ジャック・ドゥミ:ヌーヴェル・ヴァーグの左岸派として活躍した映画監督

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ジャック・ドゥミは、1931年6月5日にフランス西部のポンシャトーで生まれました。映画監督のジャン=リュック・ゴダールやフランソワ・トリュフォーらと共に活躍し、「ヌーヴェル・ヴァーグの左岸派」の一人として高く評価されています。そんな彼の人生と作品について詳しく解説していきましょう。

■ジャック・ドゥミとは

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ジャック・ドゥミは、1931年6月5日にフランス西部のポンシャトーで誕生。映画やオペラが大好きな両親は、彼をよく映画館やオペラ鑑賞へ連れていってくれました。そのため、早くから映画に関心を持つようになり、4歳で人形劇、9歳で映画作品を制作するようになります。また、彼はフィルムに直接書き入れる方法でアニメーション作品にも挑戦しました。

その後、映画の専門学校を卒業し、兵役に就く事になりました。帰国後は、アニメーション映画制作の仕事を始めます。一緒に働いていた仲間には、アニメーターのポール・グリモーや映画監督のジョルジュ・ルーキエがいたのです。そんな彼らに影響を受けたジャック・ドゥミは、1961年に『ローラ』で映画監督デビューを果たしました。この作品はミュージカル形式になっており、「ヌーヴェル・ヴァーグの真珠」と称されるほど高い評価を受けます。

その後の1964年には、カトリーヌ・ドヌーヴ主演の『シェルブールの雨傘』を制作。この作品は、カンヌ国際映画祭パルムドール賞を受賞し、ますます映画制作に取り組んでいきます。しかし、1990年にエイズのため亡くなりました。

■ジャック・ドゥミの作品

ジャック・ドゥミは、「ヌーヴェル・ヴァーグの左岸派」の一人として活躍した映画監督です。

ヌーヴェル・ヴァーグとは、1950年代末に始まったフランスの映画運動で、ロケ撮影中心、同時録音、即興演出といった技法を用いた作品の事を指します。その中でも、「カイエ・デュ・シネマ」の主宰者であったアンドレ・バザンの薫陶を受け、映画批評家として活躍していた若い作家たちを「右岸派」、モンパルナス界隈で集まっていた作家たちを「左岸派」と呼びました。

そんな彼の作品には、どのような物が含まれているのでしょうか。主要な作品についてご紹介しましょう。

・『ローラ』 1961年

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本作品は、初恋の人を待ち続ける踊り子のローラと、そんな彼女に思いを寄せる男たちを描いています。

ジャック・ドゥミとって初監督作品であり、大きな反響を呼びました。

物語の舞台は、アメリカ水兵で賑わう港町ナント。キャバレーで生計を立てるシングルマザーのローラは、初恋の人を7年間も待ち続けていました。

そんなある日、ローラは幼馴染のローランと再会する事になります。実は、昔からローランはローラの事が好きだったのです。そして、その愛は再燃しますが、ローラには待ち続けている人がいました。

・『新・七つの大罪』 1962年

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本作品は、聖書にある「憤怒」「羨望」「大食」「矯慢」「怠惰」「淫乱」「貪欲」の七つの大罪を描いたオムニバス映画です。ジャック・ドゥミは「淫乱」を担当し、脚本も手掛けました。

ジャックは、ヒエロニムス・ボスの裸体画集を見てしまいます。そのおかげで、町を歩いている女性たちの裸体を想像しては、罪のない「淫乱」に耽っていました。そんなジャックに思いもよらない出来事が起こるのです。

・『シェルブールの雨傘』 1964年

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本作品は、全編音楽のミュージカル映画で、主演カトリーヌ・ドヌーヴの出世作となりました。また、第17回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞しています。

物語の舞台は、アルジェリア戦争真っただ中のフランス。シェルブールに住んでいる20歳の自動車整備工ギイと17歳のジュヌヴィエーヴは、結婚を誓い合った恋人です。しかし、ジュヌヴィエーヴの母エムリ夫人は、若すぎる事を理由に二人の結婚を反対。それでも、将来生まれてくる子供の名前を考えたり、自分たちのガソリンスタンドを持つ夢を語り合ったりと幸せな日々を過ごしていました。そんなある日、エムリ夫人の元に莫大な額の納税通知書が届きます。また、エギイの元に召集令状が届くなど幸せな日々に陰りが見え始めたのです。

ギイは、アルジェリア戦争で2年間の兵役に就く事になりました。しかし、ギイが旅立った後、ジュヌヴィエーヴは自分が妊娠している事に気付きます。手紙で妊娠を知ったギイは、「男の子だったら名前はフランソワ」といった喜びの手紙を返しました。しかし、ジュヌヴィエーヴは、次第に宝石商ローラン・カサールに惹かれてしまいます。

・『ロシュフォールの恋人たち』 1967年

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本作品は、ジャック・ドゥミの出世作となった映画です。

フランス西南部の町ロシュフォールでは、年に一度の祭りを控えており、大変な賑わいを見せています。そんな中、美しい双子の姉妹ソランジュとデルフィーヌは、それぞれ音楽家とバレリーナを目指しつつ、素敵な恋人にも巡り合いたいと夢見ていました。

そんな彼女たちの母親イヴォンヌは、カフェを経営しています。気さくな人柄から、すぐに馴染みの客がつくようになりました。その中には、オートバイの曲芸を披露する予定のエチアンヌとビルがいたのです。

そして、ついに祭り当日。広場には舞台が組み立てられ、様々な催しが行われていました。姉妹はオートバイ曲芸の二人と共に舞台へ立ち、歌と踊りを披露。二人は、これからも一緒に姉妹と仕事をしたいと思い、パリに誘いました。姉妹は芸術家として成功すれば、理想の恋人にも会えるかもしれないと考えるようになり、パリに行く事を決心します。

しかし、パリに行かずとも幸せは近くにあったのです。ソランジュは、通りで見かけた魅力的な青年アンディーと知り合い、姉妹の母親イヴォンヌもまた10年前に別れた恋人と再び結ばれます。デルフィーヌは、エチアンヌやビルと共にパリへ向かいました。

■おわりに

ジャック・ドゥミは、「ヌーヴェル・ヴァーグの左岸派」として活躍した映画監督です。特にカトリーヌ・ドヌーヴが出演した『シェルブールの雨傘』や『ロシェフォールの恋人たち』は大ヒットしました。そんな彼の作品をぜひ一度、鑑賞してみてはいかがでしょうか。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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