シェーカル・カプール:ラホール出身の映画監督

シェーカル・カプールは、1945年12月6日イギリス領インド帝国ラホールに生まれた映画監督です。もともとは会計士になるためにイギリスへ渡ったものの、映像関係の仕事を始めるようになりました。その後、1983年には映画監督としてデビュー。特にエリザベス1世の生涯を描いた1998年の『エリザベス』が大変な話題となりました。そんなシェーカル・カプールの人生と生涯について詳しく解説していきましょう。

■シェーカル・カプールとは

※パキスタン、ラホールの街並み

シェーカル・カプールは、1945年12月6日イギリス領インド帝国ラホールに生まれました。父クルブシャン・カプールは医師、母シール・カンタはジャーナリスト兼女優という上流家庭だったと言われています。

カプールはインドのニューデリーとデヘラドゥーンで教育を受け、会計士になるべく22歳の時にイギリスに渡ったものの、俳優としてのキャリアを始めたことで映像関係の仕事に携わるようになり、1983年には映画監督としてデビュー。特に1998年に監督した『エリザベス』はアカデミー賞7部門にノミネートされ、大変な話題となりました。

■シェーカル・カプールの作品

シェーカル・カプールの作品の特徴は、母国であるインドや宗主国であるイギリスなどの歴史をテーマにしていることでしょう。カプールはインドからイギリスに渡ったことで、二国間の違いなどに大きな影響を受けており、そうした経験は後の作品に大きく表れています。

そんなシェーカル・カプールの作品には、どのようなものが含まれているのでしょうか。主要な作品についてご紹介します。

・『エリザベス』 1998年

本作品は1998年に制作され、イギリスの女王エリザベス1世の前半生を描いた作品です。第71回アカデミー賞では作品賞をはじめとする7部門にノミネートされ、メイクアップ賞を受賞。また、2007年には続編となる『エリザベス:ゴールデン・エイジ』が公開されました。

舞台は、16世紀のイングランド。ヘンリー8世がカトリックを捨て英国国教会を設立したことで、国内外には宗教抗争がくすぶっていました。ヘンリー8世の娘エリザベスは、父王の遺志を継いでプロテスタントとして生活していたものの、カトリックの異母姉であるメアリー女王によってロンドン塔に幽閉されてしまいます。しかし、そんなメアリー女王が病死。エリザベスは、25歳にして女王に即位することになるのです。

女王にとって目下の問題は、隣国との関係悪化でした。重臣ウィリアム・セシルは、アンジュー公(後のフランス王アンリ3世)やスペイン王と結婚することで、同盟関係を結ぶことを進言します。しかし、エリザベスはロバート・ダドリーと恋愛関係にあり、政略結婚に活路を見出すことは出来ませんでした。その後、イングランドは隣国スコットランドとの戦争に敗れたことで状況が悪化。また、イングランドを心境である国教会の中心に置くことを宣言したため、ローマ教皇やカトリック列強国との関係は最悪なものになってしまうのでした。

こうした関係からエリザベスには魔の手が迫り、暗殺未遂が起こるまでに追い詰められます。しかし、大利から戻ったプロテスタントのフランシス・ウォルシンガムが、カトリック側と通じているスコットランドの為政者メアリ・オブ・ギーズを暗殺。また、エリザベス自身もカトリック派を一気に捕縛、処刑するという強硬策に出ました。

・『サハラに舞う羽』 2002年

※画像はイメージです。

本作品は2002年にアメリカとイギリスで合同制作され、A・E・W・メイソンの小説『四枚の羽』の6回目の映画化作品にあたります。

舞台は19世紀末。ヴィクトリア女王の名のもと、世界の4分の1を支配下に置いた大英帝国は、領土拡大を続けていました。そんな大英帝国の将軍を父に持つ青年ハリーは、若きエリート士官です。親友たちからも厚い信頼を寄せられており、さらに美しい婚約者もいて順風満帆の生活を送っていました。

そんなある日、ハリーはスーダンへの反乱軍鎮圧の任務を命じられます。しかし、それは帝国主義による領土拡大の為であり、ハリーはアフリカへ行くことに疑問を抱くようになっていきました。結局、所帯の道を選んだハリーのもとには、親友や仲間から臆病者を意味する「白い羽」が送られ、また婚約者であるエスネもそんなハリーに失望し、彼のもとを去っていったのです。

そんなハリーのもとに、友人たちが所属する部隊が壊滅寸前という一報が入ります。ハリーは大英帝国や名誉のためではなく、ただ愛する者たちを救うために、再び戦場へ挑んでいくのでした。

・『エリザベス:ゴールデン・エイジ』 2007年

※画像はイメージです。

本作品は2007年に制作され、1998年公開の映画『エリザベス』後のエリザベス1世を同じスタッフ、キャストと共に描いた作品です。第80回アカデミー賞では、衣装デザイン賞を受賞しました。

舞台は16世紀のイングランド。カトリックだったメアリー女王の後に即位したプロテスタントの女王エリザベスは、国内外の平定に奔走していました。しかし、未だに国内はもちろん、宮廷にもカトリック教徒は多くおり、イングランドは不安定な情勢に見舞われています。また、国外のカトリック列強国やバチカンは、エリザベスを私生児と見なして王として認めず、特にスペイン王フェリペ2世はイングランドそのものを手中に収めるべく策を練っていました。

そんなエリザベスの問題は、外交的な問題から縁談に至るまで検討しなくてはならず、神聖ローマ皇帝マクシミリアン2世の弟カールとの縁談が持ち上がるものの、カールは心にもないお世辞を言うばかり。そんなカールにエリザベスはうんざりしてしまいます。

そんな中、新大陸や世界の海を旅してきたウォルター・ローリーが現れ、女王にちなんで名付けた新大陸の植民地「ヴァージニア」でとってきたジャガイモや煙草、原住民たちを女王に披露。次第にエリザベスは、豪快なローリーを気に入るようになっていきます。

しかし、エリザベスに安堵する暇はなく、王位への陰謀が露見したメアリー・スチュアートを処刑。また、スペインとの形勢不利な戦い「アマルダの海戦」に身を投じ、勝利します。こうしてエリザベスは絶対的な孤高の女王として、イングランドを統治していくことになっていったのです。

■おわりに

シェーカル・カプールは、イギリス領インド帝国ラホール出身の映画監督です。最初は会計士をめざしていたものの、俳優としてのキャリアを始めたことがきっかけで、映像関係の仕事を始めるようになり、『エリザベス』や『サハラに舞う羽』などの作品を制作しました。

カプールの作品は母国であるインド、そして宗主国であるイギリスの歴史をテーマとした作品が多く、その綿密な時代考証や登場人物たちが身にまとう衣装などは、カプール作品ならではと言えるでしょう。今後、どのような作品を発表するのか益々期待されます。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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