ジェフリー・アーチャー:政治家から小説家デビューを果たした一代貴族

ジェフリー・アーチャーは1940年4月15日にイギリスのロンドンに生まれた小説家です。政治家として貴族院議員を務める一方、小説家としても数々の作品を発表し、二足の草鞋を履いた小説家としても知られています。そんなジェフリー・アーチャーについて詳しく解説していきます。

■ジェフリー・アーチャーとは

※イギリスのロンドン

ジェフリー・アーチャーは1940年4月15日イギリスのロンドンに生まれました。幼少時はウェストン=スーパー=メアで過ごし、ウェリントン・スクールからオックスフォード大学に進学。在学中はチャリティ・コンサートを開いたり、短距離走の選手として大学記録を打ち立てたりするなど、多様な活動を行っていました。

1967年からは大ロンドン議会議員を務め、1969年12月にはシリル・オズボーンの死去に伴って庶民院議会補欠選挙に保守党から立候補して最年少議員として当選。その後も連続当選を果たしたものの、1973年に北海油田の幽霊会社への投資により全財産を失い、1974年の総選挙の際には政界を引退しています。

政治家としては引退したアーチャーだったものの、1976年に『百万ドルを取り返せ!』を発表し、大ヒット。印税で借金を完済し、1985年には政界に復帰。その後一代貴族となる「カウンティ・オブ・サマーセットにおけるマークの、ウェストン=スーパー=メアのアーチャー男爵」に叙されることになり、貴族院議員を務めることになりました。

■ジェフリー・アーチャーの作品と作風

※画像はイメージです

ジェフリー・アーチャーの作品はひとり、または複数の主人公を描く長編小説、サスペンスやミステリー、および短編集という3つのスタイルで執筆を続けており、特に複数の登場人物の視点から物語を執筆する方法を好んで用いています。

そんなジェフリー・アーチャーの作品には、どのような作品が含まれているのでしょうか。主要な作品をご紹介いたします。

・『ケインとアベル』 1979年

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本作は1979年に発表された作品で、旧約聖書『創世記』に登場する兄弟「カインとアベル」の物語にちなんでつけられた作品です。

1906年4月16日、ポーランドとアメリカ合衆国に2人の男の子が生まれます。ポーランドに生まれたヴワデグは貧しい漁師に育てられたものの、学校で優秀な成績をおさめ、やがてロスノフスキ男爵の子息であるレオンの学友として男爵の城で教育を受けるようになっていきました。その一方アメリカで生まれたウィリアムは銀行家の父を持ち、上流階級の御曹司として恵まれた生活を享受していました。

生まれた場所も境遇もまったくことなる二人だったものの、第一次世界大戦、それに引き続き起こったポーランド・ソ連戦争によりロスノフスキ男爵と親友のレオン、義理の姉にあたるフロレンティーナを失い、自身もまたソ連の強制腫瘍所に連行されてしまいます。しかし命からがら脱出に成功し、アメリカに移住。渡米後ホテル・チェーン経営者の目に留まり、頭角を現すようになっていきました。ヴワデグはこのころから実父の形見の指輪に刻まれた「アベル・ロスノフスキ男爵」と名乗るようになっていました。

その後アメリカ・ボストンの銀行家の息子であるウィリアム・ケインは、タイタニック号により父親を亡くすなど不幸に見舞われるものの、ビジネスの才能を発揮しアメリカでも有数の銀行の頭取を務めるまでになっていました。そのころ起きた大恐慌によりアベルの師にあたるホテルの経営者はケインの銀行から融資を打ち切られ、自殺。これを恨んだアベルはケインに対して復讐を決意し、ホテル事業を立て直すと、苛烈な報復を行うようになっていきます。

さらにはアベルの娘とケインの息子が偶然出会い、駆け落ちしてしまったため、2人の対立はより一層深まっていくのでした。その後アベルの手によってケインが経済的な破滅に追い込まれるまで、その対立が解消することはなかったものの、最後には思いがけないどんでん返しが待っていたのでした。

・『ロスノフスキ家の娘』 1982年

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本作は1982年に発表された作品で、『ケインとアベル』 の続編にあたります。アメリカでポーランド系移民2世として生まれたフロレンティーナがビジネスで成功し、そして史上初の女性アメリカ合衆国大統領となる軌跡を描いた作品であり、原題は「ルカによる福音書」の「放蕩息子の帰還」に由来しています。

祖国ポーランドを追われ、命からがらアメリカ合衆国にたどり着いたアベル・ロスノフスキは一大でホテル・チェーンを築き上げ、アメリカでも有数の経営者になっていました。一人娘のフロレンティーナは上流社会に入ろうとする父親の期待を背負い、理想的な家庭教師に恵まれて才覚溢れる女性に育ったものの、宿敵ケイン家の息子と恋に落ち、駆け落ちしてしまいます。

本作は『ケインとアベル』の続編ではあるものの、前作を読んでいない読者でも物語を把握できるように別の物語として強調してある一方、すでに前作を読んだことがある読者にとってはより一層楽しめる物語になっており、アーチャーの作品の中でも特に評価が高い作品のひとつにあたります。

・『プリズン・ストーリーズ』 2006年

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本作はアーチャーが2006年に発表した短編小説で、短編12作を収録しています。アーチャーは1999年に偽証罪に問われ、2001年には実刑が確定して服役。その際の服役や社会復帰をテーマとして執筆された短編集で、9つの物語は獄中記にはふさわしくないものの、3つの短編はある程度の脚色がなされた上で発表されています。

また現代の「9尾の猫」は鞭の一種に由来するものであり、西洋では監獄での取り調べや罪人へのむち打ちに使われていました。

■おわりに

ジェフリー・アーチャーは1940年4月15日イギリスのロンドンに生まれた小説家で、政治家から小説家になった稀なキャリアをもつ小説家として有名な人物です。またそれだけにとどまらず、偽証罪で投獄された際も、その時に見聞きした経験を活かして小説を執筆するなど、人生を前向きに生きていく力のある人物といえるでしょう。

既に80歳を超えたアーチャーですが、今後どのような作品を私たちに届けてくれるのでしょうか。今後が期待されます。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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