白血病:白血病の分類と原因、症状と治療法

白血病は血液のガンと呼ばれています。白血病で亡くなった有名人のニュースや、血液のガンと言われていることから軽い病気ではないとわかっていると思いますが、血液のガンと言われてもピンとこない人が多いと思います。白血病の概要や一般的に行われている治療法などをご紹介していきます。これを読んで白血病について少しでも知っていただけたらと思います。

白血病の分類と原因

白血病とは、なんらかの原因で骨髄の造血幹細胞に異常をきたし、貪食能のない幼若な白血球(白血病細胞)が多数出現して全身組織にいきわたってしまった病気です。
白血病が最初に報告されたのは1845年です。
1960年代に新しい抗がん剤や抗生物質が開発されるまでは、基本的に治らない病気でした。最近は、白血病に有効な薬も開発され治癒できることが多くなってきました。

白血球とは?

最初に白血球のことについて簡単に説明しておきます。
白血球は顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)、単球、リンパ球(Bリンパ球、Tリンパ球、NK細胞など)からなります。造血幹細胞が分化して骨髄系幹細胞とリンパ系幹細胞になり、骨髄系幹細胞からは顆粒球と単球、リンパ系幹細胞からは、リンパ球が作られます。

分化とは簡単に言うと、何の機能も持たないものから機能をもつものに変化することです。
白血球は、体内に入ってきた異物から体を守る役割があります。

白血病の分類

白血病は大きく分けると、慢性白血病と急性白血病に分類できます。慢性と急性と聞くと、その言葉通り緩やかに起こる白血病と、突然起こる白血病だと思う人も多いと思いますがそうではありません。
簡単に言うと、慢性白血病の白血球は見た目が正常なもの(分化障害がみられない)、急性白血病の白血球は見た目が幼若なもの(分化障害がみられる)です。


急性白血病の方が多く全体の約70%、慢性白血病は全体の約30%です。急性白血病が慢性白血病になることはありませんが、慢性白血病は急性白血病になることがあります。
さらに、骨髄性とリンパ性に分類することができます。骨髄性は上で説明した骨髄系幹細胞が白血病幹細胞になったもので、リンパ性はリンパ系幹細胞が白血病幹細胞になったものです。


まとめると、白血病は、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病の4種類に分類されます。もっと細かく分類されるのですが、ここでは割愛します。

白血病の原因

白血病の原因は、遺伝子に後天的に傷がつき白血病幹細胞になると考えられていますが、まだはっきりとはわかっていません。
遺伝子に傷がつく原因は、放射線被曝、化学物質、喫煙などが考えられますが、これもよくはわかっていません。
慢性白血病は成人T細胞白血病ウイルス由来のものもあるということはわかっています。
白血病での死亡率は、沖縄県と九州南部で非常に高くなっています。これらの地域が成人T型白血病の多発地帯であることはわかっていますが、白血病全体に対する成人T型白血病の割合は高くありません。そのため、これらの地域で白血病の死亡率が高いことが、成人T型白血病の発症率が高いからというだけではないと思われています。

白血病の症状

白血病の症状は急性白血病と慢性白血病では大きく異なっています。

急性白血病の症状

感染しやすくなる、発熱、強い貧血、出血しやすくなる、リンパ節腫脹、歯肉出血、歯肉腫脹、口内炎が治らない、食欲不振、疲労、傷や痛みが治らない、アザができやすい、骨や関節に痛みがある。
これらの症状は白血病特有の症状ではないので、これらの症状が出たからと言って白血病であるとは限りません。むしろ白血病でない場合の方が圧倒的に多いでしょう。したがって白血病の診断には、血液・骨髄検査を行って診断します。

これらの症状は風邪の症状であったり、どこかにぶつけないと出ない症状だったり、現代社会で生活していたら当たり前に感じる症状も含まれているので、これらの症状が出ても白血病だと思わない人が大半だと思います。

しかし、歯肉出血は少し違います。普段、歯磨きしていて歯周病でない人は、歯肉から出血することはあまりありません。もし出血したとしてもすぐに血は止まります。普段、歯磨きしていて出血しない人が出血し、しかもなかなか血が止まらなかったら、白血病とは限りませんが出血傾向がある何らかの病気である疑いがあります。

歯磨きは毎日するので他の症状に比べると気づきやすいといえるかもしれません。実際、歯科医院での治療中に歯科医が白血病に気づくこともあります。

慢性白血病の症状

感染しやすくなる、微熱、脾臓が腫れる、満腹感、軽い貧血
慢性白血病は自覚症状がほとんどないので気づかないことが多いです。慢性白血病から急性白血病に転化すると、症状は急性白血病の症状になります。

治療法

急性骨髄性白血病の治療

基本治療は抗がん剤治療です。まず抗がん剤で白血病細胞を大幅に減らします(寛解導入療法)。白血病細胞の減少に成功したら、少し間をおいてからもう一度抗がん剤を使用します(地固め療法)。この状態を維持するために、6-メルカプトプリンなどの抗がん剤を投与する維持療法を行うこともあります。

寛解導入療法で使用される抗がん剤は、ダウノルビシンかイダルビシンを3日間、シタラビンを1週間併用療法が一般的です。この段階でほとんどの患者(8~9割)が寛解状態になると期待できます。寛解状態とは、白血病細胞が減少しほとんど症状がみられない状態のことです。

寛解状態では、白血病細胞はほとんどありませんが、白血病幹細胞はまだ存在します。地固め療法はこの白血病幹細胞をなくすことを目的とする治療です。この時に使用する抗がん剤は、ダウノルビシンかイダルビシン、シタラビン。白血病細胞がこれらの抗がん剤に耐性を持たないように、エトポシドやビンカアルカロイドを使用したりもします。治療は約4週間ワンセットでそれを3~4回繰り返し行います。

骨髄移植や臍帯血移植は寛解状態になってから行わないと失敗する可能性が高くなります。移植による拒否反応がでることがあるので、シクロスポリンなどの免疫抑制薬が使用されます。免疫抑制薬で免疫力が低下するので術後感染症に注意しなければいけません。

補助療法

白血病の症状を抑えるためにする治療。もしくは抗がん剤の副作用に対して行う治療。
貧血に対しては赤血球輸血をします。白血球減少に対しては、G-CSFを投与し感染防止のために抗菌薬投与をします。血小板減少に対しては、血小板輸血をします。

DICを発症した場合はアンチトロンビンⅢとヘパリンを投与します。血小板、凝固因子輸注も行われます。
DICとは、播種性血管内凝固症候群のことで、何らかの原因で全身に微小血栓が生じ、その際全身の血小板と凝固因子が消費尽くされてしまい出血しやすくなり、大出血、全身臓器の循環障害をきたしたもの。

急性リンパ性白血病の治療

急性骨髄性白血病と方針は基本的に同じです。寛解導入療法、地固め療法、維持療法を行います。寛解導入療法で使用する薬は、ビンクリスチン、プレドニゾロン、ダウノルビシン、シクロホスファミド、L-アスパラギナーゼなどの併用療法が一般的です。

地固め療法で使用する薬は、メトトレキサートやシタラビン、維持療法では、メトトレキサート、メルカプトプリン、ビンクリスチン、プレドニゾロンが使用されます。
急性骨髄性白血病に比べると化学療法の感受性が低く予後不良になる場合が多いです。
そのため、寛解期に造血幹細胞移植が検討されることがあります。

慢性骨髄性白血病の治療

骨髄移植が慢性骨髄性白血病で唯一治癒が望める治療法です。そのため適合ドナーが見つかったら、第一選択となります。
インターフェロン療法はインターフェロンαの長期投与によりフィアデルフィア染色体陰性化が見られる。

フィアデルフィア染色体:慢性骨髄性白血病の95%以上に見られる染色体異常。常染色体の9番と22番が相互転座することによって生じたもの。
相互転座:2つの染色体の断片が入れ替わって付着すること。

化学療法では慢性骨髄性白血病の症状を抑えることはできるが、根治は難しいと予想されている。イマチニブ、ブスルファンなどが使用される。
対症療法については、急性骨髄性白血病と同様の治療を行います。

慢性リンパ性白血病の治療

慢性リンパ性白血病は、治療を行っても治癒することが困難な白血病です。そのため、経過を観察し、アメリカ国立がん研究所のガイドラインに沿って治療を開始しています。

  1. 著名な体重減少、倦怠感、盗汗、発熱をきたした時
  2. 重症の貧血や血小板減少を併発した時
  3. 著しい脾腫、リンパ節腫大が見られたとき
  4. 2か月で50%、あるいは半年で2倍を越える速度でリンパ球数が増加した時

このうちのどれかでもみられたときは治療を開始しています。
化学療法:抗がん剤であるフルダラビンとシクロホスファミドを併用投与します。予後は悪く根治することは難しいです。
放射線療法:大きくなった脾臓やリンパ節などの圧迫を緩和するために放射線を照射することがあります。

白血病は、約50年前は死ぬのを待つしかない病気でしたが、日々新しい治療法が開発され治せる病気になってきています。現在、再生医療を応用した白血病の治療に、期待が集まっています。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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