ジャック・ドワイヨン:『ラ・ピラート』や『ポネット』を制作した映画監督

ジャック・ドワイヨンは1944年3月15日フランス・パリに生まれた映画監督です。モーリス・ピアラやフィリップ・ガレルらと「ポスト・ヌーヴェル・ヴァーグ」と称されており、これまでフランス映画史に残るさまざまな作品を制作してきました。そんなジャック・ドワイヨンの人生と作品について詳しく解説していきます。

■ジャック・ドワイヨンとは

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ジャック・ドワイヨンは1944年3月15日フランスのパリに生まれました。幼いころから映画や映像に関心を持っていたドワイヨンは学校で映画について学ぶようになり、高校で文学の講師をしていた映画評論家アンリ・エゲルの映画クラブにも参加していました。卒業後は映画製作や脚本家への道を歩むことになり、現在ではモーリス・ピアラやフィリップ・ガレルなどと並んで「ポスト・ヌーヴェル・ヴァーグ」と称されています。

■ジャック・ドワイヨンの作品

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ドワイヨンは「ポスト・ヌーヴェル・ヴァーグ」のひとりと称されている映画監督の一人であり、その作品もまたヌーヴェル・ヴァーグの影響を受けているといえます。ヌーヴェル・ヴァーグとは1950年代末に始まったフランスにおける映画運動のことであり、撮影所において下積み経験なしにデビューした若い監督たちを挿しています。

ヌーヴェル・ヴァーグの運動は60年代前半でひと段落するものの、即興演出や同時録音、ロケ中心といった技法はその後もフランスの映画監督たちに引き継がれることとなり、「ポスト・ヌーヴェル・ヴァーグ」と称されることとなりました。「遅れてきたヌーヴェル・ヴァーグ」と揶揄されることもあったものの、フランス映画史における重要な位置を演じたのは間違いないでしょう。

そんなジャック・ドワイヨンの作品には、どのような作品が含まれているのでしょうか。主要な作品についてご紹介します。

・『家族生活』 1990年

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本作品は1990年に制作された作品で、父と娘が旅して信頼関係を築き上げていくさまを描いた作品です。

エマニュエルは妻のマーラと剃刀がどこにあるかをめぐって口論となり、娘のナターシャはそんな両親にうんざりして家を飛び出してしまいます。エマニュエルはそんなナターシャにかまわず、毎週一度会う約束になっている前妻のリリのもとに行ってしまいます。そこではリリが恋人と喧嘩したため、娘のエリーズが友達の家に遊びに行ってしまっていました。エマニュエルはエリーズを迎えに行ったもののつれなくされ、車の旅に出ることを提案。ふたりで旅をしながらビデオカメラで映画を撮影し、徐々にお互いのことを理解するようになっていきます。

・『イザベルの誘惑』 1985年

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本作品は1985年に制作された作品で、4人の若い男女の激しい愛憎とかけひきを描いた作品です。

妻イザベルの誕生日にイザベルの実家に招待されたブリュノは歓迎されたものの、ブリュノ自身はどうしても妻の実家を好きになれずにいました。ブリュノはイザベルより一足先に実家を抜け出し、イザベルの昔の恋人アランを誕生日パーティが開かれるゴルフ場のそばのホテルに招待。その後アランは婚約者のリオとともにパーティにやってきたものの、イザベルはアランを求めている自分の心に当惑するのでした。

・『恋する女』 1987年

本作品は1987年に制作された作品で、ノルマンディー地方の海岸沿いにある別荘に集まった娘たちの恋愛ゲームを描いた作品です。

ノルマンディー、カプールの海岸にあるヴァネッサの別荘にあつまった6人の娘たち。しかしそれぞれ恋人たちと問題を抱えていました。またひとり、またひとりとメンバーは別荘を去っていき、残されたカミーユとエルザはふたりの恋愛を成就させようと手を尽くしたものの、結局ふたりも別荘を去ることになるのでした。

・『15歳の少女』 1989年

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本作品は1989年に制作された作品で、ひとりの少年と彼の父親との間で揺れ動く15歳の少女のひと夏を描いた作品です。

15歳の少女ジュリエットは14歳の少年トマト夏を過ごすことに決め、トマの父ウィリーとともにイザビ島でヴァカンスにふけることになります。しかしウィリーはジュリエットを見つめるばかりで、ついに3日目ウィリーはジュリエットに恋をしたと告白してしまいます。ウィリーはトマにウィリーを誘惑して最後には放り出すというゲームを提案。その夜ジュリエットはウィリーとキスをするものの、翌朝3人の間には気まずい雰囲気が流れることになってしまいます。

・『女の復讐』 1989年

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本作品は1989年に制作された作品で、死んだ夫の愛人を追い詰める妻の狂気的な姿を描いた作品です。

一年前に亡くなった夫アンドレにスージーという愛人がいたことを知った妻セシルは、いてもたってもいられずスージーのもとへ。突然のセシルの出現に動揺するスージーだったものの、やがて2人の間には奇妙な共犯関係が生まれるようになり、そこにセシルの現在の愛人ステファンが加わったことにより、状況はより複雑になっていました。スージーは危険を感じつつもステファンに惹かれ関係を持ってしまい、セシルはそれを知ると憎悪をむき出しにしてスージーを追い詰めていくのでした。

そんなある日スージーが原因でセシルが2人の男に乱暴されるという事件が発生。セシルは放心状態になり、2人の関係は極限にまで達しようとしていました。ついにスージーが自らの腕を拳銃で打ち抜き、自殺。それはセシルの思惑通りであったものの、スージーの死に顔を見たセシルは自身の内面衝撃を受け、耐えかねたようにその場を逃げ出すのでした。

・『シャルロット・ゲンズブール 愛されすぎて』 1991年

本作品は1991年に制作された作品で、2人の男の間で恋に悩む若い女性ジャーナリストの姿を描いた作品です。

ジャーナリストのマリーは同じ年ごろのアントワーヌという恋人がいたものの、インタビューの仕事で出会った映画監督ポールに心奪われてしまいます。アントワーヌはマリーからポールの出会いを素直に告白されたことにより自暴自棄に。マリーはポールからのアプローチと嫉妬心に狂うアントワーヌとの間で心乱れるものの、結局はマリーを中心として3人は親しくなり、マリーはアントワーヌを選ぶことになるのでした。

・『ロダンとカミーユ 永遠のアトリエ』 2017年

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本作品は2017年に制作された作品で、「近代彫刻の父」と呼ばれるオーギュスト・ロダンの半生を描いた作品です。

1889年のパリ。彫刻家のロダンは40歳にしてようやく国から注文を受けるようになっていました。ロダンは内縁の妻ローズと暮らしていたもの、弟子入りを願うカミーユと出会い、その才能に魅せられて助手にした挙句、愛人にしてしまいます。2人の関係は10数年にわたって続いたものの、やがて破局を迎えるのでした。

■おわりに

ジャック・ドワイヨンはポスト・ヌーヴェル・ヴァーグのひとりと称される人物であり、フランス映画史に残る作品を数多く制作しました。その作品は登場人物の内面を精緻に描いたものであり、即興演出、同時録音といったヌーヴェル・ヴァーグならではの技法がうまく取り入れられている作品であるといえるでしょう。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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