スティーブン・ダルドリー:『めぐり合う時間たち』や『愛を読む人』を制作した映画監督

スティーブン・ダルドリーは1961年5月2日にイングランドのドーセットに生まれた映画監督です。『めぐり合う時間たち』や『愛を読む人』といった作品を制作したことで知られており、また映画監督として制作したほとんどの作品がアカデミー作品賞か監督賞にノミネートされていることでも有名です。そんなスティーブン・ダルドリーの人生と作品について詳しく解説していきます。

■スティーブン・ダルドリーとは

※画像はイメージです

スティーブン・ダルドリーは1961年5月2日イングランドのドーセットに生まれました。14歳の時に父をがんで亡くした一家はトーントンに引っ越し、ダルドリーは地元の劇団に入団。またイギリス空軍の奨学金を得てシェフィールド大学で学びました。卒業後はイタリアで数年間を過ごし、1985年から1988年までは舞台製作の仕事に携わりました。

当初は舞台演出家としてキャリアをはじめ、1994年の『An Inspector Calls』 ではトニー賞を受賞したほか、ローレンス・オリヴィエ賞を2度、トニー賞を2度受賞したことで演出家として確かな評価を得るようになっていきました。100本以上の舞台を手がけたダルドリーは、2000年に『リトル・ダンサー』で映画監督デビューを果たし、舞台特有の演出手法を映画製作に取り入れたことで大絶賛されました。

2002年には監督2作目となる『めぐり合う時間たち』を制作し、ニコール・キッドマン、ジュリアン・ムーア、メリル・ストリープの3人がベルリン国際映画祭銀熊賞を共同受賞。またアカデミー賞9部門に模ノミネートされました。

※スティーブンは写真右

2008年の『愛を読む人』ではデビューから3作続けてアカデミー監督賞にノミネート。2011年の4作目『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』ではジョナサン・サフラン・フォアの小説を原作とし、3度目のアカデミー作品賞ノミネートを受けました。

その後もイギリス王室を描いた『ザ・クラウン』を手がけるなど、イギリスを代表する映画監督としてさまざまな芸術活動に取り組んでいます。

■スティーブン・ダルドリーの作品

スティーブン・ダルドリーの作品の特長は、舞台特有の大胆な演出方法を映画に取り入れている点といえるでしょう。そうした斬新な演出方法は観客を魅了し、ダルドリーはそのほとんどの映画作品でアカデミー賞ノミネートを受けています。

そんなダルドリーの作品には、どのような作品が含まれているのでしょうか。主要な作品についてご紹介します

・『リトル・ダンサー』 2000年

※画像はイメージです

本作品は2000年に制作された作品で、1984年のイギリス北部の炭鉱町を舞台に当時女性のためのものとされていたバレエに夢中になった一人の少年が、プロのバレエ・ダンサーになるプロセスを描いた作品です。

1984年イギリス北部ダーラムの炭鉱町エヴァリントンに住むビリー・エリオットは炭鉱夫である父と兄のトニー、そして軽度の認知症を患う祖母と共に暮らしていました。当時のイギリスは炭鉱不況の真っただ中にあり、父とトニーはストライキに参加していました。

そんな父はボクシングの熱烈なファンであったものの、ビリー自身は殴り合うというボクシングになじむことができませんでした。ビリーはボクシング・ジムの片隅で開かれることになったバレエ教室に関心を持つようになり、ひそかに教室に参加するようになります。教室を主宰するウィルキンソン夫人はビリーの才能を見出すようになり、ビリーもメキメキと上達していきました。

しかしビリーが内緒でバレエ教室に通っていることを知った父は激怒。またストが長引き過激化したことから、家族の閉塞感は徐々に高まっていきました。そんな中外に出たビリーは無心に踊り、父はその才能を確信。ビリーは事情を知った炭鉱仲間たちのカンパにより、ロンドンのロイヤル・バレエ学校を受験することができるようになります。そして14年後父とトニーが駆け付けた大劇場でビリーは「白鳥の湖」を踊るのでした。

・『めぐり合う時間たち』 2002年

本作品は2002年に制作された作品で、『ダロウェイ夫人』をモチーフとして作者であるヴァージニア・ウルフやそれに関わる3人の女性たちを描いた作品です。第75回アカデミー賞で9部門にノミネートされ、ニコール・キッドマンはアカデミー主演女優賞を受賞しました。

『ダロウェイ夫人』を1925年に発表したヴァージニア・ウルフは、1941年夫レナードへ「私たち二人ほど幸せな2人はいない」という言葉を残し、入水自殺を遂げます。そんな1923年イギリス、リッチモンドのヴァージニアの一日、2001年のニューヨーク・マンハッタンのクラリッサの1日、1951年ロサンゼルスのローラの1日が邂逅していきます。

・『愛を読む人』 2008年

※画像はイメージです

本作品は2008年に制作された作品で、1995年に出版されたベルンハルト・シュリンクの小説『朗読者』を映画化した作品です。第81回アカデミー賞では作品賞を含む5部門にノミネートされ、ケイト・ウィンスレットが主演女優賞を受賞しました。

第二次世界大戦後のドイツ。15歳のマイケルは自分を偶然助けてくれた21歳もの年上の女性ハンナと知り合います。回復後毎日のようにハンナのアパートに通っていたマイケルは、いつしかハンナと男女の関係になっていました。ハンナはマイケルが読書家と知ると、本の朗読を頼むようになり、マイケルは『オデュッセイア』や『ハックルベリー・フィンの冒険』、『タンタンの冒険旅行』といった作品を朗読するのでした。

ある日ハンナは働いていた市鉄で事務職への昇進を言い渡され、その日を機にハンナはマイケルの前から姿を消してしまいます。理由がわからず困惑していたマイケルだったものの、ハイデルベルグ大学法学部に入学。ゼミ研究のためにナチスの先般の裁判を傍聴したものの、その被告人席の一つにハンナの姿を見つけます。ハンナはアウシュヴィッツの手前のクラクフ近郊の強制収容所の女性看守の6人の一人として名前があげられており、殺人容疑に問われていました。

■おわりに

スティーブン・ダルドリーは1961年5月2日イングランドのドーセットに生まれた映画監督であり、100本以上の舞台を手がけたほか、『めぐり合う時間たち』や『愛を読む人』といった作品を制作したことで知られています。また近年はネットフリックスのテレビシリーズ『ザ・クラウン』を手がけていることでも知られており、舞台や映画、テレビなどさまざまな媒体で活躍しています。

今後ダルドリーはどのような作品を私たちに届けてくれるのでしょうか。今後が期待されます。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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