ジャック・タチ:『僕の伯父さん』や『プレイタイム』を制作した映画監督

※フランス、パリの街並み

ジャック・タチは、1907年10月9日にフランスのパリで生まれました。若い頃から俳優活動をしていた彼は、脚本家や監督としても活躍するようになります。そして、『僕の伯父さん』や『プレイタイム』などを制作しました。そんな彼の人生と作品について詳しく解説していきましょう。

『Qui était Jacques Tati ? – Archive INA』

■ジャック・タチとは

ジャック・タチは、1907年10月9日にフランスのパリで生まれました。その後、パントマイムの道を目指し、1933年からミュージックホールの舞台に立ち始めます。また、彼は映画の仕事も始め、1936年の『左側に気をつけろ』では脚本と主演を担当しました。その後、クロード・オータン=ララの『乙女の星』や『肉体の悪魔』などに出演し、1947年には『郵便配達の学校』で監督デビューしました。同作でも、彼は脚本と主演を担当しています。

その後、『のんき大将脱線の巻』で長編映画デビューを果たしました。主人公のフランソワは、フランスの片田舎で郵便配達をしています。ある日、アメリカの合理主義に影響を受けた彼は、スピーディーな配達を目指しますが、騒動を起こしてしまうというコメディ作品です。同作は、監督デビュー作品である『郵便配達の学校』から影響を受けたと言われています。

『Jour de fête (trailer) (digitale restauratie 2013)』

1953年には、『ぼくの伯父さんの休暇』を制作。アカデミー賞オリジナル脚本賞にノミネート後、ヌーヴェルヴァーグの批評家からも大絶賛されました。

1958年には、『ぼくの伯父さん』 を制作。「ぼくの伯父さん」こと、ユロ氏はパリの下町に住んでいます。そんなユロ氏がアメリカナイズされたモダンな住宅、プラスティック工場などで悪戦苦闘するコメディ作品です。翌年には、第31回アカデミー賞外国語映画賞を受賞しました。

そして、長編映画四作目となった『プレイタイム』は、彼が私財を投げ打ち、10年がかりで取り組んだ超大作です。公開当初、一部の批評家には絶賛されましたが、多くのマスコミから酷評を受けます。興行的にも失敗し、彼にとってトラウマ的作品になってしまいました。

その後、1971年には『トラフィック』を制作。スウェーデンのテレビ映画『パラード』なども制作しましたが、1982年11月4日に肺炎で亡くなりました。

■ジャック・タチの作品

ジャック・タチが手掛ける作品の特長は、コミカルなストーリーの中にモダニズム的な視点を取り入れている事でしょう。

そんな彼の作品には、どのような物が含まれているのでしょうか。主要な作品についてご紹介しましょう。

『肉体の悪魔』 1947年

本作品は、フランスの作家レイモン・ラディゲの同名小説を映像化した映画です。

1917年、フランソワはリセに開設された臨時病院で、見習い看護師のマルトと知り合います。マルトは、出征兵のラコンブ軍曹と婚約していましたが、フランソワの熱意に惹かれていました。しかし、次第に二人の関係は疎遠になり、マルトとラコンブは結婚します。

半年後、フランソワとマルトは学校で再会。フランソワは密かにマルトのアパートを訪れ、愛し合うようになります。そんな二人でしたが、ラコンブが戦争から戻ってくる前に関係を断ち切らなくてはならないと思っていました。そんな矢先、マルトが妊娠してしまいます。マルトは、次第に夫を頼るようになりますが、そんな状況にフランソワはどうする事も出来ません。フランソワとマルトは、最後に思い出のレストランで過ごす事にしました。二人で終戦を祝う国家を聞いていましたが、マルトが力尽き、倒れてしまいます。マルトは、凱旋した夫に手を取られながらも、フランソワの名前を呼んで亡くなりました。

『ぼくの伯父さんの休暇』 1953年

本作品は、ジャック・タチの作品でお馴染みの「ユロ氏」が初めて登場する映画です。

ユロ氏は、バカンスを楽しむため、海辺を目指していました。休暇を満喫しようとするものの、ユロ氏が訪れる場所では何故か騒動が起きてしまいます。

『Les vacances de Monsieur Hulot (trailer)』

『プレイタイム』 1967年

本作品は、ジャック・タチが集大成として制作した映画です。私財のほとんどを費やし、「タチ・ヴィル」と呼ばれるガラスの超高層ビルや空港、博覧会場などのモダニズム建築からなる巨大セット(2,500平方メートル)を作りました。最終的に撮影期間は2年、制作費も1,540万ユーロという多額になりましたが、興行的に惨敗。彼は、破産に追い込まれてしまいました。

物語の舞台は、近未来のパリ。ユロ氏は、ガラス張りの超高層ビルがそびえ立つ街中で、アメリカ人団体旅行客と共に右往左往していました。そんな中、アメリカから団体旅行でパリに来ていた若い娘バーバラと、何度かすれ違います。そして、二人は夜会でも遭遇し、一緒にダンスを踊る事になるのです。

『PlayTime- Controlled Chaos』

『イリュージョニスト』 2010年

本作品は、ジャック・タチが愛娘のために書き上げた脚本を題材にしています。

物語の舞台は、1950年代のパリ。初老の手品師タチシェフは、場末のバーで手品をしながら生計を立てていました。しかし、客はそんな彼の手品に見向きもしません。

ある日、彼は小さな村の酒場でショーを行う事になります。そこは、電気もほとんど通っていない田舎町のため、彼の時代遅れな手品でも村人たちは大喜び。酒場で働いていた少女アリスは、タチシェフこそが本物の魔法使いだと信じるようになり、こっそり付いていく事にしました。

彼はそんなアリスに驚いたものの、追い払わずに安宿で同居生活を開始。アリスに故郷の娘を重ね、衣服や靴を買い与えるようになります。アリスが徐々に大人の女性へ成長していく一方、安宿の仕事仲間たちは、徐々に去っていきました。彼は、自分も姿を消すべき時が来たのかもしれないと悟ります。

『The Illusionist | Official Trailer (2010)』

■おわりに

ジャック・タチは、映画監督の他、俳優としても活躍しました。彼の作品からは、ユーモアの中にも細部へのこだわりが見受けられます。特に『プレイタイム』は、映画への熱意が感じられる作品でしょう。

彼にとってトラウマになった作品ですが、今も尚熱い支持を受けています。そんな彼の作品をぜひ一度、鑑賞してみてはいかがでしょうか。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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