ジャン=ジャック・ベネックス:『ディーバ』『ベティ・ブルー』を制作した映画監督

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ジャン=ジャック・ベネックスは1946年10月8日フランス、パリに生まれた映画監督です。同年代にデビューしたリュック・ベッソン、レオス・カラックスとともに「恐るべき子どもたち」のひとりに数えられ、ヌーヴェルヴァーグ後のフランス映画界に革新をもたらした人物といわれています。そんなジャン=ジャック・ベネックスの人生と作品について詳しく解説していきます。

■ジャン=ジャック・ベネックスとは

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ジャン=ジャック・ベネックスは1946年10月8日フランス、パリに生まれました。1964年から1967年まではジャン・ベッケルのテレビドラマのアシスタントをつとめ、その後はクロード・ベリ、クロード・ジディといったフランスを代表する映画監督たちのもとで下積みを積み、1977年には短編『ミシェル氏の犬』で映画監督としてデビュー。また1981年には初の長編作品『ディーバ』を監督し、翌年のセザール賞では新人作品賞、撮影賞、音楽賞、録音賞の4部門を受賞し、大きな話題となりました。

また1982年には自由な制作の場をもつべく、制作プロダクション「カルゴ・フィルム」を設立。その後は同社で長編フィクションやドキュメンタリー作品を制作し、科学から芸術、女性の権利など幅広いジャンルを扱っていきました。

1983年にはデイビッド・グーディスの小説『The Moon in the Gutter』を映画化した『溝の月』は第36回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で上映されたものの、その難解なストーリーによりあまり高い評価を得ることはなかったものの、1986年に公開された『ベティ・ブルー』はアカデミー外国語映画賞にノミネートされるなど高く評価され、ベネックスの代表作となりました。

■ジャン=ジャック・ベネックスの作品

ジャン=ジャック・ベネックスは同年代にデビューしたリュック・ベッソンやレオン・カラックスとともに「恐るべき子どもたち」のひとりに数えられており、ヌーヴェルヴァーグ後のフランス映画界に革新をもたらした人物といわれています。ヌーヴェルヴァーグはロケ撮影や即興演出などを特長としていたものの、ニュー・フレンチ・アクション・シネマでは軽快なストーリーを主としており、ベネックスの作品もそうした作品の一つと言えます。

またその一方でカルゴ・フィルムでは科学や芸術、女性の権利など幅広いジャンルのドキュメンタリーを扱っており、フランス国立宇宙研究センターやフランス国立科学研究センターとのコラボレーションも果たしています。そうした意味では映画に加えて新しい映像表現を目指しているとも言えるでしょう。

そんなジャン=ジャック・ベネックスの作品には、どのような作品が含まれているのでしょうか。主要な作品についてご紹介します。

・『ディーバ』 1981年

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本作品は1981年に制作された作品で、ベネックスの長編デビュー作にあたります。セザール賞で新人監督作品賞など4部門を受賞したほか、シカゴ国際映画祭シルヴァー・ヒューゴ―賞を受賞したこともあり、アメリカでも大ヒット。カルト的人気を誇る映画として、世界各国にその人気が広まっていきました。

シンシア・ホウキンズはその美貌と世界最高の声の持ち主と呼ばれている黒人オペラ歌手。しかし彼女は自分の歌を決してレコーディングすることはなく、人々はその歌声をコンサートでしか聞くことは許されません。そんなシンシアの大ファンであるジュールは郵便配達として働く18歳の青年。彼の楽しみはカセット付きのバイクに乗ってシンシアの歌を聞くこと、そしていつかシンシアと共に街を散歩することでした。

そのシンシアがパリでコンサートを開くことに。ジュールは客席でひそかに歌を録音するものの、その一方で元娼婦の若い娘がある組織の秘密をすべてカセットテープに吹き込み、逃亡するという事件が起きていました。娘は組織の殺し屋に致命傷を負わされたものの、娘は最後の気力を振り絞って告白テープをジュールのカバンに投げ込み、息絶えてしまいます。

ジュールはカバンの中に告白テープが投げ込まれたのには全く気が付かず、それ以来組織の殺し屋やそれを追う警察に付きまとわれることになってしまいます。しかしレコード屋であったアルバという東洋人の女性と彼女と一緒に暮らすゴロディッシュのふたりに助けられ窮地を脱し、そしてシンシアと語り合うという夢にたどり着くことができたのでした。

・『溝の中の月』 1983年

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本作品は1983年に制作された作品で、デイビッド・グーディスの小説を映画化した作品です。原作の舞台はフィラデルフィアであるものの、ベネックスはそれをマルセイユの港町に変更。また1983年には第36回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で上映され、また第9回セザール賞では3部門にノミネートされたことで話題になりました。

とある港町。路地の奥で若い娘が剃刀で喉を掻き切って自殺する事件が発生します。男に強姦されてショックのあまり起きた事件であり、娘の兄ジェラールは妹の敵を取ろうと犯人を追うのでした。

・『ベティ・ブルー』 1986年

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本作品は1986年に制作された作品で、フィリップ・ジャンのベストセラー小説をジャン自身が自ら脚色し映画化した作品です。

35歳のゾルグは海辺の小さな村でバンガロー500軒にペンキを塗る仕事をして生計を立てていました。そんなゾルグの前に美しい女性ベティが現れ、2人はたちまち恋に落ちてしまいます。しかしベティは来る日も来る日も単調なペンキ塗りに追われていくことに耐えられなくなり、ヒステリーを起こして家具や食器を外に投げつけてしまいます。その際に段ボールに入っていたゾルグの日記風の小説を発見し、徹夜で読んだベティはすっかり感動し、ゾルグに小説家になるように薦めるのでした。

そんなある日、ベティがゾルグの雇い主と喧嘩しバンガローにガソリンをまき火をつけてしまう事件を起こしてしまいます。逃げるようにパリに向かった2人はベティの親友リサの家にしばらく住むことに、ベティはゾルグの肉筆現行をタイプしては出版社に送るという毎日を過ごしていました。一見平穏に思われた毎日だったものの、ベティは徐々に精神を病むようになり、2人は悲劇的な結末を遂げることになります。

■おわりに

ジャン=ジャック・ベネックスは1946年にパリに生まれた映画監督であり、リュック・ベッソンやレオン・カラックスとともに「恐るべき子どもたち」のひとりに数えられている人物です。2001年を最後に長編作品を発表していないものの、その後もドキュメンタリー作品などを制作しており、今後が期待される映画監督の一人といえるでしょう。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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