ジョン・セイルズ:「ニューヨーク・インディーズ派」として有名な映画監督

ジョン・セイルズは1950年9月28日にアメリカ合衆国ニューヨーク州スケネクタディに生まれた映画監督です。当初はB級ホラー作品を撮っていましたが、現在は「ニューヨーク・インディーズ派」の映画監督としても高く評価されています。そんなジョン・セイルズの人生と作品について解説していきます。

■ジョン・セイルズとは

ジョン・セイルズはウィリアムズ大学で学び、1972年に心理学の学士号を取得します。大学卒業後はボストンに移り、色々なブルーカラーの仕事をしながら短編小説を執筆していました。

その後『ピラニア』や『ハウリング』、『アリゲーター』といったB級ホラー映画の脚本を執筆しました。そして、その脚本料をもとに制作された『セコーカス7』は低予算での撮影であったものの高く評価され、1997年にはアメリカ国立フィルム登録簿に登録されました。その後も多数の作品を撮り、ジム・ジャームッシュとともに「ニューヨーク・インディーズ派」の監督と並び称されるようになりました。

■ジョン・セイルズの作品

ジョン・セイルズのキャリアは脚本家から始まっていることもあり、話をわかりやすくかつ詳細に伝えることが特長だと評されることがしばしばあります。観客の視点に立って撮影されるものが多い彼の作品は、わかりやすく感情移入しやすいものが多いのではないでしょうか。

そんなセイルズの作品とは、どのようなものなのでしょうか。主要な作品についてご紹介します。

『ベイビー・イッツ・ユー』 1983年

舞台は1960年代のハイスクール。ジルは郊外に住むユダヤ系の裕福な家の娘で、美人で成績もよく、学校の演劇で主演に選ばれるほどでした。しかし彼女は、シークというイタリア系の青年に恋をします。シークは労働者階級の出身で、ルーズな父親と喧嘩したり、車を猛スピードで乗り回し7、8回も退学になったりしている不良ですが人気者でもありました。

そんな楽しい高校生活も終わりを迎え、シークは第2のフランク・シナトラを目指すと言ってマイアミに行ってしまします。一方ジルは南部の名門、サラ・ローレンス大学に入学します。ジルはサルトルやキルケゴールを学び、普通の大学生らしく酒やマリファナも経験するものの、大学は無事に卒業。しばらくして2人は再会しますが、そのときようやく境遇の違を目の当たりにするのでした。

『エイトメン・アウト』 1988年

本作品は、ブラックソックス事件を取り扱ったエリオット・アジノフの小説を原作としています。

ホワイトソックスのオーナーはチームに対して緊縮した財政を撮っており、選手の間でも不満の種になっていました。優勝祝いのシャンパンは気が抜けているし、洗濯もまともにしてもらえず、チームはいつしか「ブラックソックス」と呼ばれるようになっていました。そして、ついには八百長試合を持ちかけられます。

八百長によって裏社会と関わるようになっていったホワイトソックスは、脅されてワールドシリーズで敗北します。しかし、その試合の不可解な点が指摘され、徐々にチームの問題が明るみになっていくのでした。

・『メイトワン1920』 1987年

1920年、ウェストヴァージニアにある小さな炭鉱の町「メイトワン」の炭鉱夫たちは、炭鉱会社「ストーン・マウンテン」が給料の値下げを言い出したことにより、リーダーのセフェウスを中心にストライキをはじめます。しかし会社側は、より賃金の安い黒人労働者を雇って彼らの訴えを蔑ろにします。そして組合の扇動者ジョーは「肌の色や出身の関係なく組合に入る権利がある」と主張し、炭鉱夫たちは次第に結束を深めていきました。

警察署長のシドと市長キャベルは炭鉱夫たちに忠告するものの、裏では彼らに騒ぎを大きくするように命じていました。しかも裏切り者ライブリーの策略で窮地に立たされたジョーたちは、黒人労働者ヒューによって救われます。しかし労働者とスト破りたちの間で血なまぐさい争いが起き、ついに「メイトワン大虐殺」という惨事に発展してしまうのでした。

『カーサ・エスペランサ 赤ちゃんたちの家』 2003年

親のいない赤ちゃんたちを保護している聖マルタ園。そこに、アメリカから養子をもらい受けるために6人の女性がやってきます。もっぱらひとりでトレーニングに励んでいるスキッパー。ニューヨークで出版関係の仕事をしているレスリーは、未婚ながらシングルマザーになることを望んでいました。そんなレスリーをレズビアンと決めつけているナンシー。彼女は何かとホテルにクレームを入れて部屋を変えています。穏やかな物腰のゲールはレスリーを擁護し、夫が失業中のアイリーンは節約を心がけており、唯一の20代、ジェニファーは夫と電話で口論をしています。

彼女たちはみな赤ちゃんを引き取りたくてここに来ているものの、事務局からはなかなか電話がきません。そうしているうちに6人はだんだんと、お互いの人生について知っていくことになるのでした。

・『フィオナの海』 1994年

フィオナは、アイルランド北西部の海岸で暮らす祖父母のもとを訪ねます。フィオナの一族は代々ローン・イニッシュ島で暮らしていたものの、その島は今では無人島になっていました。フィオナは祖父から島にまつわる昔話を聞いては島への憧れを募らせていました。そして、いつかはみんなで島に戻るべきだとも考えていました。あるときローン・イニッシュ島を訪れたフィオナは、ゆりかごのまま波にさらわれてしまったはず弟のジェニーを目撃します。彼女はそのことを家族に話しますが信じてもらえず、祖母からは口止めされます。彼女が見たものの正体や一族の秘密が、少しずつ解き明かされていきます。

■おわりに

セイルズの作品は社会的なメッセージを孕んでいるものが多いですが、どれもキャッチーに描かれているためすぐに没入してしまうはずです。ぜひこれを機に、セイルズ作品を鑑賞してみてはいかがでしょうか。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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