アリコ・ダンゴテ:アフリカでもっとも裕福な実業家

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アリコ・ダンゴテは1957年4月10日にイギリス領ナイジェリアのカノに生まれた実業家です。アフリカのコングロマリット企業、ダンゴート・グループの創設者兼会長であり、さまざまな慈善活動にも力を入れています。そんなアリコ・ダンゴテの人生やビジネスに関して詳しく解説していきます。

■アリコ・ダンゴテの幼少期

アリコ・ダンゴテは1957年4月10日イギリス領ナイジェリアのカノに生まれました。一家は裕福なイスラム教徒であり、曾祖父はナッツをはじめとした貿易会社を経営していたアルハザーン・ダンダタであることでも有名です。

その後シェイク・アリ・クマシ・マドラサで教育を受けたダンゴテは、カノのキャピタル高校を卒業し、またビルニン・クドゥのガバメント・カレッジを卒業。その後回路のアルアズハル大学で商学と経営の学士号を取得しました。

■ダンゴテ・グループの設立

その後叔父から3000ドルの融資を受けて、1970年代に小さな商社を設立。その年のうちに会社を拡大させるためにラゴスに移転し、1981年にダンゴテ・ナイジェリア・リミテッドとブルースター・サービスを設立。しています。砂糖やセメント、米、生鮮食品などをナイジェリア市場に流通させる貿易会社として運営していったものの、1990年には製造業に事業を拡げ、繊維製品や製粉、製塩、製糖などにも手を広げるようになっていきました。

またこのころナイジェリア市場においては食品やアルミニウム製品、セメントの出荷や輸入などには政府のライセンスが必要な時期であり、ライセンスを得たのち同じくフランスのセメント製造会社であるラファージュと競合することもあったものの、売り上げを伸ばすことに成功していきました。1986年には輸入におけるライセンス制が終了したものの、塩や砂糖、米を大量に扱うようになっていたダンゴテ・グループは徐々にセメント事業を縮小していきました。

1989年には製造業に進出。テキスタイル・ミルズ・リミテッドを設立し、カノではテキスタイル・ウィービング・ミル、ラゴスではナイジェリア・テキスタイル・ミルズ・リミテッドの2工場を設立していたものの、1997年以降はブラジルやヨーロッパからの輸入品との競合の結果、繊維部門が弱体化したこともあり製糖や製粉といった消費財の製造に専念するようになります。それに伴ってダンゴート製糖所やパスタ製造所、コギ州オバハナのセメント事業への投資などを行っていきました。

その後ベニン、ガーナ、ナイジェリア、ザンビア、トーゴなどに市場を広げ、現在では10か国で18を超える子会社を運営しています。その事業はセメントや砂糖、小麦粉、塩、調味料、不動産、石油、天然ガスなどがあり、アフリカ有数のコングロマリットとなっています。

■ダンゴテ・グループの子会社

・ダンゴテ・セメント 1992年

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ダンゴテ・セメントは1992年に設立されたセメントメーカーで、ナイジェリアにおけるセメントや関連製品の製造、準備、輸入、放送、流通などを行っている会社です。アフリカ9か国に工場や輸送ターミナルを持っており、アフリカを代表する企業の一つとして知られています。

もともとはオバジャナ・セメント・プラクとして1992年に設立されました。その後2010年7月にはダンゴテ・セメント・プラクに社名を変更し、2010年にはナイジェリア証券取引所に上場。一時はナイジェリア証券取引所の時価総額の20%を占めており、ナイジェリアの主要産業の一つと言えます。

・ダンゴテ製油所 2013年

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ダンゴテ製油所は2013年9月に設立が発表された製油所であり、アフリカ有数の製油所の一つです。設立発表の際にダンゴテは33億ドルの資金を確保したと発表。製油所の費用は90億ドルと見積もられ、そのうち30億ドルはダンゴテ・グループの出資、残りは銀行の出資で賄われることが決定し、2016年までには生産が開始されるとされました。しかし製油所の建設は石油発掘とインフラ整備の問題で2016年までに開始されることはなく、2018年後半まで延期されることになります。

2017年7月には大規模な建設が始まり、ダンゴテは2019年後半に設備が完成し、2020年初頭までには稼働すると発言したものの、実際のところ2022年まで完全な稼働は難しく、おそらく2022年になるだろうといわれています。その一方で尿素肥料工場関連プロジェクトは2018年に操業を開始し、毎年300万トンの尿素が生産されています。

製油所はラゴス州レッキに位置しており、6180エーカーの敷地を誇る巨大なものです。毎日65万バレルの原油を処理し、パイプラインを介してニジェール・デルタの油田から輸送されることになっています。また天然ガスも供給されて製油所の発電に使用されており、油田開発としては極めて条件のいい場所にあるといえるでしょう。

■慈善活動

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こうしたビジネスの一方で、ダンゴテはさまざまな支援活動や慈善活動に力を入れてきました。アフリカ企業協議会のメンバーかつ、国連事務総長のグローバル・エデュケーション、イニシアチブ、クリントン・グローバル・イニシアチブ、ビジネス補油議会の世界経済フォーラムのメンバーとしても知られており、2016年9月には全米商工会議所からアメリカ・アフリカ・ビジネスセンターの共同議長にも任命されています。

慈善活動としてはモスク保全のために5000万ナイジェリアドル、大統領図書館に2億ナイジェリアドルを寄付しました。ただしこの寄付はそのころ汚職で世間を騒がせていた与党PDPへの賄賂と見なされかねないものであり、物議をかもすこととなりました。

また2014年にはアリコ・ダンゴテ財団に12億5000万ドルの寄付を行い、健康や教育、経済活動に対する支援を行うことを発表しました。加えてポリオ撲滅に対し、マイクロソフトの共同創業者であるビル&メリンダ・ゲイツ財団と協力関係にもあり、全世界とのパイプ役となってアフリカの経済発展に尽力しています。

■おわりに

1957年4月10日イギリス領ナイジェリアのカノに生まれたアリコ・ダンゴテ。小さな商社から始まったダンゴテ・グループは今やもっともアフリカで大きなコングロマリット企業となっています。ダンゴテ自身も2013年に個人資産が92億ドルを超えたことにより、アフリカでもっとも裕福な人物にランクインし、大きな注目を集めることとなりました。

こうしたビジネス活動の一方、慈善活動や国際的な親善活動を行っており、アフリカを代表する企業人ともいえるのではないでしょうか。今後ダンゴテはどのようなビジネスや活動を展開していくのでしょうか。今後が期待されます。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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