イヴァン・アタル:自らも俳優として出演する映画監督

イヴァン・アタルは1965年1月4日にイスラエルのテルアビブに生まれた映画監督です。映画監督として数々の作品を制作していることに加え、舞台俳優や脚本家としても活躍していることで知られており、多彩な人物として高く評価されています。そんなイヴァン・アタルについて詳しく解説していきます。

■イヴァン・アタルとは

※イスラエルのテルアビブ

イヴァン・アタルは1965年1月4日イスラエルのテルアビブに生まれました。父親は時計製造業を営んでおり、一家はアルジェリアのユダヤ人コミュニティ出身でした。アルジェリアが独立宣言を行うと、イスラエルに移住し、その後パリの公営住宅に住まうようになります。その際アタルが描いた将来の夢はサッカー選手や医者といったものでしたが、両親と映画館に通うようになり、映画の仕事にあこがれるようになります。アタルは父の仕事を手伝い、パリのジーンズ店で働くようになりましたが、20歳で演劇学校クール・フロランに進学、映画監督しての道を歩みだすことになります。

アタルは当初エリック・ロンシャンの長編映画デビュー作である『愛さずにいられない』のスタッフとして参加する予定でしたが、主人公イッポの相棒役を与えられたことにより映画俳優デビューし、セザール賞の有望若手男優賞を受賞します。その後もフランス最優秀若手俳優賞を受賞し俳優としてのキャリアを歩んでいくかのように見えましたが、1997年には短編映画の『I Got a Woman』で監督デビューし、多くの作品を制作しました。

1991年の『愛を止めないで』で共演した女優のシャルロット・ゲンズブールとは1997年に結婚し、息子と娘に恵まれ、私生活も恵まれたものとなりました。また2012年にはデイビッド・マメットの『Race』で本格的に舞台俳優デビューし、その活動の幅を広げています。

■イヴァン・アタルの作品

イヴァン・アタルの映画監督としての作品は短編映画である『I Got Woman』から始まり、自らの私的なテーマに焦点を当てた作品を制作しました。そんなアタルの作品には、どのようなものがあるのでしょうか。主要な作品についてご紹介します。

・『ぼくの妻はシャルロット・ゲンズブール』 2003年公開

※画像はイメージです

本作品は2003年に公開された作品で、実生活でもパートナーであるシャルロット・ゲンズブールとアタルが実名で夫婦役として出演した作品です。アタルは俳優として出演したことに加え、監督や脚本も兼任しました。また本作品はアタルの長編映画監督デビュー作品にあたります。

パリに住む35歳のスポーツ記者のイヴァンは、妻が有名女優のシャルロット・ゲンズブールであるため、日々の生活に悩まされています。2人で外出すれば妻が写真やサインをせがまれることになり、落ち着いて外出もできない日々を過ごしていました。そんな時シャルロットが新作映画の撮影でロンドンに立つことになり、その共演者がプレイボーイとして知られるジョンであると知ってますますイヴァンはやきもきすることになります。結局イヴァンは週末にロンドンに飛び、シャルロットの撮影現場を訪れることになります。

本作品は実名で夫婦が出演するというユニークさもさることながら、そのコメディー的なセンスも高く評価され、アタルの出世作となりました。

・『ニューヨーク・アイラブユー』 2010年公開

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本作品は2010年に公開された作品で、「パリ・ジュテーム」のプロデューサー、エマニュエル・ベンビイが都市をテーマに制作した映画の第2弾にあたります。本作品では10人の監督が10編のラブストーリーを描く形式になっており、アタルのほかにはインドのミーラー・ナーイルや日本の岩井俊二など世界各国の一流監督が出演しました。

中年紳士ギャリーから財布をすったベンは財布の中にあった写真の美女モリ―を偶然見かけ、また47丁目ダイヤモンド取引所のジャイナ教徒であるインド人のマンスークバイのもとには結婚間近の仲買人リフカが訪れます。またアパートにこもって映画監督を作曲する作曲家のデヴィッドのもとには監督アシスタントのカミーユから監督の奇妙な支持を伝えられます。こうしたニューヨークを舞台とした短編がつなぎ合わせられ群像劇に仕上げられており、過去に例のない全く新しい手法として高く評価されました。

本作品は2008年の第33回トロント国際映画祭で初上映されました。女優のスカーレット・ヨハンソンも監督としての仕事にあたったものの、全編カットされています。

・『フレンチな幸せのみつけ方』 2004年

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本作品は2004年に公開された作品で、『僕の妻はシャルロット・ゲンズブール』に続いてアタルとその妻シャルロット・ゲンズブールが夫婦役を演じたコメディー映画にあたります。

パリの自動車販売会社に勤めるヴァンサンは不動産会社で働く妻ガブリエルと小学生の一人息子ジョセフと3人暮らしを贈っています。世間からは誰もがうらやましがるような温かい家庭を築いていましたが、最近ヴァンサンはエステティシャンの愛人を作っていました。またその一方でヴァンさんの友人のジョルジュは妻ナタリーと夫婦げんかが絶えず、もう一人の友人であるフレッドは独身生活を謳歌しています。そんな三者三様の人生を送っていたものの、ある日ガブリエルとヴァンサンの愛人がレストランで鉢合わせしたことから、物語が始まります。

・『ラッシュアワー 3』 2007年

※画像はイメージです

本作品はアタルが俳優として出演した作品で、2007年に公開された作品です。ジャッキー・チェンとクリス・タッカー扮するお騒がせ刑事コンビが繰り広げる大ヒットシリーズの第三弾で、アタルはタクシー運転手として2人をサポートするジョージを演じました。

ある日ロスで行われたシンポジウムで中国マフィアの「シャイシェン」の存在を突き止めたという発言をした要人が何者かの銃弾に倒れてしまいます。リーは要人の警護にあたっていたため、暗殺者を追跡。また刑事課から交通課に左遷され、近くで交通整理を行っていたカーターも犯人を追いかけます。ついに二人は犯人を追い詰めたものの、その暗殺者はリーの友人ケンジでした。その後事件のカギを握る人物がフランスにいることを知ると、2人は現地に飛び操作を続けることになります。

■おわりに

イヴァン・アタルはイスラエルのテルアビブに生まれ、アルジェリアからパリにわたり、当初はサッカー選手や医者になることを夢見ていたものの、映画監督を志すようになりました。その後俳優としても活躍し、妻であるシャルロット・ゲンズブールとは夫婦役として映画作品を制作しています。

映画監督、俳優、脚本家など多彩な才能を発揮しているアタルは2012年に舞台俳優としてのキャリアにも挑戦しており、今後が期待できるところです。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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