していきました。

その後、1936年の終わりに活動拠点をニューヨークに移したカウント・ベイシーはビッグ・バンド「カウント・ベイシー・オーケストラ」を結成。その洗練された音楽の数々は世界的な評価を獲得し、華々しい活躍を続けます。そしてこの時代の彼は「オールド・ベイシー」と称され、彼の人生における初期の黄金時代でありました。

対して、それ以降のカウント・ベイシー・オーケストラの活動は「ニュー・ベイシー」と呼ばれています。オールド・ベイシーがニュー・ベイシーとなるまでの数年間は、世界大戦後の不況の煽りを受け数々のビッグ・バンドが解散を余儀なくされるなどし、ジャズの世界にも陰りが生まれていました。そんな不遇の時代を乗り越え、1951年にカウント・ベイシー・オーケストラは再結成。この頃、ヴァーヴ・レコードからリリースしたいくつかのレコードは、時代を超えて世界中のジャズ・ファンに愛されています。

そんなカウント・ベイシー・オーケストラの中でも、ひときわ脚光を浴びたのが「オール・アメリカン・リズム・セクション」と賞賛されたリズム・セクションです。バンドにおけるリズムとは曲の根幹を支える役割があり、特にスウィング・ジャズでは最も重要とも言える要素です。そして、オールド・ベイシー時代のリズム・セクションは当時の音楽界では最高峰の技術力でした。

※ニューヨークで演奏するカウント・ベイシー・オーケストラ

カウント・ベイシーは1984年に79歳でこの世を去りますが、彼が生み出した音楽の数々は今も変わらず輝き続けています。力強く心に響く彼のピアノは唯一無二の音色であり、これまでジャズに親しんだ機会がない人でも虜になってしまうのではないでしょうか。そんなアメリカを代表するビッグ・バンドの巨匠、カウント・ベイシーの代表曲を紹介していきます。

◼︎カウント・ベイシーの代表曲

スウィング・ジャズの新境地を開拓してきたカウント・ベイシーの代表曲と言えば、1977年にグラミー賞を受賞したアルバム『Basie & Zoot』やビッグ・バンドの作品としては歴史上最高とも賞賛される『April in Paris』、若き日のクインシー・ジョーンズが編曲を担当した『This Time by Basie』などでしょう。

・Basie & Zoot(ベイシー・アンド・ズート)

1975年に発売されたスタジオアルバム『Basie & Zoot』は、カウント・ベイシーとジャズサックス奏者のズート・シムズらによる、圧巻の演奏を収録した作品です。収録されている8曲はどれも、甲乙のつけがたく完成度高いものばかりです。まるでリスナー1人1人の正面で演奏しているかのような臨場感があり、流れるようなリズムとピアノの音があまりにも楽しげで思わず時間を忘れて没頭してしまう一枚です。

・April in Paris(パリの4月)

『April in Paris』は1955年から1956年のある3日間で録音された音源を収録しています。このアルバムがリリースされて以降はカウント・ベイシーの代表的な作品といえばこれであり、17曲入りで約1時間を超えるアルバムです。洗練されたリズムに乗って自由飛び交う音たちは、どこか新しい世界感の到来を予測させます。すべての音色が見事に調和したハーモニーは圧巻で、数あるビッグ・バンドの音楽の中でも至高の作品だと評されています。

表題曲の『April in Paris』は音楽の喜びに満ち、楽しさと美しさを兼ね備えた曲です。また、ジャズの伝統とモダンが共存した曲の数々は、今でもジャズのスタンダードになっているものが多くあります。

・This Time by Basie(ディス・タイム・バイ・ベイシー)

『This Time by Basie』は1963年に録音され、11曲が収録されています。当時の流行曲をジャズアレンジしたものを集めたアルバムで、指揮と編曲を若き日のクインシー・ジョーンズが務めています。カウント・ベイシー・オーケストラにかかれば、どんな曲も思わずスウィングしてしまうジャズ・ナンバーになるのは必然でしょう。誰もが一度は聞いたことのあるであろう曲も収録されているので、ジャズに親しんだことのない人にとっても聞きやすいのではないでしょうか。

◼︎おわりに

ビッグ・バンドの巨人、カウント・ベイシーの経歴や代表曲を紹介してきました。ビッグ・バンドやスウィング・ジャズ界にとって、彼の存在は欠かせないものです。そんな、洗練されつつも、遊びに溢れた彼らの曲たちと戯れてみてはいかがでしょうか?

カウント・ベイシー・オーケストラ、ライブ映像(13-07-1979)

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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