ウハー:魚の出しと旨味がたっぷりのロシアの伝統的なスープ

ウハーはロシアの伝統的な料理で、魚と野菜を具材としたスープを言います。サケ、スズキ、タラやチョウザメなど新鮮な魚を使用し、その出しを利用した澄まし汁のような透明なスープです。ロシアでは寒い時期に恋しくなるポピュラーな家庭料理の1つとなっています。そんなウハーの歴史と特徴について詳しく解説していきます。

◆ウハーの歴史

「ウハー」は古代インドヨーロッパ語の「液体」や「煮汁」を意味する「jucha(ユハ)」から派生した名前で、古くからロシアに存在した料理でした。10世紀頃までは魚のスープだけでなく汁物自体をウハーと呼んでおり、鶏肉や牛肉から作るスープが主流でした。しかし15世紀頃から魚料理が広く作られるようになり発展し、17世紀頃に魚のスープを指してウハーと呼ぶようになりました。

最初は庶民の間で食べられていたウハーですが次第に王侯貴族の食卓にも提供されるようになりました。貴族達のウハーは鶏肉と魚から作られたスープにワインやウォッカなども加えられ、パイやペストリーなどと一緒に出されていました。

また、修道院で作られたウハーは鶏肉からスープを作り、それに小魚や野菜を加えた物でした。ウハーは身分や貧富によって異なる具材で作られていました。

◆ウハーの特徴

ウハーは特定の魚を使ったスープではなく、「サケのウハー」や「タラのウハー」、「チョウザメのウハー」などといったように色々な種類の魚で作られます。本来は一種類の魚から作られていましたが、小魚で出しを取ったり、切り身だけを具として入れたりなど、複数の魚で作るものが美味しいといわれるようになりました。

古典的なウハーとして、パーチ(スズキの一種、淡水魚)などの白身魚で作る白いウハー、鯉やフナなどを使った黒いウハー、サケやチョウザメを使用しサフランで色付けする赤いウハーなどがあります。新鮮な魚をじっくり煮込んでスープを作り、ジャガイモやタマネギなどの根菜や野菜、さらにローレルやディル、タラゴンなどのハーブを加えて香り良く仕上げます。味付けは基本的には塩、コショウで、魚の旨味のスープをシンプルに楽しむ料理となっています。

・ウハーの主な材料

魚…新鮮な白身魚、またはサケ(その他、鯉などの淡水魚)、スープを取る為のアラ

野菜…ジャガイモ、タマネギ、ニンジン

スパイス…塩、コショウ、ペッパーコーン(全粒のコショウ)

ハーブ…ローレル、ディル(パセリ、タラゴンでも可)

その他…ウォッカ

・ウハーの主な調理法

魚をきれいに水洗いし一口大に切ります。(一匹使う場合は三枚におろし、頭や尾などのアラと切り身に分けます。)アラは湯通しをし、汚れをきれいに取り除きます。

鍋にたっぷりの湯を沸かし、ローレル、塩を入れ、アラを煮ます。

アクが出てくるので手早く取り除きます。

アクが出なくなったら、アラを取り除き、スープをろ過します。

ろ過したスープに、ペッパーコーンと一口大に切ったジャガイモ、タマネギ、ニンジンを加えて中火で煮ます。

魚の切り身の部分とウォッカを加えて更に中火で煮ます。

塩、コショウで味をととのえて器に盛ります。

ディルを細かく刻んだものを散らして出来上がりです。

◆終わりに

魚の出しをたっぷり使ったスープは日本食にも通じるものがあるように思えます。寒い地域では魚に脂がのって身が引き締まり、そのスープはコクがある絶妙な美味しさとなります。メニューにウハーがあったときには、是非一度食べてみてはいかがでしょうか。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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