ジョセフ・ロージー:『できごと』『恋』を手掛けた映画監督

ジョセフ・ロージーは1909年1月14日アメリカ合衆国ウィスコンシン州に生まれた映画監督です。1948年にRKOからデビューし、カンヌ国際映画祭審査員特別賞を受賞した『できごと』やパルムドールを受賞した『恋』などを受賞し、アメリカを代表する映画監督の一人に数えられています。そんなジョセフ・ロージーの人生と作品について詳しく解説していきます。

■ジョセフ・ロージーとは

※ウィスコンシン州ラクロス

ジョセフ・ロージーは1909年1月14日アメリカ合衆国ウィスコンシン州ラクロスで生まれました。ラクロス中央高校卒業後、ダートマス大学とハーバード大学で医学を学んだものの、演劇に関心を持つようになり、演出家としてキャリアをはじめることになります。当初はニューヨーク市の劇場で仕事を行っていたものの評判は芳しくなく、ロシアの演劇を学ぶためにモスクワを旅行することもありました。

1948年にはRKOより映画監督としてデビュー。しかし赤狩りの影響で思ったような創作活動ができないことにいら立ちを感じるようになったロージーは、1953年イギリスに亡命。その後はイギリスを拠点にして制作を続けました。

1967年には『できごと』でカンヌ国際映画祭審査員特別賞を受賞。ついで1970年の『恋』ではパルムドールを受賞しました。また1976年の『パリの灯は遠く』ではセザール賞作品賞と監督賞を受賞し、ヨーロッパの国際的な映画賞を次々と受賞していきました。

晩年はパリ・オペラ座の依頼でムソルグスキー作曲のオペラ『ボリス・ゴドゥノフ』の演出を担当。映画以外にも活動の幅を広げていたロージーだったものの、1984年6月22日には死去。75歳の生涯を閉じることとなります。

■ジョセフ・ロージーの作品

※画像はイメージです

ジョセフ・ロージーの作品の特長は、彼の反骨精神のもと制作されている点でしょう。ロージー自身はマッカーシズムの被害者としてイギリスにわたり、そこで社会の矛盾を突くような問題作を次々と制作しました。その結末はハッピーエンドのものではなく、どちらかと言えば毒に満ちたものであるものの、見るもの現実を直視させるような力があり、それがロージー作品の魅力といえるでしょう。

そんなジョセフ・ロージーの作品には、どのような作品が含まれているのでしょうか。主要な作品についてご紹介します。

・『大いなる夜』 1951年

※画像はイメージです

本作品は1951年に制作された作品で、スタンリー・エリンの小説『断崖』を映画化した作品です。

生まれて間もなく母を亡くしたジョージは、寡黙な父アンディと親友のフラナガンの3人で暮らしていました。そんなある日アンディが経営するバーでジョージの17歳の誕生日を祝っていたものの、そこに人気コラムニストのスポーツ記者アル・ジャッジが現れ、いきなり服を抜いて四つん這いになれと命令。なぜかアンディは黙ってそれに従い、アルはアンディを滅多打ちに。あまりの出来事に激しいショックを受けたジョージは、アルへの復讐心から拳銃をもって夜の街に飛び出して行ってしまいます。

ジョージがアルのアパートに着くと、なぜかそこには父アンディの恋人の名前フランシスの名前。疑問を抱きながらフランシスの部屋に入ると、そこにはアルがおり真実を語り始めるのでした。

実はフランシスはアルの妹で、アンディから「結婚できない」と告げられて自殺していました。そのためアルはアンディに深い憎悪を抱いていたのです。ショックを受けたジョージは銃を置いてその場を後にしようとすると、アルがその銃を手に取りジョージにその銃口を向け、ふたりはもみ合いになってしまいます。そのうちアルが倒れこみ、アルを撃ち殺してしまったと思ったジョージは銃を持って逃げ出すのでした。

ジョージは家に戻ったもの、そこにはアルを撃った犯人逮捕のために警察が来ていました。アンディが身代わりとして逮捕されることになり、それに耐えきれなくなったジョージは自分を逮捕しなければ銃で自殺すると叫び、父を引き留めます。アンディはその事態を見てようやくジョージの母親はまだ生きていて子育てにつかれて駆け落ちしてしまったこと、そんな彼女を愛しているためフランシスに結婚できないと告げたのだと語り、ようやくジョージは落ち着きを取り戻すのでした。

・『呪われた者たち』 1963年

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本作品は1963年に制作された作品で、H・L・ローレンスのSF小説『The Children of Light』を映画化した作品です。ロージーがイギリスに亡命指定からハマー・フィルム・プロダクションで手掛けた作品であり、制作当時は理解が得られなかったため公開まで2年の月日を待たなくてはならなかった異色の問題作として知られています。

アメリカから観光でやってきていたサイモンは町の不良グループのリーダー、キングの妹ジョーンと親しくなったものの、キングは異常なまでにジョーンを束縛しており、キングたちから追われる身になってしまいます。追い詰められたサイモンとジョーンは崖から海に落ちたものの、崖の洞窟内にある謎めいた施設で暮らす9人の子どもたちによって助けられるのでした。

子どもたちが生まれた時から施設に閉じ込められていると知った2人は子どもたちを救い出そうとするものの、子どもたちは放射線を浴びた母体から生まれたため放射能を身体のうちに持っており、外界から隔離した状態で英才教育を受けさせていたのでした。サイモンたちは発覚を恐れた施設の軍人たちに追いつめられて抹殺され、岬には助けを求める子どもたちの声がむなしく響くのでした。

・『夕なぎ』 1968年

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本作品は1968年に制作された作品で、テネシー・ウィリアムズの戯曲『牛乳列車はもう止まらない』を映画化した作品です。

イタリアのナポリ湾に浮かぶ小さな島。フローラ・ゴーフォスはその島で隠遁生活を送り、横暴な生活を送っていました。フローラは原因不明の病気に犯されており、秘書として雇ったミス・ブラックにかつて美女としてわがもの顔でふるまっていたころの鮮やかな思い出を語るのを日課としていました。そんなフローラの元にクリス・フランダースという名の男が訪れたことにより、状況は一変していきます。

■おわりに

ジョセフ・ロージーはアメリカ合衆国ウィスコンシン州に生まれ、反骨精神をもとに作品を制作し続けた映画監督です。マッカーシズムの被害者であるのにもかかわらず、その社会を冷静に見つめ作品を制作し続けた点は、ロージーのプロフェッショナリズムの表れといえるでしょう。これを機にぜひロージー作品を鑑賞してみてはいかがでしょうか。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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