ジョナサン・デミ:『羊たちの沈黙』『フィラデルフィア』を制作した映画監督

ジョナサン・デミは1944年2月22日アメリカ合衆国ニューヨーク州ロングアイランドに生まれた映画監督です。フロリダ大学で獣医学を学ぶも中退し、映画業界での仕事を志しました。『羊たちの沈黙』や『フィラデルフィア』といった映画史に残る作品を制作したジョナサン・デミの人生と作品について詳しく解説していきます。

■ジョナサン・デミとは

ジョナサン・デミは大学在学中に学内新聞の映画批評を執筆した経験を活かし、地方新聞の仕事を得て働くようになり映画会社の宣伝マンを経て、ロジャー・コーマンのもとで働くようになりました。

その後はインディーズ映画を中心とした制作を続け、コーマンが設立した低予算インディペンデント制作会社ニューワールド・ピクチャーズで1974年に『女囚刑務所・白昼の暴動』で映画監督デビューを果たします。その後3本の作品を制作し、1980年に公開された『メルビンとハワード』ではニューヨーク映画批評家協会賞監督賞を受賞しました。また1984年には『ストップ・メイキング・センス』で全米映画批評家協会賞ドキュメンタリー賞を受賞。また1991年に公開された『羊たちの沈黙』ではベルリン国際映画祭監督賞、アカデミー監督賞をダブル受賞し、国際的に知られる映画監督となっていきました。

■ジョナサン・デミの作品

ジョナサン・デミの作品といえば、なんと言っても『羊たちの沈黙』が有名でしょう。この作品のインパクトがあまりに大きかったため、一時は一発屋だと揶揄されることもあったものの2008年には、『レイチェルの結婚』もヴェネツィア国際映画祭に出品され、高い評価を受けました。

そんなデミの作品とはどのようなものなのでしょうか。主要なものをご紹介します。

『女刑務所 白昼の暴動』 1975年

車椅子の女所長マックィーン率いる女囚刑務所、そこでは素行の良くない囚人に対して電気ショック療法を行っていました。拷問に耐えかねた主人公ジャッキーは、仲間と共に脱走を計画します。また、独房行きになった仲間に食料を与えるための抜け穴を掘っていたベルが誤って調理師を殺してしまい、ロボトミー手術をされそうになってしまいます。脱走に成功しかけていたジャッキーたちですが、彼女を助けるために再び刑務所に戻るのでした。

『怒りの山河』 1977年

都会の生活に幻滅したトムは、5歳の息子ディランを連れてアーカンソーの農場を経営する父ジェフのもとに戻ってきました。トムはディランに自然の中ですくすくと育ってほしいと考えて移住したものの、故郷の姿は大きく変わり果てていました。石炭の露天掘り業を営む業者が悪徳議員と組んで、農民から強制的に土地が買い上げ、地元の人々は甚大な被害を受けていたのです。工事により農作物にも被害が出ていたため、トムの弟チャーリーは業者に対して損害賠償を求めていました。

そんな中、トムが故郷に戻ったことを祝うパーティーが開かれることになりました。しかしチャーリーがなかなか来ず心配になったトムは、彼を迎えに行きます。そして、彼の車ががけ下に転落しているのを発見。裁判中に突然亡くなった弟、それが事故を装った殺人であることは明白でした。トムは怒り狂い、悪徳起業家たちに復習をするのでした。

『羊たちの沈黙』 1991年

本作品はトマス・ハリスの同名小説を映画化したもので、第64回アカデミー賞で主要5部門を受賞し、大きな話題になりました。

若い女性が殺害され皮膚をはがされるという連続猟奇殺人事件が、アメリカ各地で発生。捜査が難航する中、FBIアカデミーの実習生クラリス・スターリングは行動科学課のクロフォード主任捜査官から任務を課されます。それは、事件の犯人とされる「バッファロー・ビル」を逮捕するために、監禁中の凶悪殺人犯の心理分析を行っていくことでした。

しかし、元精神科医の囚人ハンニバル・レクターはFBIへの協力を拒絶していました。彼は非常に頭の切れる人物であるためクラリスは彼の助言を求め、収監されているボルティモア州立精神病院に向かいます。レクターは最初協力を拒んでいましたが、クラリスが自身の過去を語ることと引き換えに助言することを約束。クラリスは父親が亡くなったことにより伯父の家に預けられたことがあり、そこで明け方伯父が羊たちを屠殺するのを目撃したことがトラウマになっていると明かします。

その間にも、上院議員の娘がバッファロー・ビルに誘拐される事件が発生。精神病院の院長チルトンはレクターを上院議員に紹介し、捜査協力の見返りとしてレクターを警備の緩い刑務所に移送することを約束しますが、レクターは移送の隙を突いて脱獄します。

クラリスはレクターの協力を得てバッファロー・ビルの自宅に踏み込み、間一髪で犯人を射殺。人質を無事助け出します。その後正式にFBI捜査官となったクラリスの元にレクターから電話が入り、事件解決と捜査官への就任を祝福したのち、チルトンの殺害を予告しその電話は切られるのでした。

『フィラデルフィア』 1993年

フィラデルフィアの一流法律会社に勤めるアンドリュー・ベケットはある日、自分がエイズであることを宣告されます。彼はそれによって職場を解雇されますが、それは差別だと主張し、損害賠償と地位の保全を求めて会社を訴訟しようとします。しかし次々と弁護を断られてしまい、結局は以前敵同士だった弁護士ジョー・ミラーに依頼することになります。ですが、ミラーはエイズに対して耐え難い恐怖を抱いており、弁護を躊躇します。世間の冷たい視線に対しても毅然と対処し、熱心に資料をあさるベケット。ミラーはその姿に心を動かされ、弁護を引き受けるのでした。

■おわりに

ジョナサン・デミは『羊たちの沈黙』や『フィラデルフィア』などのヒット作を生み出した映画監督です。彼の作品はどれも社会派的な側面があり、ただ猟奇的なだけではないところが魅力ではないでしょうか。

『レイチェルの結婚』予告編

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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