アリステア・マクリーン:『女王陛下のユリシーズ号』を執筆した小説家

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アリステア・マクリーンは1922年4月21日スコットランドのグラスゴーに生まれた小説家です。海洋冒険小説の不朽の名作とて名高い『女王陛下のユリシーズ号』を執筆したことで知られており、その後のスパイ小説に大きな影響を与えました。そんなアリステア・マクリーンの人生と作品について詳しく解説していきます。

■アリステア・マクリーンとは

※スコットランドのグラスゴー

アリステア・マクリーンは1922年4月21日スコットランドのグラスゴーに生まれました。第二次世界大戦の折にはイギリス海軍に所属し、水雷隊員として従軍。戦後はグラスゴー大学で英語を学び、その後は教師として働いています。

教職の傍ら、マクリーンは短編小説を執筆するようになり、1954年には『ディレアス』で作家デビュー。また戦時中の体験を元に執筆した『女王陛下のユリシーズ号』は大ベストセラーとなり、以降は戦争やスパイ小説を主に執筆していくことになります。

この一方で1960年代初頭には「イアン・スチュアート」名義で2作品を発表。これは作家名ではなく、作品の面白さによって人気を得ていることを確かめるためのものだったものの、その著述スタイルが変わることはなかったため、ファンはマクリーンの作品だと見抜いていたといわれています。

その後税金対策としてスイスに移住。人気作家としての地位は不動のものとなったものの、晩年はアルコール中毒に苦しみ、1987年にはミュンヘンで生涯を閉じることとなります。

■アリステア・マクリーンの作品と作風

アリステア・マクリーンの作品は同じスパイ小説を執筆したという点で、よくイアン・フレミングと比較されます。フレミングと比較するとマクリーン作品はいわゆるロマンスシーンが少なく、任務遂行に極めて忠実な登場人物たちを主軸に物語が侵攻していきます。加えて海軍に所属していた経験を活かし、海や北極圏などを作品のアクセントとして用いたことにより、他の作家とは異なる世界観を作り出すことに成功しています。

そんなアリステア・マクリーンの作品には、どのような作品が含まれているのでしょうか。主要な作品をご紹介いたします。

・『女王陛下のユリシーズ号』 1955年

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本作は1955年に発表された作品で、第二次世界大戦中のイギリス海軍における経験をもとに、ソ連に援助物資を送る架空の輸送船団ER77とドイツ軍との死闘を描いた作品です。

時は第二次世界大戦。艦内で反乱がおきた巡洋艦ユリシーズは休養を許されることなく、疲れ果てたまま輸送船団の護衛任務に就くことになります。しかしその任務地は極寒の北極海でアリ、想像を絶する寒さと暴風、そして執拗なドイツ軍の攻撃によって輸送団は次々と撃ち果たされ、ユリシーズの乗組員もまた満身創痍の中でひとり、またひとりと倒れていくのでした。

・『ナヴァロンの要塞』 1957年

(Public Domain/‘Theatrical poster for the film The Guns of Navarone (1961)’ by Incorporates artwork by Howard Terpning. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

本作は1957年に発表された作品で、第二次世界大戦を題材とした戦争小説です。1961年に映画化されたことでも大きな話題になりました。

第二次世界大戦中の1943年。イギリス軍の将兵2000名はドイツ占領地に囲まれたギリシアのエーゲ海にあるケロス島に追い込まれ、孤立してしまいます。脱出のためにはその南にあるナヴァロン島に配備された巨砲の射程内を通過しなくてはならず、またこのナヴァロンの巨砲は数多くの巡洋艦や駆逐艦が撃沈されていることで有名な悪名高い要塞でした。

援軍のイギリス海空軍は何度もナヴァロン攻撃を試みたものの、ナヴァロンは岩肌をくりぬいて作られた穴に設置された難攻不落の要塞であり、爆撃も空挺兵による襲撃も失敗に終わってしまいます。ドイツ軍による総攻撃まであと1週間となったとき、世界的な登山家マロリーが率いる一隊が潜入任務にあたることになります。マロリーの舞台は警備が手薄と推測されているナヴァロン島南の断崖をよじ登り、島に侵入しようと考えていたものの、実はその作戦さえもドイツ軍に筒抜けになっていたのでした。

・『黄金のランデブー』 1969年

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本作は1969年に発表されたスリラー小説で、1977年に映画化されたことでも話題になった作品です。

貨客船カリビアン・スター号はカリブ海に出航。船主のチャールズ・コンウェイやギャンブラーのヴァン・ハーデンらはその豪華な生活を楽しんでいたものの、何者かによって通信士が殺害される事件が発生してしまいます。一等航海士のジョン・カーターは通信士が殺害される直前、船が危険であることを知らせる通信をする途中だったことに気が付き、独自に捜査を始めていくのでした。

カーターはまずトニー・セダンを疑い、部屋に忍び込むと無線を盗聴するためのヘッドホンを発見。セダンにそのことを聞こうとすると看護師がカーターに向かって発砲し、カーターは何とか看護師を射殺して九死に一生を得ます。しかしその直後窓から銃を持った集団が突入し、カーターは足を撃たれてしまいます。集団のボスは客として乗船していたカレラスで、船は爆弾を運ぶために利用されていたのでした。

・『北極の基地/潜航大作戦』 1963年

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本作は1963年に発表されたアクション作品で、1968年には映画化されたことでも話題になった作品です。

北極にあるイギリスの気象観測基地「ゼブラ」からSOSを受けたアメリカの原子力潜水艦ターガーフィッシュ号は北極に急行。しかし気象観測所の所員は半分以上が亡くなっており、しかもそのうち3人は射殺されていました。事件は米ソのミサイル基地を撮影したソ連の偵察衛星がゼブラの敷地内に墜落し、そのフィルムを奪い合った際に起きたものであり、ソ連はフィルムを回収するべく工作員を派遣。ファラディ艦長やイギリス諜報員ジョーンズは、事件に巻き込まれていくのでした。

■おわりに

アリステア・マクリーンは1922年4月21日スコットランドに生まれた小説家であり、第二次世界大戦中海軍に従軍した際の経験を活かし、さまざまな冒険小説を発表した小説家です。その冷静沈着かつシニカルな登場人物や海の描写などは、その後のスパイ小説や冒険小説にも大きな影響を与えました。

またマクリーン作品の特長は、その作品の多くが映画化されている点です。ぜひ小説と映画の両方を楽しむことで、マクリーン作品の世界観を楽しんでみてはいかがでしょうか。

アリステア・マクリーンのIMDb

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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