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マーティン・スコセッシ:『タクシードライバー』や『ギャング・オブ・ニューヨーク』を制作した映画監督

マーティン・スコセッシは1942年11月17日にアメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨークに生まれた映画監督です。『タクシードライバー』や『ギャング・オブ・ニューヨーク』といった人間の倫理や善良さをテーマとした作品を制作しており、アメリカを代表する映画監督と言えます。そんなマーティン・スコセッシの人生と作品について詳しく解説していきます。

■マーティン・スコセッシとは

マーティン・スコセッシは1942年11月17日アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨークに生まれました。両親はイタリアからの移民であり、リトル・イタリーで生まれ育つことになります。喘息もちだったスコセッシは外で遊ぶことができず、そのためハリウッド映画はもちろん、イタリアのネオレアリズモ映画やジャン・ルノワールのフランス映画など世界の映画の古典的作品を観て育ちました。

ベトナム戦争の徴兵を逃れたスコセッシはニューヨーク大学の映画学部に進学し、修士課程の卒業制作では初の長編映画『ドアをノックするのは誰』で注目されるようになります。1970年代になるとフランシス・フォード・コッポラやジョージ・ルーカス、スティーブン・スピルバーグといった若手監督たちと交流を深めるようになっていきます。

1976年にはポール・シュレイダーが脚本を担当した『タクシードライバー』を映画化。カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞し、国際的な映画監督となっていきました。また1980年にはミドル級元チャンピオンであるジェイク・ラモッタの自伝『レイジング・ブル』を監督。主人公の病理をつきつめた同作は賛否両論となったものの、エ・ニーロはアカデミー賞主演男優賞を受賞し、「1980年代最高のアメリカ映画」とそうされるようになっていきます。

1990年にはアメリカのイタリア系マフィアの実態を描いた『グッド・フェローズ』を制作。またラスヴェガスの組織的なギャンブル支配を描いた『カジノ』を制作するなど、マフィアをテーマとした作品に取り掛かるようになっていきます。また2002年の『ギャング・オブ・ニューヨーク』以降は大規模な制作費を投入し『アビエイター』や『ディパーテッド』などを制作。興行的にも成功したうえ、『ディパーテッド』はアカデミー作品賞、監督賞を受賞しました。

近年では日本の遠藤周作の小説『沈黙』を原作とし、日本を舞台に宣教師たちの過酷な運命を描いた『沈黙―サイレンス―』を監督。大きな話題となりました。

■マーティン・スコセッシの作品

マーティン・スコセッシの作品の特長は、腐敗した矛盾に満ちた現実の中でいかに人間としての倫理と善良さを実践できるか、というテーマで制作された作品が多いことでしょう。スコセッシはシチリア系イタリア移民の家に生まれマフィアの支配するイタリア移民社会で育ったため、幼少時の経験が作品に影響していると考えられています。

そんなマーティン・スコセッシの作品には、どのような作品が含まれているのでしょうか。主要な作品についてご紹介します

・『タクシードライバー』 1976年

※画像はイメージです

本作品は1976年に制作された作品で、ロバート・デニーロが主演したことでも話題になった作品です。第29回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞し、1994年にはアメリカ議会図書館によってアメリカ国立フィルム登録簿に新規登録された作品でもあります。

舞台はニューヨーク。小さなタクシー会社に運転手志望のトラヴィス・ビックルがやってきます。ビックルはベトナム戦争帰りの元海兵隊員であり、戦争による深刻な不眠症を患っていたため、定職につくこともままならない状態でいました。ようやくありついたタクシードライバーの仕事をしながらも、マンハッタンの若者たちの麻薬や性欲におぼれる姿に嫌悪感をしめしつつ、孤独な毎日を送っていました。

ある日トラヴィスは次期大統領候補のチャールズ・パランタイン上院議員の選挙事務所付近に通りかかり、そこで勤務するベッツィーに心惹かれ、ベッツィーをデートに誘います。徐々に親密になっていったふたりだったものの、日頃から通っていたポルノ映画館に入ってしまい、ベッツィーを怒らせてしまいます。どう謝っても納得しないベッツィーに逆上したトラヴィスはついに選挙事務所にまで押しかけ、殺してやると罵ってしまいます。このころからトラヴィスの不眠症は深刻さを増し、トラヴィスの心を蝕んでいくのでした。

・『グッド・フェローズ』 1990年

※画像はイメージです

本作品は1990年に制作された作品で、ニコラス・ピレッジのノンフィンクション『Wiseguy』を原作とする作品です。1955年から1980年にかけてニューヨーク・マフィアの世界で生き抜いたヘンリー・ヒルという実在の男性を題材としており、主人公を演じたレイ・リオッタにとって本作は出世作となりました。タイトルの『グッド・フェローズ』は本来「気の置けない友達」という意味になるのに対し、マフィア界では「自分と同じ組織の所属にある者」という意味であり、マフィア界の掟を表しています。

ヘンリ―・ヒルはアイルランド系の父とシチリア系の母親を持ち、マフィアの一因になることを夢見ていました。ヘンリ―は11歳の時にマフィアの使い走りとなり、やがて闇煙草の密売や偽造クレジットカードの使用などからはじめ、さまざまな犯罪に手を染めていきます。ヘンリ―の所属するマフィアのボスはポール・ヴァリオといい、トラック強盗を得意とするジミー・ポークや武装強盗や殺人に秀でたトミー・デシモネも同じく組織に所属していました。

彼らは共謀してジョン・F・ケネディ空港でエア・フランス現金強奪事件を成功させ、1978年には同じくケネディ国際空港でルフトハンザ航空現金強奪事件を起こします。その際には600万ドルと桁違いの現金を手に入れたものの、バークとデシモネは証拠物件の処分に失敗した人物を口封じのため殺害するようになり、ヒルもまたヴァリオの組織ではタブーとなっていた麻薬密売に関わったことが発覚し、組織を追い出されることとなります。

しかしかつての同僚の追求が迫っていることを恐れたヒルは、アメリカ合衆国商人保護プログラムの保護下に入り、検察側の商人となり司法取引を行い、その成果としてヴァリオとバークは逮捕されます。しかしその後もヒルは何度も犯罪を重ね商人保護プログラムから外れることになったほか、2002年以降も麻薬取引の罪で収監。そして2012年には心臓疾患で亡くなることになります。

■おわりに

マーティン・スコセッシはアメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨークに生まれ、『タクシードライバー』や『グッド・フェローズ』といった作品を制作したことで知られる映画監督です。イタリア系マフィアを身近に感じる幼少時代を送ったことから、スコセッシの作品には矛盾や善良さの実践といったテーマが展開されており、人間という生き物を考える上で非常に示唆的な作品となっています。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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