サル・カーン:「カーン・アカデミー」の創設者

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サル・カーンは1976年10月11日にアメリカ合衆国ルイジアナ州メテリーに生まれた実業家です。数学や科学に関する6500本以上の科学動画を作成し、「カーン・アカデミー」として公開。2012年には世界でももっとも影響力のある100人にも選ばれました。そんなサル・カーンについて詳しく解説していきます。

■サル・カーンの幼少期

※アメリカ・ルイジアナ州の街並み

サル・カーンは1976年10月11日アメリカ合衆国ルイジアナ州メテリーでベンガル人家族の間に生まれました。父親はバングラデシュ南部のバリサール出身、母親はインドのムルシダーバード出身でした。高校時代は公立学校のグレースキング高校に進学、優秀な成績で卒業したのち、マサチューセッツ工科大学に進学し科学学士号を取得しました。その後ハーバード・ビジネススクールで経営学修士号も取得しています。

2002年の夏になるとカーンはアメリカのゼロックスの子会社であるパロアルト研究所のインターンシップに参加し、その後コネクティブキャピタルマネジメントのヘッジファンドのアナリストとして就職することになります。

■カーン・アカデミー

そんなカーンの転機となったのは、インターネットを通じて離れた場所に住むいとこのナディアに動画を使った数学の個別指導をはじめたことでした。当初はYahoo!のブラウザーを使っていたものの、動画を見た他の親族や友人たちも個人指導を求めるようになり、チュートリアルをYouTubeに移し世界に動画を発信するようになっていきました。

カーン・アカデミーは数年で全世界に広まり、4億5800万回の視聴記録を達成。無料公開した動画が人気になったことで2009年には金融アナリストの仕事を辞め、フルタイムでYouTubeチャンネルの運営を行うようになっていきました。その時に名付けられたチャンネル名が「カーン・アカデミー」であり、2014年9月15日にはカリフォルニア州マウンテンビューにカーン・アカデミーに関連するカーンラボスクールを開講。2017年には社会人や求職者、若者向けの金融リテラシーに関する動画も公開するようになっていきました。

カーンは自分自身の活動について「あらゆる年齢の学生の学習を支援することを目標に掲げている。私のコンテンツを効果的と感じてくれる人々と共有していきたいと思う」とも語っています。

・カーン・アカデミーのコンテンツ

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カーン・アカデミーのコンテンツは電子黒板に記述したものを表示し、講師がそれをもとに授業について解説。レッスン全体を通してバッジとエネルギーポイントを獲得でき、プロフィールに表示できるようになっています。

内容としては幼稚園から高校すべての学年で教えられる科目から、SAT、APChemistry、MCATといった標準テストの準備のためのオンラインコースなども提供されており、2018年にはLSATのためのコースも開校されました。

またカーン・アカデミーの動画は複数の言語に翻訳されており、英語、バングラデシュ語、ブルガリア語、中国語、フランス語、ドイツ語、ジョージア語で利用可能となっています。加えてポーランド語、ポルトガル語、スペイン語、セルビア語、トルコ語、ウズベク語では一部の機能が利用可能になっています。現在、60以上の言語をサポートしており、言語数は増加中です。

・カーン・アカデミーの運営

カーン・アカデミーは非営利団体であり、慈善団体からの寄付によって運営されています。世界を代表する企業や投資家たちがカーン・アカデミーに寄付を行っており、2010年GoogleはProject10プログラムの一環として新しいコースの設置や翻訳のために200万ドルを寄付。また2013年にはカルロス・スリムのカルロス・スリム財団からスペイン語版を作成するための寄付が行われました。

2015年にはAT&Tによってアプリを介してアクセスできるモバイルバージョンのカーン・アカデミー設置のために225万ドルの寄付が行われ、世界最大の慈善財団として知られるビル&メリンダゲイツ財団によっては150万ドルもの寄付が行われました。

・カーン・アカデミーへの批判

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カーン・アカデミーはカーンが正式な教師の資格を持っていないために、批判されることもありました。特に数学や物理学の動画で行われた発言は、その正確性に疑問を持たれることもありました。こうした批判を受けてカーン・アカデミーでは動画の誤りを訂正し、200人を超えるコンテンツ専門家のネットワークを形成。動画の内容を高める試みを行っています。

またカーン自身、2016年のインタビューでオンライン講義の価値を肯定しながらも、「完全な教育プログラムになっているとは考えていない」と発言しています。カーン・アカデミーの革新的な点は従来の講義から個々の生徒のニーズに対応する新しいスタイルの教育を作り上げたことであり、カーン・アカデミーの動画はYouTubeなどで一般公開されていることに加え、アフリカとアジアの農村地域の教育にも使用されています。その点を踏まえると、カーン・アカデミーは学習のスタイルを一変させたといえるでしょう。

・カーン・アカデミーの評価

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カーン・アカデミーはこうした批判の一方、アメリカはもちろん国際的にも高く評価されてきました。2012年4月にはカーンがTIMEの「2012年のもっとも影響力のある100人」に選ばれ、また革新的な試みを行った人物に授与されるハインツ賞を2013年に受賞。加えて2016年には教育部門で最優秀賞を受賞しました。

カーン・アカデミーはまだまだ改善点がある状態ではあるものの、日々アップデートが行われており、そうした姿勢もまたこうした評価に反映されているのかもしれません。

■おわりに

サル・カーンは1976年10月11日アメリカのルイジアナ州メアリーに生まれ、アナリストの仕事を経てカーン・アカデミーを創設した人物です。学習動画6500本以上を制作し、YouTubeチャンネルでは480万人以上が登録、世界では16億回以上も視聴され大きな記録を打ち立てました。カーンのこれまでの活動はフォーブズ誌において、「1兆ドルの機会」とも称されています。

全世界の人々の学びを支援する、という目的のもとカーン・アカデミーを運営しているサル・カーン。これからどのような活動を見せてくれるのでしょうか。今後が期待されます。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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