ジェリー・パーネル:『地球から来た傭兵たち』を執筆したSF作家

※画像はイメージです

ジェリー・パーネルは1933年アメリカ合衆国ルイジアナ州シュリーブボートに生まれた小説家です。いわゆる「ミリタリーSF」の分野で活躍し、『地球から来た傭兵たち』など革新的な作品を執筆しました。そんなジェリー・パーネルについて詳しく解説していきます。

■ジェリー・パーネルとは

※現代のアメリカ合衆国ルイジアナ州

ジェリー・パーネルは1933年アメリカ合衆国ルイジアナ州シュリーブボートに生まれました。父親はラジオ局の幹部で、母親は教師という家庭であり、パーネル自身はコールビル小学校に通った後、メンフィスのクリスチャン・ブラザーズ高校に進学。その後朝鮮戦争の際にはアメリカ陸軍に従軍し、1953年から1954年にかけて兵役を務め、その後はアイオワ大学に進学。そしてワシントン大学で心理学や政治学の学位を取得し、ボーイング社航空宇宙研究所に籍を置くことになります。

ボーイング社在籍時から執筆に関心を持つようになったパーネルは、サイエンス・フィクションの編集者であるジョン・W・キャンベルに短編小説を送ったものの、受け取られることはなく、1971年になってようやく『平和と恐怖』が受け入れられたとき、パーネルはミリタリーSFを自身の執筆テーマとして作品を執筆するようになっていきました。

またコンピュータに精通していることでも知られており、アメリカのコンピュータ雑誌「Byte」にコラム『混沌の館にて』を発表。フィクション・ノンフィクション双方で数々の執筆をしていたものの、2008年には脳腫瘍が発覚。しかし2014年には脳卒中を患うこととなり、2017年9月8日にはカリフォルニア州スタジオシティの自宅で死去。84歳の生涯を閉じることになります。

■ジェリー・パーネルの作品と作風

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ジェリー・パーネルはミリタリーSFの第一人者と評価されており、その圧倒的な教養によってスケールの大きな世界を作り出し、また敵視されてきたいわゆる「支配者」の苦しい内面を表現したことでも高く評価されました。

そんなジェリー・パーネルの作品には、どのような作品が含まれているのでしょうか。主要な作品をご紹介いたします。

・『降伏の儀式』 1985年

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本作は1985年にジェリー・パーネルとラリー・ニーヴンとともに執筆された作品で、土星探査からはじまる壮大な物語を描いた作品です。

ボイジャーによる土星探査から数年後、小惑星観測を行っていたハワイ天文台の科学者は木星軌道に「自力で動く物体」を発見。分析の結果それは人工物であり、地球に向かっていることが判明し、アメリカとソビエトはソビエトの宇宙ステーション「コスモグラード」で異星人たちを迎え入れることにします。

しかし地球に接近してきた異星人たちは無警告で大規模な地球侵略行動を開始。エネルギー兵器やレーザーを使って大規模な爆撃を行う異星人に対しての反撃は絶望的であり、さらには小惑星を太平洋に落下させられたことにより、地球人は壊滅的な打撃を受けてしまいます。

こうした状況を打破するために「大天使計画」が発動。エドマンド・ギレスピーを司令官とする地球郡は、軌道上の異星人たちの母艦を叩くべく、作戦を開始するのでした。

・『新・猿の惑星』 1973年

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本作品は1973年に発表された作品で、1971年に発表された映画『新・猿の惑星』をノベライズした作品です。

西暦3955年、ミュータント人類と猿類による戦争により地球は消滅。コーネリアスとジーラはその直前に知人のマイロとともに地球から脱出したものの、地球爆破時の影響によって時空にねじれができてしまい、彼らがたどり着いたのは1973年の地球でした。

人々はテイラー大佐が帰還したものと考えて宇宙船を岸辺に回収したものの、帰還した宇宙飛行士が猿だったことに驚いたアメリカ政府は3匹をロサンゼルス動物園に移送。動物学者のルイスとスティービーに検査を受けさせることにします。しかしその扱いに耐えかねたジーラが言葉を発してしまい、驚いた動物学者たちは大統領に報告。査問委員会の場でコーネリアスとジーラは自分たちが未来の地球から来たこと、そして人間には敵意がないことを伝えます。委員会の後、ルイスとスティービーに対して未来の地球は戦争によって引き起こされた爆発で焼失したことを伝えるのでした。

査問委員会の報告を受け、大統領はコーネリアスとジーラの自由を認め、夫妻は国賓待遇を受けることとなったものの、その行動に疑念を抱いたハスラインは負債を危険視し、大統領に排除を進言。ジーラをワインで酔わせてから未来の地球について聞き出し、「言葉を話す猿」が地球を滅ぼすことになると知ったハスラインは夫婦の排除を進言。この報告によって再び査問委員会が開かれ、夫妻の去勢とジーラの堕胎が決定するのでした。

夫妻は基地から逃亡。ハスラインは逃亡を口実に夫妻の殺害をもくろむものの、ルイスやスティービーの助けを得て、アーマンドのサーカス団に匿われ、そこでどうにか子供を出産。しかし騒ぎを駆け付けた警察や軍隊にコーネリアスとジーラは殺害されてしまうのでした。

・『宇宙の傭兵たち』 1977年

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本作は1977年に発表された作品で、パーネルの初期作品の一つです。1990年当時のアメリカ合衆国とソヴィエト連邦の間で条約協定が結ばれ、二大大国で全地球の軍事的な支配を行う「連合国家」が誕生。二か国は国防軍だけでなく、軍事的な支配を行うための独立した軍隊「連合国家」海軍を持つこととなり、人類は「連合国家」の名の元統合されていきました。

2004年にはオルダースン航法が完成し、2008年には実験船が太陽系外に送り出され、移住可能な外宇宙の惑星を発見。徐々に宇宙植民時代が始まっていきます。またこれを機に連合国家は体勢に反抗する者を次々と地球外に輸送していくのでした。

■おわりに

ジェリー・パーネルは1933年にアメリカ合衆国ルイジアナ州シュリーブボートに生まれた小説家で、ワシントン大学で博士号を得たのち、ボーイング社航空宇宙研究所に就職。その業務の傍ら執筆を行い、いわゆる「ミリタリーSF」で人気を博した人物です。

その作品はパーネルの幅広い教養と経験に基づいたものであり、壮大な世界観はその後のSF作家たちに大きな影響を与えました。2017年には惜しくもその生涯を閉じることとなったパーネルですが、その作品は今もなお読み継がれ続けています。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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