ミセス・パンプキン:世界の親に教科書を

ミセス・パンプキン(1947―)在日韓国人作家。日本の立命館大学法学部卒業の講演家でありエッセイストでもある。4人の子どもはそれぞれ、プライベートエクイティ・プロフェッショナル、ニューヨーク州弁護士やロンドン勤務の公認会計士、カナダの大学教員などグローバルに活躍するプロフェッショナルに成長。東洋経済オンラインでの長期にわたる人気連載「ミセス・パンプキンの人生相談室」では膨大な数の相談をこなし、さまざまな家庭の問題について洞察あふれるアドバイスを提供している。

<親の教科書>

誰にでも、『人生に影響を与えた一冊』というものがあるかもしれません。ミセス・パンプキンの著書『一流の育て方』は具体的な55の方法で子育てを助ける“親の教科書”と呼ばれ、良書であると評判です。わかりやすく、覚えやすく、思い出しやすい内容でありながら、長年にわたって幾度となく読み返すことによって、心に響く教訓を見つけさせてくれる一冊となっています。そこには親が子を助けすぎずにサポートするにはどうすればいいのか、子が自分らしさを育むためには何ができるのか、など。親が実施すべき内容がわかりやすくまとめられていました。

ミセス・パンプキンの息子は『最強の働き方』の著者であるムーギー・キムです。彼は慶應義塾大学を卒業し、経営学修士を取得後は株式の調査や投資に従事し、ベンチャー企業への投資やビジネス作家として活躍しています。

子どもは皆同じではありません。その個性を認め、伸ばし、国際社会で活躍出来るように親はたくさんの育児書を読み、学んだ知識の中から目の前の子どもに対応していかなければならないということを前提として、ミセス・パンプキンは自身の子育ての経験をもとに、現代の母親たちへエールを送っています。

<放任と放置の違い>

ミセス・パンプキンは著書の中で、子どもたちの自主性を尊重しています。子は親に無理やりやらされていると思っているうちは、何をやっても主体的に取り組まず、身につかないという論理を展開しています。親は子どもを大胆に信じ、子どもが持つ決定権を広く認めていくことこそが、何が大切で、何が好きで、何をしたいのかという子の自己認識を育むうえで非常に重要だと語っています。

どの時期からどのように子どもに決定権を持たせるべきなのか。自分で決断できる子に対してどのようにサポートすべきなのか。ミセス・パンプキンは子どもを将来リーダーシップのとれる人間に育てるためには、中学生以降は自主放任に転換することを説いています。小学生時代は親の考えで決めてきた習い事ですら、子どもが主張するのであれば子どもに任せて良いと言います。

ここで勘違いされやすいのが「放任」と「放置」の違いについてです。ミセス・パンプキンは、情報収集力や思考力が未熟な子どもに、アドバイスなしにすべてを決めさせることは不可能だと述べ、子どもと対等に話をすることの重要性についても触れています。

<世界中のガイドブックをリビングに広げておく>

ミセス・パンプキンが実施してきた画期的な子育て策をいくつか紹介したいと思います。彼女は子どもの視野を世界に広げるため、世界中のガイドブックをリビングに広げて置いておくことで自主性を育んだそうです。子どもに興味があればそれらを見るし、親が強制するのではなく、選択肢として与えたそうです。

幼少期から様々な肌の色の人々と触れ合い、様々な言語が飛び交う場に積極的に遊びに連れて行ったり旅をしたことで、子どもたちの中で多様性への概念が自然に芽生えたという経験から、ホームパーティを開いておもてなしの精神を育んだり、それらをビジネスに活かす術を示したりするなど、彼女自身が良いと思う多彩な育児論を展開しています。

<我が子の好きなことを見つけられる親は強い>

ミセス・パンプキンの素晴らしいところは、我が子を一番知る親が、我が子の自尊心を誰よりも尊重してあげようと考えていた姿勢です。彼女の論理では、我が子の得意なことや好きなことをいち早く見つけてあげられる親は強く、ミセス・パンプキンはその手立てとして、子どもが好きな本を与えてあげるということを提案しています。

自分が良いと思うものを子どもに強制するのではなく、子どもが自分で選んだ好きなものを一緒に楽しもうとする姿勢から、彼女の母親としての愛が垣間見られます。このような彼女の姿勢こそが、子どもの主体性や感性、得意なことを見つける第一歩となり、良好な親子関係と、笑顔の育児のサポートとなったのではないでしょうか。

<自発的な挑戦をする強さ>

子ども自身に自分が挑戦することの言い出しっぺになってもらい、ミスを叱らず、ミスの原因を考えさせることを実践したミセス・パンプキン。彼女は努力を惜しみませんでした。自分から勉強をするということは、子どもには難しいです。彼女は自分から勉強をしない息子を見て、自分がまずやって見せよう!と心に決め、夜な夜な中学受験の問題を解き、自分の中で消化をして子どもに教えたと言います。

多くの親が口だけで子どもを動かそうとする中で、ミセス・パンプキンは母として、さらに子どもにとっての勉強仲間としても努力を怠りませんでした。その結果、冒頭にも述べた通り彼女の息子は一流大学を卒業し、国際的に活躍されています。

<さいごに>

世界に育児で悩まない親なんていません。子どもたちとの間に信頼関係を築く努力を惜しまない姿勢こそが幸福な家族を作り上げるということを実践したミセス・パンプキン。悩める現代の母親像として失敗を乗り越えていく彼女のコラムに目を通してみると、新しい発見があると思います。

ミセス・パンプキン公式HP

<参考・紹介文献>

「最強の人生相談」「一流の育て方」

<出典>

(ダイヤモンド社)一流の育て方

(Benesse)“一流の母”ミセス・パンプキンの「ためになる後悔」とは?

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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