アンソニー・ミンゲラ:『モース警部』や『イングリッシュ・ペイシェント』を制作した映画監督

アンソニー・ミンゲラは1954年1月6日イングランドのワイト島に生まれた映画監督です。舞台演出や脚本家として活動したのち、1991年には映画監督としてデビュー。その後『イングリッシュ・ペイシェント』でアカデミー監督賞を受賞し、高い評価を受けました。そんなアンソニー・インゲラの人生と作品について詳しく解説していきます。

■アンソニー・ミンゲラとは

アンソニー・ミンゲラは1954年1月6日イングランドのワイト島に生まれました。父はイタリア人とスコットランド人のハーフでアイスクリーム屋のオーナー、母はリーズ出身で、弟と妹はその後同じ脚本家として活動することになります。

ノースヨークシャー大学のハル大学を卒業したのちは、脚本家として活躍。1984年には『Made In Bangkok』でロンドン劇場批評家賞を受賞し、高い評価を得ました。1991年には『愛しい人が眠るまで』で映画監督デビューを果たし、英国アカデミー賞脚本賞を受賞しています。

その後1996年公開の『イングリッシュ・ペイシェント』ではアカデミー監督賞を受賞。1999年公開の『リプリー』はアカデミー脚色賞にノミネートされるなど、世界的にもその名前は知られるようになり、2000年にはイギリス王室からCBEの称号を授与。イギリスを代表する映画監督として認められるようになっていきました。

しかし2008年3月18日がん手術後の合併症により、病死。54歳の生涯を閉じることとなります。プロデューサーとしてかかわった『愛を読む人』はアカデミー作品賞にノミネートされ、故人を追悼する作品となりました。

■アンソニー・ミンゲラの作品

アンソニー・ミンゲラの作品の特長は叙情的な語り口と美しい映像といえます。また登場人物たちの内面を細やかに描きつつ、社会問題への関心を投げかけるストーリー展開はミンゲラ作品の大きな特徴といえるでしょう。

そんなアンソニー・ミンゲラの作品には、どのような作品が含まれているのでしょうか。主要な作品についてご紹介します。

・『愛しい人が眠るまで』 1991年

本作品は1991年に制作された作品で、恋人の死で心を閉ざした女性が幽霊になって表れた彼との交流を通して立ち直っていく姿を描いた作品です。

ロンドンで翻訳の仕事をしているニーナは、2年前恋人だったジェイミーに先立たれ、そのショックから立ち直れずにいました。ジェイミーはプロのチェリストで、その音色が忘れられないニーナは思い出のバッハの曲を弾いて自らを慰めていましたが、そこに突然チェロの音色が重なり彼女を驚かせます。それは幽霊になったジェイミーがこの世に戻ってきて、ニーナの演奏に合わせてチェロを奏でていたのでした。大喜びのニーナは昔のように2人の世界で幸せな時を過ごすものの、ジェイミーはわがままな振る舞いするばかりで困惑するのでした。

ある日友人と入ったレストランで、精神障碍者の世話をする仕事をしているマークに出会ったニーナは、ジェイミーがいると知りつつも、彼に惹かれていきました。そんなニーナの姿を見たジェイミーは姿を消し、ニーナはジェイミーのチェロを処分。そしてマークと新しい人生を進むことを決意します。それを外から見つめるジェイミーは、ようやく愛しい人が新しい道を歩み始めたことに安堵するのでした。

・『最高の恋人』 1993年

本作品は1993年に制作された作品で、「最高の恋人を見つけたい」という願いを胸に真実の愛を探す5人の男女を描いた作品です。

舞台はニューヨーク。電気技師のガスはリーと若くして結婚したものの、リーはいつしか新しい人生を求めるようになり、アルバイトをしながら大学に通う日々を送っていました。ガスは看護婦の恋人リタと付き合うようになったものの、リーに慰謝料を送り続けており、またリーは大学教授のトムと不倫関係にもありました。

そんなある日、ガスに廃墟になったボウリング場を買い取り、リニューアルオープンさせるというもうけ話が転がり込んだものの、慰謝料を払うので精いっぱいのガスには資金がなく、その相談を受けた友人のホープはリーに再婚相手を紹介することを提案。ガスは早速リーに男性を紹介したものの、トラブルが発生。謝罪のためにリーを誘った食事の席で、2人は素直な気持ちを打ち明けるのでした。

数日後、リタが働く病院のパーティーに出向いたガスだったものの、薬剤師のドミニクと交際中のリーを見かけて激しく動揺。実は誠実なドミニクに心を寄せるようになったリーは、トムとの不倫関係に終止符を打っていたのです。それから数日後ガスはリーがプロポーズを受けたことを知らされ、慰謝料から解放されるにもかかわらず、素直に喜べずにいました。そしてガスは本当の気持ちをリーに告白。リーは再考の恋人が誰なのか、はっきりと気が付くのでした。

・『イングリッシュ・ペイシェント』 1996年

本作品は1996年に制作された作品で、イギリスのブッカー賞を受賞したマイケル・オンダーチェの長編小説『イギリス人の患者』を映画化した作品です。第69回アカデミー賞で監督賞、助演女優賞、美術賞、撮影賞、衣裳デザイン賞、編集賞、オリジナル作曲賞、音響賞の9部門を受賞したことでも話題になりました。

第二次世界大戦末期のイタリア。カナダ人看護師のハナは、空襲で破壊された修道院で重いやけどを負った患者を世話しながら暮らしていました。その男は英語は話すものの、自分の名前を思い出すことはできず、やがて地雷処理を行うキップやカナダ軍諜報部隊のデヴィッド・カラヴァッジョなどが集うようになっていきました。

そんな中男は徐々に記憶を取り戻していきます。彼はハンガリー人のアルマシー伯爵で、1930年代後半リビアの砂漠を探検していました。イギリス人のパートナーと共に考古学調査の一環でサハラ砂漠の地図を作成していたものの、調査グループに加わったキャサリン・クリフトンとアルマシーが不倫関係に陥ったことから調査隊の雰囲気は悪化していくのでした。

■おわりに

アンソニー・ミンゲラは1954年1月6日イングランドのワイト島に生まれた映画監督であり、『愛しい人が眠るまで』や『最高の恋人』、『イングリッシュ・ペイシェント』など叙情的な映像で鑑賞者の心に訴えかける作品を制作したことで知られています。惜しくも2008年54歳でその生涯を閉じることになりますが、イギリス映画界を牽引したその功績は非常に大きいといえるでしょう。イギリス映画に関心のある方は、ぜひこれを機会にミンゲラ作品を鑑賞して見てはいかがでしょうか。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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