ジョージ・オーウェル:『1984年』を執筆した小説家

ジョージ・オーウェルは1903年6月25日イギリス植民地時代のインド、ベンガルに生まれた小説家です。全体主義的ディストピアの世界を描いた『1984年』の作者として有名であり、その未来観はのちのSF小説や社会学に大きな影響を与えました。そんなジョージ・オーウェルの人生と作品について詳しく解説していきます。

■ジョージ・オーウェルとは

※インド・ベンガル

ジョージ・オーウェルは1903年6月25日イギリス植民地時代のインド・ベンガルに生まれました。父のリチャードはインドの高等文官でアヘンの栽培と販売を行っていました。オーウェルは5歳の時にヘンリーにある小さな聖公会の学校に通うことになり、教師から高い評価を受けたことによりサセックス群イーストボーンにある有名な進学校聖シプリアン校に進学することになります。

しかし進学校での生活はつらいものであったらしく、エッセイには皮肉を込めて「楽しかった」と記されています。その一方で学業は優秀で、奨学金付きでイートン・カレッジに進学。イートン・カレッジでは何人かの教授と衝突することもあったものの、イートンの自由な校風はオーウェルに合い、またのちに知識人として活躍することになる友人たちとめぐり逢ったことはその後のオーウェルの人生に大きな影響を与えました。

1922年にはイギリスを離れ、マンダレーでインド警察の訓練所に入所。しかし当時の警察の仕事は帝国主義の片棒を担ぐようなもので、1927年には退職しイギリスに帰国。その後は底辺生活者のルポタージュを書くことを考えるようになり、1928年から1929年にかけては文章を書きながら皿洗いとしてパリで暮らしていました。1930年から1931年にかけてはロンドンで浮浪生活を送り、1933年には最初の著作となる『パリ・ロンドン放浪記』を刊行。1935年にはビルマ時代の体験をもとにして執筆した『ビルマの日々』を出版し、徐々にノンフィクション作家として注目されるようになっていきました。

1936年には内戦がはじまったスペインに取材で赴いたものの、バルセロナでの戦況に心動かされたオーウェルはフランコのファシズム群に対抗する一兵士として1937年1月トロツキズムの流れをくむマルクス主義統一労働者党に参加。しかし5月に重症を負い、なんとか傷が言えてバルセロナに帰還したものの、その時すでにスターリン主義者によるマルクス主義統一労働者党への弾圧が始まっており、結局パリに戻ることになります。

1939年に第二次世界大戦が勃発すると、イギリス陸軍に志願したものの不採用、民兵組織であるホームガードに軍曹として勤務。その後はBBCで東南アジア向けの宣伝番組を制作。週刊新聞「トリビューン」の文芸担当編集長に就任し、また1945年には寓話小説の『動物農場』、そして1949年には『1984年』を発表し、世俗的な名声を高めていきました。

しかし1947年には結核に罹患し、スコットランドの孤島ジュラの荒れた農場で療養の日々を送ったものの、病状が良くなることはなく、1950年1月21日にはロンドンの病院で肺動脈破裂のために死去。46歳の生涯を閉じることになります。

■ジョージ・オーウェルの作品と作風

※画像はイメージです

ジョージ・オーウェルの作品は数少ないものの、当時の政治・社会状況への鋭い洞察から執筆しており、現代においても社会問題を考える上でしばしば引用されています。こうしたオーウェルの作品執筆の基礎には、おそらく生まれ育ったインドや最初の赴任地ビルマでの経験が影響していると考えられます。

そんなジョージ・オーウェルの作品には、どのような作品が含まれているのでしょうか。主要な作品をご紹介いたします。

・『動物農場』 1945年

※画像はイメージです

本作は1945年に発表された作品で、農場の動物たちが劣悪な農場主を追い出して理想的な共和国を築こうとするものの、指導者の豚が独裁者と化し、恐怖政治へ変貌していく過程を描いた作品です。この直前オーウェルはスペイン内戦に参加しており、その際に見聞きした全体主義やスターリン主義への痛烈な批判を寓話的に描いたものと考えられています。

イギリス・ウィリンドン近くのマナー農場では、農場主のジョーン氏がアルコール中毒を患っていることもあり、農場の家畜たちは不満をため込んでいました。動物たちから尊敬されている老いた豚メージャー爺さんは夜な夜な動物たちの集会で動物の平等と自由をうたった「動物主義」を唱え、農場の動物たちもこれに賛同。まもなくメージャー爺さんが亡くなると2匹の若い豚スノーボールとナポレオンが跡を継ぎ、ジョーンズ氏を追い出すことに成功するのでした。

「動物農場」と改名し、「すべての動物は平等」と定めた7つの掟が宣言され、革命を指揮したスノーボールとナポレオンを代表に知能が高い豚たちがリーダーシップをとるようになっていったものの、徐々にナポレオンは動物農場を牛耳るようになっていきます。

・『1984年』 1949年

本作品は1949年に刊行された作品で、全体主義国家によって分割統治された近未来世界を描いた作品です。1998年にはランダム・ハウス、モダン・ライブラリーが選んだ「英語で書かれた20世紀の小説ベスト100」、2002年にはノルウェー・ブック・クラブ発表の「史上最高の文学100」に選出されるなど高い評価を受け続けており、現代においてもさまざまな分野に影響を与え続けています。

1950年に発生した核戦争を経て、1984年世界はオセアニア、ユーラシア、イースタシアの3つの超大国によって分割統治がなされていました。しかしそれは平和な時代とはいいがたく、紛争地域をめぐって絶えず戦争が繰り返されているほか、オセアニアでは思想や言語、結婚などあらゆる市民生活に統制が加えられており、市民はほぼすべての公道を行動に監視されるという生活を送っていました。

■おわりに

ジョージ・オーウェルは1903年イギリス領インド帝国のベンガルに生まれた小説家で、『動物農場』や『1984』など全体主義的なディストピアを描いたことで知られる人物です。オーウェル自身は生まれ育ったインドやビルマ時代、またスペイン内戦に参加した経験から当時の帝国主義、全体主義に鋭く切り込んでおり、作品にもその洞察が活かされています。現在においても引用されることが多いオーウェルの小説。ぜひこれを機に読んでみてはいかがでしょうか。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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