インナー・サークル:世界的ヒットを記録したジャマイカ発のレゲエ・バンド

(Public Domain/‘Trade ad for Inner Circle’s album Reggae Thing. To better adapt it to his respective Wikipedia article, the ad was cropped and cleaned in a graphics editing program. The original can be viewed at the source below.’ by Capitol Records. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

ジャマイカで結成されたレゲエ・バンドのインナー・サークル。レゲエらしいアップテンポの楽曲はバンド・サウンドの真骨頂。1994年のグラミー賞Best Reggae Album部門を受賞した名盤『Bad Boys』では、インナー・サークルの奏でる楽しげなメロディーが堪能できます。バンドはメンバー交代を重ねながらも世界的な人気を獲得。現在にいたるまで、その特徴的なメロディーは聴衆を魅了してやみません。インナー・サークルの経歴や代表作品を紹介します。

◾︎インナー・サークルとは

※ジャマイカの首都キングストン

インナー・サークルは1968年、ジャマイカの首都キングストンで結成されたレゲエ・バンドです。結成当初のメンバーはイアン・ルイスとロジャー・ルイスのルイス兄弟。演奏の舞台になったのはホテルでした。その後2人の新メンバーを迎えたバンドは大きく飛躍。1974年にメジャー・デビューを果たします。この背景にはバンド加入時にすでに“ジャマイカの天才少年シンガー”として注目を得ていたボーカル、ジェイコブ・ミラーの存在があったのだとか…。インナー・サークルの特徴的なサウンドとミラーの歌声は相乗効果を生み、聴衆の心を掴みました。

リリースする作品はヒットを記録。インナー・サークルは国内屈指のアーティストへと登り詰めます。しかし1980年、悲劇的な出来事がバンドを襲います。バンドの要であるボーカル、ジェイコブ・ミラーが突然の事故によって他界。その衝撃と悲しみはメンバーを襲い、バンドは活動休止を余儀なくされます。この大きな悲しみを乗り越え、バンドが活動を再開したのは1985年のことでした。1985年にドラムのランスロット・ホールを、1987年にボーカルのカールトン・コフィをメンバーに迎え、インナー・サークルは新しい時代の歩みを始めています。

1993年にリリースされた『Bad Boys』のヒットは、疑いなくインナー・サークルのブレイク・スルーのキッカケになりました。『Bad Boys』はアメリカのリアリティー番組『全米警察24時 コップス』の主題歌に採用され、アメリカ中の視聴者から支持を獲得。番組の最後にスタッフロールと共に流される印象的な楽曲は、誰の耳にも馴染む仕上がりでした。曲のヒットは国中を巻き込み、1994年のグラミー受賞にも繋がっています。番組は放送局を変えながら2020年まで放送を継続して愛され続け、同様にインナー・サークルの名曲も愛され続けてきました。

栄光のグラミー受賞と同年、1994年にボーカルのカールトン・コフィが病気療養のため活動を休止、翌年1995年にバンドを脱退しています。1996年にボーカルに新しくクリス・ベントレーが加入し、その後も順調な音楽活動を継続してきました。1968年の結成から現在まで、インナー・サークルの音楽活動はおよそ50年以上も継続しています。ジャマイカのレゲエの歴史に欠かせない伝説的バンドのひとつでしょう。次章でインナー・サークルの代表作を紹介します。

◾︎インナー・サークルの代表作品

メンバー交代を重ねながらも、揺るがない世界観で曲を生み出し続けてきたインナー・サークルには、ヒットを記録した名曲も多数あります。アメリカのテレビ主題歌として長年愛され続けてきた名曲『Bad Boys』、夏らしさ全開のアップ・テンポなナンバー『Sweat (A La La La La Long)』、シンガーソングライター、ジョー・サウスのカバー曲『 Games People Play』。どれもインナー・サークルの魅力が凝縮した名作です。それぞれの作品の魅力を紹介します。

・ Bad Boys(バッド・ボーイズ)

※画像はイメージです

『Bad Boys』は1987年に初めてリリースされたインナー・サークルの人気曲です。発表当初、1987年時点ではヒットとは無縁の楽曲。アルバムに収録されたものの、注目を集めることはありませんでした。そんな『 Bad Boys』は1993年再発表。同名のアルバムの表題曲として人気を獲得しました。シングルとしてもリリースされ、ビルボード・チャート最高位8位を記録しています。また、翌年1994年のグラミー受賞の栄光をもたらした立役者的な作品でもあります。

『Bad Boys』はアメリカの4大ネットワークのひとつ、FOXで放送された人気番組『全米警察24時 コップス』の主題歌に採用され、幅広い層から支持を獲得しました。『全米警察24時 コップス』はパトカーにカメラマンが同乗し、現場の臨場感をそのままに伝えるリアリティー番組で、1989年からスタートし2020年まで放送していました。エンドロールで流れるインナー・サークルの楽曲は、この番組の“締め”として愛されてきました。臨場感溢れる名曲でしょう。

・ Sweat (A La La La La Long)(スウェット)

※画像はイメージです

『Sweat (A La La La La Long)』はアルバム『Bad to the Bone』のリード・シングルとして発表されたインナー・サークル屈指の人気曲。収録アルバムの 『Bad to the Bone』は1992年にイギリスで、1993年にアメリカでタイトルを『Bad Boys』に変更して、リリースされました。2種類のアルバムは話題性もあり大ヒットを記録。世界中のチャートで1位を記録しています。

『Sweat (A La La La La Long)』は、特徴的なイントロとキャッチーなフレーズで親しみやすく、また口ずさみたくなるメロディーが最大の魅力です。ゆったりとしたアップテンポは耳馴染みもよいでしょう。特に夏には聴きたくなる名曲です。バンドの代表曲の筆頭といえます。

・ Games People Play(孤独の影)

※画像はイメージです

『Games People Play』はアメリカ合衆国を代表するシンガーソングライター、ジョー・サウスが制作した名曲です。原曲の発表は1968年。1970年のグラミー2部門受賞の快挙は当時の音楽界の話題になりました。キング・カーティスやディオンヌ・ワーウィックなど、著名なアーティストがこぞってカバー版を制作するのも納得です。現在でも評価の高い楽曲でしょう。

そんな名曲のカバーを、インナー・サークルは1994年に制作、発表しています。シングルとして発表した作品はバンド屈指のヒットを記録。インナー・サークルの名曲リストには必ず名前が挙がる存在です。リズミカルなメロディーラインで、心も身体も自然とうずくはずです。

◾︎おわりに

ジャマイカ発のレゲエ・バンド、インナー・サークルの経歴や代表作品を紹介してきました。いずれの作品にも共通するのは、リズミカルなメロディーラインと思わず口ずさみたくなるようなリリック、そして音楽を愛する楽しい雰囲気です。ぜひあなたも楽しんでみてください。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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