ポール・シュレイダー:『ザ・ヤクザ』や『タクシードライバー』を制作した映画監督

ポール・シュレイダーは1946年7月22日アメリカ合衆国ミシガン州グランドラピッズに生まれた映画監督です。小津安二郎や三島由紀夫などから大きな影響を受けており、作品にもそうした傾向を見て取ることができます。そんなポール・シュレイダーの人生と作品について詳しく解説していきます。

■ポール・シュレイダーとは

ポール・シュレイダーは1946年7月22日アメリカ合衆国ミシガン州グランドラピッズに生まれました。シュレイダーの一家は極めて厳格なカルヴィン主義者だったため、シュレイダーは長い間映画を見ることを禁止されていました。しかし18歳の時にはじめて映画を見るとその魅力のとりことなり、コロンビア大学やUCLAなどで映画を専攻し、映画業界でのキャリアを夢見るようになっていきます。

その後映画評論家として活動したのち、1974年の映画『ザ・ヤクザ』で脚本家デビューし、『タクシードライバー』で高い評価を得ると、監督業にも進出。1985年の『ミシマ:ア・ライフ・イン・フォー・チャプターズ』ではカンヌ国際映画祭最優秀芸術貢献賞を受賞し、高い評価を得ました。

■ポール・シュレイダーの作品

ポール・シュレイダーは大の親日家として知られており、小津安二郎や三島由紀夫などから強い影響を受けたことで知られています。そのため、シュレイダー作品には日本映画の影響も見て取ることができ、その知的な作風は特に高く評価されています。

そんなポール・シュレイダーの作品には、どのような作品が含まれているのでしょうか。主要な作品についてご紹介します。

・『ザ・ヤクザ』 1974年

※画像はイメージです

本作品は1974年に制作された作品で、シュレイダーが脚本家としてデビューした第一作にあたります。

ロサンゼルスで私立探偵をしているハリー・キルマーは旧友のジョージ・タナーから誘拐された娘を救い出してほしいという依頼を受けます。タナーは海運会社を営んでいるものの、裏の顔はマフィアであり、武器密輸の契約トラブルで日本の暴力団東野組ともめ事を起こしており、その報復として娘は誘拐されたのです。ハリーは実は進駐軍憲兵として日本で働いていた過去があり、また日本語が堪能なうえ、田中健という暴力団の幹部とも面識があったため、うまく事が運ぶのではないかというのがタナーの目算でした。

そうして仕方なくハリーはボディガードで監視役のダスティとともに東京に向かいます。ハリーが東京を訪れるのは20年ぶりのことであり、ハリーはタナーの共通の友人であるオリヴァー・ウィートの館に滞在することになります。

・『タクシードライバー』 1976年

※画像はイメージです

本作品は1976年に制作された作品で、ロバート・デニーロが主演したことでも話題になった作品です。第29回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞し、また1994年にはアメリカ議会図書館によってアメリカ国立フィルム登録簿に新規登録された作品でもあります。

舞台はニューヨーク。小さなタクシー会社に運転手志望のトラヴィス・ビックルがやってきます。ビックルはベトナム戦争帰りの元海兵隊員であり、戦争による深刻な不眠症を患っていたため、定職につくこともままならない状態でいました。ようやくありついたタクシードライバーの仕事をしながらも、マンハッタンの若者たちの麻薬や性欲におぼれる姿に嫌悪感をしめしつつ、孤独な毎日を送っていました。

ある日トラヴィスは次期大統領候補のチャールズ・パランタイン上院議員の選挙事務所付近に通りかかり、そこで勤務するベッツィーに心惹かれ、ベッツィーをデートに誘います。徐々に親密になっていったふたりだったものの、日頃から通っていたポルノ映画館に入ってしまい、ベッツィーを怒らせてしまいます。どうなだめてもうまくいかないベッツィーに逆上したトラヴィスはついに選挙事務所にまで押しかけ、殺してやると罵ってしまいます。このころからトラヴィスの不眠症は深刻さを増し、トラヴィスの心を蝕んでいくのでした。

・『愛のメモリー』 1976年

※ロケ地であるイタリア・サン ミニアート アル モンテ教会

本作品は1976年に制作された作品で、アルフレッド・ヒッチコック監督の『めまい』へのオマージュが見られることで有名な作品です。

事業家のマイケルは結婚10周年を祝う晩餐会を開いていました。しかしその際自宅に侵入した何者かに妻エリザベスと娘エイミーを誘拐されてしまい、身代金50万ドルを要求されてしまいます。警察に通報したマイケルはブリー警部の助言に従って誘拐犯の居場所を突き止める工作を図るものの、警察から逃走する誘拐犯の車が橋から転落し、車内にいた妻子は亡くなってしまいます。

それから時は過ぎ、共同経営者の友人ロバートとともにイタリアのフィレンツェを訪れていたマイケルは、妻とのなれそめの聖堂で死んだ妻エリザベスに生き写しの女性サンドラに出会います。ふたりは惹かれ合い、サンドラの母マリアが亡くなったことをきっかけに婚約し、アメリカに帰国。ふたりは結婚の準備を進めていたものの、また十数年前の誘拐事件を繰り返すかのようにサンドラが誘拐されてしまいます。この二つの誘拐事件には、実は身近な人物が関わっていました。

・『魂のゆくえ』 2017年

※画像はイメージです

本作品は2017年に制作された作品で、シュレイダーが人生の集大成的な作品であると述べている作品です。

ニューヨークの小さな教会ファースト・リフォームド教会で牧師をつとめるエルンスト・トラー牧師は記事を書いていたものの、出来栄えが気に入らず破り捨ててしまいます。トラーは従軍牧師としても活動していたものの、息子のジョセフが戦死したことをきっかけに活動から身を引こうと考えていました。ジョセフに入隊を進めたのはトラー自身であり、息子を死に追いやったのは自分だという自責の念があったのです。

そんな際トラーはメアリーに出会います。メアリーの夫マイケルは極端な環境保護論者であり、気候変動によってより過酷なものとなるこの世界に子どもを産み落としたくはないといってメアリーに中絶を進めているのでした。メアリーは夫のものと思われる即席爆弾を車庫で見つけたことからトラーに相談。トラーはマイケルに事の子細を訪ねるために公園で待ち合わせたものの、そこでショットガンで自殺したマイケルの遺体を発見します。

■おわりに

ポール・シュレイダーは1946年にアメリカ合衆国ミシガン州グランドラピッズに生まれ、『ザ・ヤクザ』や『タクシードライバー』といった作品を制作した人物です。小津安二郎や三島由紀夫から強い影響を受けたことから、作品には日本の影響が所々に見られ、作品をより知的なものに仕上げています。

シュレイダーは1974年以来継続的に作品制作に励んでおり、そのどれもが高い評価を受けています。今後シュレイダーはどのような作品を届けてくれるのでしょうか。今後が期待されます。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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