ジェームズ・P・ホーガン:イギリスSF小説の大家

ジェームズ・P・ホーガンは1941年6月27日にイギリスのロンドンに生まれた小説家です。設計技術者として働いたのち、SF小説家として活動するようになり、『星を継ぐもの』をはじめとして数々の作品を執筆したことで知られています。そんなジェームズ・P・ホーガンの人生と作品について詳しく解説していきます。

■ジェームズ・P・ホーガンとは

※イギリスのロンドン

ジェームズ・P・ホーガンは1941年イギリスのロンドンに生まれました。ロンドン西部にあたるポートベローロードで育ったのち、16歳で学業を終えると、奨学金を得てロイヤル・エアクラフト・エスタブリッシュメントの工業専門学校で電気工学、電子工学、機械工学を学び、その後は企業の設計技術者として働くようになります。

1960年代には販売部門に移りヨーロッパ中を渡り歩いたのち、1977年からはアメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストンに移住。その傍ら処女作となる『星を継ぐもの』を発表し、大ベストセラーとなります。その後1979年には専業作家となり、フロリダ州オーランドに移住。そののちカリフォルニア州ソトーラに移住し、晩年はアイルランドで暮らしました。

■ジェームズ・P・ホーガンの作品と作風

ジェームズ・P・ホーガンは、いわゆるハードSFの作家に分類されます。ハードSFとは天文学や物理学、科学などにおいて論理的で厳密な描写が求められる作品のことを言い、ホーガンはそれまでのキャリアを活かした形で執筆を続けてきました。

またホーガンの作品には反権威的な姿勢が反映されているといわれています。特にアナーキズムやリバタリアニズムはホーガンが好んで用いるテーマの一つで、SF小説の中に社会学的な要素を取り込んでいるのもホーガン作品の特長といえるでしょう。

そんなジェームズ・P・ホーガンの作品には、どのような作品が含まれているのでしょうか。主要な作品をご紹介いたします。

・『星を継ぐもの』 1977年

※画像はイメージです

本作は1977年に発表された作品で、ミッシングリングや小惑星帯、月の起源など人類がその謎を解き明かしながら自身の生い立ちに迫っていくというストーリーが描かれた作品です。

月面で深紅の宇宙服を着た人間の遺骸が発見され、各国の組織に紹介するもののその身元が判明することはありませんでした。結局調査団はC14法によって年代測定を実施。その結果遺体は5万年前に死亡したという結果が得られ、チャーリーと名付けられることになります。

チャーリーの正体を探るためにニュートリノを使用することで透過撮影が可能になるトライマグニスコープが手配され、徐々に分析が進められていったものの、その調査結果は矛盾をはらむものでした。所持品の中には現代技術を駆使しても作ることができない超小型の原子力パワーパックが見つかったものの、このような高度な技術が地球に存在していた痕跡はありません。しかし生物学者のダンチェッカーはチャーリーの遺骸は間違いなく地球由来であると断定。しかしチャーリーが持っていた食料は地球生物のものとは異なることに科学者は頭を悩ませることになります。

またより謎を深めたのは手帳と思われるものを透過撮影して浮かび上がった記号の解読でした。チャーリーの日記と思われるそれは、彼が月面の舞台に配属された軍人であり、月面基地に置かれた兵器から放たれたエネルギーによって地球上の敵を打ち倒す様子が記録にとどめられていました。しかし月面には基地は見当たらず、また地球にも大規模な戦争の痕跡を見て取ることはできませんでした。

その後木星の衛星ガニメデを訪れた調査団は全く未知の生命体の宇宙船の残骸を発見。ガニメデで発見されたことから彼らをガニメアンと名付けた一行は、直接ガニメデに赴いて調査を進め、人類の生い立ちについて解き明かしていくことになります。

・『ガニメデの優しい巨人』 1978年

※画像はイメージです

本作は1978年に発表された作品で、『星を継ぐもの』の続編にあたる作品です。

の調査により、5年前の太陽系は現在と大きく異なっていたことが明らかになったものの、それは人類にとって驚くべき事実ばかりでした。現在の小惑星帯には惑星ミネルバがあり、月はもともとミネルバをめぐっていたこと、地球の動物がミネルバに運ばれ、その中の類人猿が進化して人類となったこと。そして彼らはセリオスとランビアという2大勢力に分かれて争い、5年前の激しい戦争の末、ミネルバを破壊して小惑星群にしてしまったこと、そしてその生き残りが月と共に地球にやってきて現人類になったという事実は、これまで人類が信じていた歴史を揺り動かすものでした。

またそれよりもはるか昔にミネルバには全く異なる生命体がおり、彼らガニメアンは何らかの理由でミネルバを去りどこかに移住。その移住船のひとつが墜落し、発見されたことも驚くべき事実でした。ガニメデでこうした謎を解こうと取り組む科学者たちだったものの、突然襲来した正体不明の宇宙船に遭遇。シャピアロン号と名乗る彼らは、はるか昔に太陽系から姿を消したはずのガニメアンでした。彼らは2500万年前にミネルバを覆いつつあった気候変動を回避するために、近くの恒星イスカリスに赴いたものの失敗してしまい、2500万年の時を超えて故郷に戻ってきたのでした。

・『造物主たちの掟』 1983年

※画像はイメージです

本作は1983年に発表された作品で、土星の衛星タイタンをめぐって繰り広げられる物語を描いた作品です。

遠い昔地球外知的生命体によって建造された無人宇宙船が土星の衛星タイタンに着陸。内蔵されたロボットによって鉱物資源を採掘しては故郷の星に送り届けるという任務を行っていたものの、航行中に超新星のフレアを浴びた影響でプログラムに重大なバグが生じ、ロボットたちはひたすら採掘と自己増殖を繰り返しては進化を続けていったのでした。

そして21世紀。無人探査機によってタイタンに生物がいることを知ったアメリカとヨーロッパは共同で調査隊を結成。一行が調査に向かうとそこでは人間に似た形の「タロイド」たちが中世ヨーロッパと同程度のレベルの文明を築き上げていました。

■おわりに

ジェイムズ・P・ホーガンは1941年イギリスのロンドンに生まれたSF小説家で、工学を学んだ後、技術者として働き、SF小説家となった人物です。その作品はハードSFと呼ばれる科学や数学などの知識が必要となるもので、そのリアルな世界観は多くの読者を魅了しました。

ホーガンは2010年7月12日アイルランドの自宅で69歳の生涯を閉じることになりますが、その作品は現在も読み継がれ、若手SF作家たちに大きな影響を与え続けています。

ジェームズ・P・ホーガンの公式ホームページ

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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