エットーレ・スコラ:『特別な一日』『マカロニ』を手がけた映画監督

エットーレ・スコラは1931年5月10日イタリアのトレヴィーコに生まれた映画監督です。『特別な一日』や『マカロニ』といった作品を制作したほか、モーツアルトの歌劇『コジ・ファン・トゥッテ』の演出を手掛けるなど、オペラ演出家としても活躍しました。そんなエットーレ・スコラの人生と作品について詳しく解説していきます。

■エットーレ・スコラとは

エットーレ・スコラは1931年5月10日イタリアのトレヴィーコに生まれた映画監督です。20歳の時に脚本家としてデビューし、その際には40本もの脚本を執筆。その後1964年には『もしお許し願えれば女について話しましょう』で映画監督としてデビューしました。

1976年には『醜い奴、汚い奴、悪い奴』で第29回カンヌ国際映画祭監督賞を受賞。また1980年に発表した『テラス』では第33回カンヌ国際映画祭脚本賞を受賞しており、国際的な名声を高めていきました。2012年4月にはトリノ・レージョ劇場の依頼でモーツアルトの歌劇『コジ・ファン・トゥッテ』の演出を手掛けるようになり、オペラ演出家としてもデビューし、2014年のプッチーニ音楽祭では『ラ・ボエーム』を演出しました。

そうして映画監督としても、オペラ演出家としても活躍していたエットーレ・スコラですが、2016年1月19日にはローマ市内の病院で死去。84歳の生涯を閉じることになります。

■エットーレ・スコラの作品

エットーレ・スコラの作品の特長はイタリア映画らしい映像美といえるでしょう。またその一方でカンヌやヴェネツィア、ベルリンといった世界三大映画祭でも活躍しており、世界的に高い評価を受けたという点では、普遍的に観客に訴えかけるイメージを作中に表現していたといえるでしょう。

そんなエットーレ・スコラの作品には、どのような作品が含まれているのでしょうか。主要な作品についてご紹介します

・『もしお許し願えれば、女について話しましょう』 1964年

(Public Domain/‘Se permettete parliamo di donne’ by Pèter. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

本作品は1964年に制作された作品で、スコラの長編映画デビュー作品にあたります。「イタリア式コメディ」の傑作として知られており、その後のイタリア映画に大きな影響を与えました。

とある夫婦が暮らす農家。夫は野良仕事に出て、妻はひとり留守番をしていました。そこに猟銃を持った男が夫を訪ねてきたため、妻は夫を殺しに来たのではと早合点してしまい、夫の危機を救おうと身体をささげてしまいます。実はその男は銃を返しに来ただけだったのです…。

本作品は9つのエピソードから構成されており、主演のヴィットリオ・ガスマンはその中でさまざまなエピソードを演じます。その演じ分けは高く評価され、本作は話題作となりました。

出典:Wikipediaもしお許し願えれば女について話しましょう

・『追い越し野郎』 1963年

(Public Domain/‘fotogramma da “Il sorpasso”, Italia, 1962, regia di Dino Risi’ by Dino Risi / Alfio Contini. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

本作品は1963年に制作された作品で、スコラは脚本を担当しました。デニス・ホッパーは本作に影響を受けて『イージー・ライダー』を制作、またウォルター・サレスによる『モーターサイクル・・ダイアリーズ』にも影響を与えました。

聖母昇天祭の休日、ブルノは友人の誘いを受けて車でローマを訪れたものの、ローマの人々はバカンスに出かけており、街は空っぽになっていました。ロベルトは街角のアパートの一室で学生生活を送っていたものの、偶然知り合ったブルノに強引にドライブに誘われてサン・ピエトロに向かうことになります。ブルノは40歳にもなるのに大変なスピード狂で、サン・ピエトロのレストランも閉まっているとエルネストに向かうことになります。しかしそのあまりのスピード狂ぶりにガソリンがなくなってしまいます。ロベルトはそんなブルノに軽蔑を感じるのと共に、どこか惹かれるものも感じていました。

出典:Wikipedia追い越し野郎

・『BARに灯りともる頃』 1989年

※画像はイメージです

本作品は1989年に制作された作品で、置いた父と成長した息子の久しぶりの再会を描いた作品です。

ティレニア海沿いの小さな港町ヴィタヴェッキアに降り立った初老の男は、兵役中の一人息子ミケーレにひさびさに再開します。バーで打ち解けた2人はトラットリアで昼食をとり、ミケーレは父から機関士だった祖父の形見の懐中時計を送られ大喜び。2人は楽しいひと時を送っていたものの、些細なことで喧嘩になってしまいます。

仲直りのために入った映画館でミケーレは父の居眠りの好きに恋人ロレダナに電話するも、それに気が付いた父はすねて強引に息子の恋人を訪れることを決めてしまいます。突然の恋人と彼の父親の訪問にロレダナは驚いたものの暖かく迎え、父と息子はお互いの絆を確かめ合うのでした。

出典:WikipediaBARに灯ともる頃

・『気ままな情事』 1964年

(Public Domain/‘Screenshot del film Il magnifico cornuto (1964) di Antonio Pietrangeli.’ by Gawain78. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

本作品は1964年に制作された作品で、フェルディナンド・クロメリンクの戯曲をもとに描いたコメディ作品です。

帽子製造工場の社長アンドレアは仕事も好調なうえに若く美しい妻マリアもおり、順風満帆な生活を送っていました。しかしアンドレアは人妻クリスチアナが夫にうその電話を掛けるのを見て、もしや自分の妻もと疑いを持つようになります。一度疑い始めるととどまることを知らず、妻を尾行したりしたもののしっぽをつかむことはできずにいました。

アンドレアは徐々にノイローゼ気味になっていき、アンドレアとマリアの新築の家が完成し、妻がパーティーのさなか5、6人の男たちを連れて寝室を見せに連れていくと、妻がベッドの上で服を脱いでいるのではないかと想像する始末であり、挙句の果てには半狂乱になり客の前で妻を問い詰めてしまいます。命の危機を感じたマリアはとっさにガブリエルが浮気の相手だと口走ります。しかし妻の電話を盗聴してそれが嘘だと知ったアンドレアはマリアに謝罪の電話を掛けるものの、マリアの膝の上には自動車事故にあったアンドレアを手当てした医師がもたれていたのでした。

・『星降る夜のリストランテ』 1998年

(Public Domain/‘La cena’ by Unknown Author. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

本作品は1998年に制作された作品で、街のレストランを舞台にしたヒューマン・ドラマ作品です。1999年にモントリオール国際映画祭特別グランプリを受賞したことでも話題になりました。

ローマの街角にあるリストランテ・アルトゥーロの店は美しいフローラが切り盛りしており評判の店となっていましたが、フローラの夫は大病を患う身であり、毎晩客のふりをしながら店の様子を見守っていました。ある日フローラの姪シモーナの誕生パーティーが開かれることとなり、店はいつよりにぎやかな様子。そこではさまざまな人間模様が繰り広げられることとなります。

■おわりに

エットーレ・スコラ1931年5月10日にイタリアのトレヴィーコに生まれた映画監督であり、『特別な一日』や『マカロニ』といった作品を制作した人物です。映画監督としてのほかにもオペラ演出家としても活躍しており、『ラ・ボエーム』や『コジ・ファン・トゥッテ』などの作品を手がけました。

スコラの作品に影響を受けた映画監督は多く、デニス・ホッパーやウォルター・サレスがスコラ作品に影響を受けた作品を制作しています。スコラの意志は後世の映画監督たちに受け継がれているのです。

出典:Wikipediaエットーレ・スコラ

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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