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アレックス・デ・ラ・イグレシア:『気狂いピエロの決闘』や『スガラムルディの魔女』を制作した映画監督

アレックス・デ・ラ・イグレシアは1965年12月4日にスペイン・ビスカヤ県ビルバオに生まれた映画監督です。大学では哲学を学んだ後、漫画業界やテレビ業界で働き、1993年には長編映画監督としてデビュー。ゴヤ賞やスペイン映画国民賞を受賞するなど、スペインを代表する映画監督として高く評価されています。そんなアレックス・デ・ラ・イグレシアの人生と作品について詳しく解説していきます。

■アレックス・デ・ラ・イグレシアとは

アレックス・デ・ラ・イグレシアは1965年スペインのバスク地方、ビスカヤ県ビルバオに生まれました。デウスト大学では哲学の学位を取得し、漫画業界やテレビ業界で働き、1993年にはペドロ・アルモドバル監督が手掛けた『ハイル・ミュタンテ/電撃XX作戦』で長編デビュー。1995年に発表された第二作目『ビースト 獣の日』ではゴヤ賞で6部門を受賞。また1999年の『どつかれてアンダルシア(仮)』ではスペイン国内で『タイタニック』を上回る興行収入を記録するなど、スペインを代表する映画監督となっていきました。

そうした業績が評価されて2009年にはゴヤ賞を主宰するスペイン映画芸術科学アカデミーの会長に就任するものの、映画の違法ダウンロードに関するシンデ法で意見が対立し、2011年には辞任。さまざまな問題はあったものの、2010年に制作されたスペイン内戦とフランシスコ・フランコ独裁政権末期を背景にした『気狂いピエロの決闘』はヴェネツィア国際映画祭で大絶賛され、銀獅子賞と金オゼッラ賞を受賞し、ゴヤ賞でも特殊効果賞やメイクアップ賞、ヘアスタイル賞などを受賞しました。2013年の『スガラムルディの魔女』ではゴヤ賞で最多8部門を受賞し、スペイン国内では70万人以上の観客動員を記録。現在スペインにおいてもっとも今後が期待される映画監督のひとりとなっています。

■アレックス・デ・ラ・イグレシアの作品

アレックス・デ・ラ・イグレシアの作品は恐怖や極限状態を主題としていることが多く、そうしたシーンの中にユーモアをちりばめる表現方法で有名です。こうした表現はイグレシアの幼少期、暴れまわる祖母を家族全員で押さえつけていた経験からきており、「今振り返って考えると、それはとても笑える出来事。パーティーで笑うよりも、お葬式で笑うことに意味があるように、苦悩すればするほど物事は面白くなることを知った」とのちに語っています。

そんなイグレシアの作品には、どのような作品が含まれているのでしょうか。主要な作品についてご紹介します。

・『ビースト 獣の日』 1995年

※画像はイメージです

本作品は1995年に制作された作品で、イグレシアの長編第二作目にあたります。「反キリスト」をテーマにしたコメディ・ホラーであり、ゴヤ賞では6部門を受賞しました。

1995年12月24日、黙示録の研究に人生をささげてきた司祭アンヘルは聖書の解読に成功します。翌日マドリッドのどこかに生誕するはずの「反キリスト」抹殺を企て、悪魔を降臨させるために悪行を重ねます。そうした中で知り合った悪魔を崇拝するヘビメタ・ショップの店主ホセ・マリアは、テレビでオカルト・ショーのホストを務めるカヴァン博士なら悪魔を呼び覚ます方法を知っているはずだといい、2人はカヴァン博士のもとに急行。実際カヴァン博士は悪魔の存在など信じてもいない人間だったものの、儀式を行うと悪魔の化身とおぼしき黒山羊が出現します。そして3人は思いがけない結末を迎えることになります。

本作品は最初こそ主人公である司祭の行き当たりばったりの行動に笑いを誘われるものの、クライマックスに向かうにしたがって徐々にシリアスなものになっていき、巧みな展開になっています。ユーモアたっぷりに物語は展開されるものの、脚本がしっかりしているため、じっくりと楽しめる作品になっています。

・『どつかれてアンダルシア(仮)』 2001年

※画像はイメージです

本作品は1999年に制作された作品で、1981年2月の軍事クーデター未遂事件や1992年のバルセロナオリンピックなど現代スペインにおける歴史的な出来事がストーリーに組み込まれながら展開していく点も見どころのひとつとなっています。

1970年代のはじめ、アンダルシア地方の酒場で知り合った痩せ男のニノとでぶ男のブルーノは、旅芸人一座の舞台にあがります。ニノは緊張のあまり一言もしゃべれず、ブルーノはそんなニノに平手打ちをしてしまいます。しかしこの平手打ちが大うけし、2人はスペインの国民的な人気者になっていきます。しかし二人は互いに相手の才能に嫉妬するようになり、策略劇が展開していきます。

・『オックスフォード連続殺人』 2008年

※オックスフォード大学

本作品は2008年に制作された作品で、ギジェルモ・マルティネスの同名小説を映画化した作品です。主演には『ロード・オブ・ザ・リング』のイライジャ・ウッド、そして『ルワンダの涙』のジョン・ハートを配したことで話題になりました。

世界的な数学者のセルダム教授にあこがれてイギリスのオックスフォード大学に留学したアメリカ人のマーティンは、セルダムの古い友人でもあるイーグルトン夫人の家に下宿することになります。ある日下宿先に戻ってきたマーティンは夫人のもとを訪れてきたセルダムに出会いますが、二人で夫人の部屋に向かうと、そこには夫人の他殺体が横たわっていました。またセルダムのもとには連続殺人事件を思わせる謎めいたメモが届いており、その後も不可解な事件が続いていきます。2人は真相解明に乗り出すものの、思いがけない結末が2人を待っていました。

・『気狂いピエロの決闘』 2010年

※画像はイメージです

本作品は2010年に制作された作品で、第67回ヴェネツィア国際映画祭でプレミア上映された作品です。

サーカス団員として働く中年男のハビエルの父は人気道化師でしたが、スペイン内戦の際に軍に連行され、ひどい傷を負わされていました。ハビエルは父のようになりたいと日々努力していたものの、さえない泣きピエロとして活動していました。またハビエルはサーカス団の団員で美しいナタリアをひそかにしたっていましたが、ある日ナタリアの愛人の道化師セルヒオが暴力をふるっているのを目撃してしまいます。ハビエルはナタリアを介抱し、それをきっかけに2人の関係は親密になるものの、それを知ったセルヒオは嫉妬からハビエルにも暴力を振るようになってしまいます。

■おわりに

アレックス・デ・ラ・イグレシアはスペイン出身の映画監督で、ブラックコメディーからミステリー、スペイン現代史をテーマにした作品など幅広いジャンルの作品を制作している映画監督です。作品の多くが極限状態や恐怖をテーマとしているものの、各所にユーモアがちりばめられているのがイグレシア作品の特長で、こうした手法はスペイン国内はもちろん、世界的にも熱狂的なファンがいるほどです。今後イグレシアはどのような作品を制作していくのでしょうか。今後が期待されます。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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