ウェス・アンダーソン:独特のユーモアをもつ作品を制作する映画監督

ウェス・アンダーソンは1969年5月1日アメリカ合衆国テキサス州ヒューストンに生まれた映画監督です。『天才マックスの世界』や『ライフ・アクアティック』、『グランド・ブダペスト・ホテル』といった個性的な作品を制作し、今後が期待されている映画監督の一人でもあります。そんなウェス・アンダーソンの人生と主な作品について詳しく解説していきます。

■ウェス・アンダーソンとは

ウェス・アンダーソンは1969年5月1日テキサス州ヒューストンに生まれました。父親は広告業界で働いており、母親のテキサス・アンは元考古学者で不動産ブローカーという人物でした。高校を卒業するとテキサス州オースティン校で哲学を学び、大学で知り合ったオーウェン・ウィルソンとともに映画の共同制作をはじめます。

その後短編映画『ボトル・ロケット』 がジェームズ・L・ブルックス監督の目に留まり、長編にリメイクした『アンソニーのハッピー・モーテル』で長編映画の監督デビューを果たします。2001年には『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』でアカデミー脚本賞にノミネートされ、2004年にはビル・マーレイ主演の『ライフ・アクアティック』を監督。また2007年にはインドを舞台とした『ダージリン急行』がニューヨーク映画祭で上映されました。2011年にはロアルド・ダールの小説に基づくアニメーション映画『ファンタスティック Mr. FOX』を監督しアカデミー長編アニメ映画賞にもノミネートされるなど、ハリウッドでもっとも次回作を期待されている監督のひとりといわれています。

アンダーソンの作品の中でももっとも注目を集めたのが2014年の『グランド・ブダペスト・ホテル』で、第64回ベルリン国際映画祭のオープニング作品として上映され、審査員グランプリを受賞したほか、第80回ニューヨーク映画批評家協会賞、第40回ロサンゼルス映画批評家協会賞などを受賞しました。

■ウェス・アンダーソン作品の特長

ウェス・アンダーソン作品の特長はその独特の世界観と、たびたび特定の俳優が出演していることです。盟友であるオーウェン・ウィルソンをはじめ、ビル・マーレイやアンジェリカ・ヒューストン、シーモア・カッセルやルークウィルソン、ジェイソン・シュワルツマンなどが出演しており、特にインド系俳優のクマール・パラーナは特に存在感を示しています。アンダーソン作品はこうした俳優たちとアンダーソンとの協力関係があって成り立っているといえるでしょう。

そんなアンダーソンの作品には、どのような作品が含まれているのでしょうか。主要な作品についてご紹介します。

・『ダージリン急行』 2007年

※画像はイメージです

本作品は2007年に制作された作品で、父の死をきっかけに心が離れてしまったサン兄妹がインドの秘境を列車で旅し、その絆を取り戻していく物語です。

物語はビジネスマンが慌ててダージリン急行に乗ろうとするものの間に合わないシーンから始まります。1年前に父親が亡くなったことをきかっけとして絶交していたホイットマン3兄弟は長男フランシスの呼びかけで列車旅行に出ていました。3人はそれぞれ悩みを抱えており、フランシスはバイク事故で奇跡的に命を取り留めたもの頭の包帯を取ることはできず、次男のピーターは出産直前の妻との離婚問題を抱えており、三男ジャックは作家で小説を書き上げたものの、元恋人のことが忘れられず、それぞれ鬱屈とした毎日を過ごしていました。

列車は蛇が出たり線路を間違えたりとトラブルだらけだったものの、失踪した母親がヒマラヤの修道院で尼僧をしていることがわかり、3兄弟は会いに行くことにします。しかし列車で大喧嘩をしてしまったことから列車から降ろされてしまい、砂漠を放浪することになってしまいます。また途中筏で川を渡ろうとする幼い兄弟を目にし、救助しようとするも幼い弟が命を落としてしまう場面にも遭遇します。そんななかようやく3兄弟は母親のもとにたどり着きますが、その朝母親が失踪してしまいます。そんな3兄弟のもとに「オー・シャンゼリゼ」が鳴り響くシーンで幕が閉じます。

・『ファンタスティック Mr. FOX』 2009年

※画像はイメージです

本作品は2009年に公開された作品で、ロアルド・ダールの児童文学「父さんギツネバンザイ」を原作とした作品です。ストップモーション・アニメーション映画であり、アンダーソンが始めた監督したアニメーション作品として大きな話題になりました。

Mr.フォックスは盗みをしながら暮らしていましたが、妻のMrs.フォックスと息子アッシュのために盗みから足を洗い、今は新聞記者として働いていました。しかしもっといい暮らしをのぞむようになったMr.フォックスは丘の家を購入します。しかし丘の向こうには意地の悪い3人の人間の農場主が住んでおり、憧れの家に引っ越したMr.フォックスは人間たちの飼育場から獲物を盗むようになっていきます。日々獲物が盗まれていくことに起こった人間たちはトラクターを使って丘を根こそぎ掘り返しはじめ、Mr.フォックスはそんな人間たちに立ち向かうことになります。

本作品ではアカデミー賞長編アニメ映画賞や作曲賞にノミネートされたほか、アニー賞では映画局本省、ロサンゼルス映画批評家協会賞ではアニメ映画賞を受賞しました。また声優としてジョージ・クルーニーやメリル・ストリープを採用したことも大きな話題となりました。

・『グランド・ブダペスト・ホテル』 2014年

※画像はイメージです

本作品は2014年にドイツとアメリカ合作で制作された作品で、第64回ベルリン国際映画祭審査員グランプリや第87回アカデミー賞の4部門などを受賞しました。

舞台は1932年。グランド・ブダペスト・ホテルは、「伝説のコンシェルジュ」とよばれるグスタヴ・Hのおもてなしが評判で、ヨーロッパ随一の高級ホテルとして上流階級の客たちでにぎわっていました。ホテルでベルボーイ見習いとして働くことになった移民の少年のゼロ・ムスタファはグスタヴの指示を忠実にこなし、少しずつ信頼を獲得していきます。しかしそんなある日グスタヴと懇意の間柄だった富豪の常連客マダムDが殺害され、遺言で名画《少年と林檎》がグスタヴに送られることになります。しかしグスタヴには殺害の嫌疑がかけられ、命も狙われることになります。グスタヴとゼロはコンシェルジュたちやゼロの婚約者アガサの力を借りながら逃亡し、事件の謎を解明するべくヨーロッパ中を旅することになります。

■おわりに

ウェス・アンダーソンはテキサス州ヒューストンに生まれ、大学時代から映画製作に乗り出した映画監督です。その作品はユーモアと独特の世界観にあふれており、特に2014年の『グランド・ブダペスト・ホテル』はアカデミー賞にノミネートされるなど、高く評価されました。アンダーソンは「ハリウッドでもっとも次回作を期待されている監督のひとり」とされており、今後の活躍が期待されます。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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