ウィーン:心が踊る音楽の都

オーストリアの首都ウィーンは、世界的にも有名な音楽家を多数輩出してきた「音楽の都」として有名な街だ。13世紀に名門「ハプスブルク家」の元、城塞都市として発展してきた。現在はその城塞都市としての役割を終え、「ウィーン歴史地区」として、世界遺産のひとつにも認定されている。2017年には再開発の影響から「世界危機遺産」のリストにも名を連ねたウィーン、現在ある美しい街並みの魅力を知ってもらうために、音楽の都ウィーンの魅力をお伝えしていこう。

ウィーンは音楽の都

ウィーン古典派とも呼ばれる偉大な音楽家「モーツァルト」「ハイドン」そして「ベートヴェン」。世界的にも知られている音楽家を多数輩出していることから、ウィーンは「音楽の都」の別称でも知られています。街中には音楽用のコンサートホールが多数点在しており、どんな場所にいても音楽を意識せずにはいられないでしょう。有名な「ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団」や、「天使の歌声」ともいわれる「ウィーン少年合唱団」も、ウィーンを本拠地に活動しています。クラシック音楽やオペラなど、日常的に聞いたことがないような人でも、十分に音楽を楽しめる。そんな雰囲気が、ウィーンの街を通して伝わってくるようです。

音楽の都として知られているウィーンですが、現在はユネスコが認定する世界遺産としても、名を馳せています。ウィーンで登録されているのは「歴史地区」。ウィーンの持ついくつもの歴史的な建造物と、これまでの音楽の都としての功績が認められ、2001年に「ウィーン歴史地区」の名称で認定されています。13世紀以降、ハプスブルク家の元発展を遂げてきたウィーンの街には、さまざまな建築様式を用いた建造物が数多く立ち並んでいます。道路は石畳になっている部分も多く、街角には凛(りん)とした白馬が連ねる馬車も用意されています。

まるで中世の時代にタイムスリップしたかのような雰囲気が、全身で味わえるウィーンの素晴らしい街並み。ウィーンの街は、五感すべてを総動員しても足りないくらいの刺激を、あなたの感性にもたらしてくれるでしょう。

世界遺産、ウィーンの見所

美しいウィーンの歴史地区、その中にはとりわけ荘厳で美麗な雰囲気を持つ建造物が残されています。ここではそれらの建造物の中から、必ず見ておきたい見所をいくつかご紹介します。

1.シュテファン大聖堂(Stephansdom)

シュテファン大聖堂は、現地で「シュテッフル」の愛称で親しまれています。シュテファン大聖堂の建設は12世紀半ば、それから幾度もの変更を加えられ、14世紀には現在のゴシック様式の外観に変更されています。シュテファン大聖堂の中でもとりわけ目を引く高さの「南塔」。この南塔の高さはなんと136.7mもあり、世界で3番目に高い協会の塔としても有名です。南塔は完成までに、65年もの歳月がかかっているといわれます。

シュテファン大聖堂は、ハプスブルク家の歴代君主の墓としての役割も備え、また世界的にも有名な音楽家モーツァルトの結婚式、葬儀もこのシュテファン大聖堂でおこなわれています。屋根には特徴的なモザイクタイルが施されており、地上からでも楽しむことができます。タイルの使用枚数は圧巻の約23万枚。屋根全体の模様は、しばらくの間見入ってしまうほどの美しさを持っています。

シュテファン大聖堂の地下には「カタコンベ(地下墓地)」があり、1日に数回ガイドツアーが開催されています。美しい外観はもちろん、聖堂内にたっぷりとある彫刻やレリーフは一見の価値有り。また北と南の塔には登ることもでき、塔の上からは美しいウィーンの街並みが一望できます。北塔にはエレベーターがあり、簡単に登ることができますよ。頂上にはヨーロッパで二番目に大きい鐘「プムメリン(Pummelin」があるので、ぜひご一緒にご覧ください。

2.ウィーン国立歌劇場(Wiener Staatsoper)

世界でもトップクラスのバリエーションと、演目数を誇るウィーン屈指の歌劇場が「ウィーン国立歌劇場」です。ウィーン国立歌劇場はオペラ座とも呼ばれており、完成したのは1863年、150年以上もの歴史がある建造物です。ケルントナー通りの南に位置するウィーン国立歌劇場は、王家ハプスブルク家の威信をかけて作られました。外観の美しさや荘厳さは、今なお変わらずその堂々とした姿を保ち続けています。

1シーズンに訪れる観光客の数は60万人以上ともいわれ、ウィーン市街でも有数の観光スポットになっています。オペラやバレエをはじめとして、舞踏会が開催されることもあります。ウィーンの紳士淑女に混ざり込み、芸術や音楽に触れる時間を過ごすのもまた一興でしょう。昼間には歌劇場内部を巡るツアーが催行され、夜にはオペラやバレエの上演がおこなわれています。

3.ホーフブルク宮殿(Hofburg)


ハプスブルク家の歴代皇帝が住んでいたお屋敷が、ホーフブルク宮殿。別名「ホーフブルク王宮」とも呼ばれ、現在はオーストリア大統領の公邸としても使用されています。敷地内には宮殿をはじめとして庭園や図書館、美術館もある複合的なエリア。度重なる増改築を経て、現在では巨大な迷路のような造りになっています。その敷地の広さは宮殿内を見て回るだけでも、1日以上はかかるといわれるほどです。

中でも見所として外せないのが「旧王宮」。旧王宮はかつての皇帝が、実際に生活をしていた場所です。現在は王宮内部に「銀器コレクション」「シシィミュージアム」「皇帝の部屋」などがあり、チケットを購入して内部を見て回ることが可能です。

旧王宮の建物中央にそびえる大きな門は「ミヒャエル門」。ミヒャエル門のモデルのなったのは、ローマにある「凱旋門」といわれています。ゆるやかに円を描くように建てられたミヒャエル門は、思わず見上げてしまいそうな迫力感。旧王宮と並んで、当時の王家の圧倒的な権力を誇示しているかのようです。ミヒャエル門の入り口横には、これまた圧倒的な存在感を放つ、4体の像が鎮座しています。

旧王宮内部に入ると、まずたどり着くのが「銀器コレクション」です。展示されているその種類の豊富さに驚くことでしょう。ガラス越しに展示される鮮やかな銀器の数々。コレクションには金器や陶器も含まれています。中でも注目は、テーブルに設置されていたというセンターピースです。神々や動物の繊細な細工に、心を奪われることは間違いないでしょう。当時の食卓の豪華なひと時が、ありありと頭に浮かび上がってくるようです。

続く「シシィミュージアム」は、オーストリア皇帝であったフランツ・ヨーゼフ1世の皇后、エリザベート(愛称シシィ)」の生涯を追体験するもの。絶世の美女ともいわれた彼女の人生を、それぞれの時代にわけて紹介しています。「少女時代」「王宮での生活」「暗殺」など、壮絶な生涯を送ったとされる皇后シシィの一端を知る、貴重な機会となるでしょう。飾られた肖像画から伝わるシシィの絶世の美しさ、その眼差しにはさまざまな想いが込められていたのでしょうか。

「皇帝の部屋」では、フランツ・ヨーゼフ1世が使っていた執務室などを見ることができます。ロココ様式で作られた内装は、現在も当時のままに保存されています。美しいシャンデリアや漆喰を使った装飾など、鮮やかな皇帝の生活をさまざまな視点から知ることができるでしょう。

旧王宮のいくつもある見所の他、ホーフブルグ宮殿の敷地内にはまだまだ注目のスポットが豊富です。世界一美しいといわれる「オーストリア国立図書館」や、元々は皇室専用の庭園だったとされる「王宮庭園」など、短時間で全てを見尽くすことは難しいでしょう。ホーフブルグ宮殿へは、ぜひ1日以上の時間の余裕を持って訪れてみてください。そしてその魅力を、隅から隅まで堪能し尽くしてみてください。

旧市街を取り囲む環状路「リング通り」

ウィーンの世界遺産地区である「旧市街」。その旧市街を取り囲む環状道路が「リング通り(Ringstraze)」です。1857年、時の皇帝フランツ・ヨーゼフの声により、リング通りの建造が始まりました。完成となるのは、それから約50年以上も先のことです。リング通りには貴族や上流階級の市民により、豪華絢爛な建造物がいくつも建てられました。それらの建築様式は、共通する見た目の特徴から「リング大通り様式」と呼ばれ、現在も色褪せることなく、当時の栄光を現在に伝えています。

リング通りの全長は約5.3kmにも及び、歴史的な建造物の他、国立歌劇場やホーフブルク宮殿、国会議事堂など、ウィーンを代表するアイコニックな建物も近くに軒を連ねています。とりわけ注目なのは美術史博物館や自然史博物館。中に展示された歴史的、文化的に価値のある美術品をはじめ、建築自体も素晴らしく、世界的な評価を集めています。

リング通り沿いには、ショッピングストリートやカフェ、レストランも多く立ち並びます。散策の合間の休憩に、ゆっくりとしたディナータイムに、これほど適した場所はないでしょう。ウィーンの名物「ターフェルシュピッツ(Tafelspitz)」は牛肉と野菜を長時間、トロトロになるまで煮込んだ料理。りんごや西洋ワサビのソースをつけていただきます。

「目を楽しませ、舌を楽しませる」。リング通りに溢れる魅力的な名所の数々は、ウィーン滞在中のハイライトとなる充実した時間を、あなたにもたらしてくれるでしょう。

音楽の都「ウィーン」の魅力

古くからたくさんの芸術家を魅了してきた音楽の都ウィーン。その魅力はもはや、音楽のみに止まりません。芸術や美術、歴史的な建造物など、人間が持ちうる感性の全てを刺激する要素を持ち合わせいます。ウィーンは「音楽の都」、というよりも「芸術の都」といった方がしっくりくるかもしれませんね。たとえ目的なくふらっと訪れても虜(とりこ)になってしまう、そんな魔法のような魅力が、ウィーンの街には漂っています。

「音楽をはじめ、芸術にもあまり興味がない」そんな人にこそ、ウィーンの街へ訪れてもらいたいと思います。街の中で出会う美しい建物、ウィーンに住まう人々、ふと耳に入る聞いたことのないような楽器の旋律。それらがもたらす心への刺激は、これまであなたが知らなかった心の扉を、簡単に開けてしまうかもしれません。

ぜひ中央ヨーロッパの国オーストリアへ、首都ウィーンへ、旅の目的地を定めて飛び出してみてください。思いがけない出会いが、あなたを待ち受けているかもしれませんよ。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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