パルミジャニーノ:マニエリスム絵画の第一人者

(Public Domain /‘Self-portrait in a convex Mirror.’By Parmigianino.at English Wikipedia. Image via WIKIMEDIA COMMONS)
※パルミジャニーノによる『凸面鏡の自画像』

パルミジャニーノ(1503―1540)
パルミジャニーノはマニエリスムを代表するイタリアの画家です。本名はジローラモ・フランチェスコ・マリア・マッツォーラであり、『パルミジャニーノ』という名前には『パルマの人』という意味が込められています。彼は画家一家に生まれ、16歳の頃には故郷であるパルマの聖堂から祭壇画を描く依頼を受けていました。ローマやボローニャで活躍し、37歳という若さでこの世を去りました。

<マニエリスム>

マニエリスムは、16世紀後半のルネサンスとバロックの間にイタリアで登場した美術様式です。マンネリ(マンネリズム)の語源とされ、誇張された遠近感や鮮やかで冷たい色彩、大胆な人体描写が特徴の手法です。

1520年頃からミケランジェロを代表とする巨匠たちの様式『マニエラ』の模倣を目的とする芸術が出現し、芸術作品の主題となりました。後年は『マニエラ』に対し様々な再解釈が行われ、極端な強調や歪曲を行う『マニエリスム』が誕生することになります。

しかし、17世紀になると『マニエリスム』は型にはまった生気のない作品という評価を受けるようになります。この思想は19世紀まで続き、1530年頃に栄えたローマやフィレンツェにおける絵画の衰退を意味する言葉としても扱われていました。

その後、1956年にオランダのアムステルダムで開催された『ヨーロッパ・マニエリスムの勝利』などをきっかけに、『マニエリスムは抽象的な表現に見るべきものがある』として再評価されることとなりました。

<人体の歪さが物語る聖母マリアの心情>

(Public Domain /‘Madonna with the Long Neck’By Parmigianino.at English Wikipedia. Imagevia WIKIMEDIA COMMONS)
※『首の長い聖母』

パルミジャニーノによって聖母マリアがイエスキリストを抱く姿が描かれた『首の長い聖母』。非常に美しく幻想的な絵画ですが、タイトルからわかる通り聖母マリアの首が異様に長いことに気づくでしょう。またゆるやかなS字を描く聖母マリアの身体は、解剖学的に不自然な描き方をされています。しかし、あえてそう描くことで優雅さを際立たせ、その表情は非常に美しく落ち着いているように見えるのです。

一方で、イエスは赤ちゃんとしてはあまりにも大きく描かれています。活力なくだらりと下にうなだれ、今にも聖母マリアの膝から落ちてしまいそうな様相です。これは、処刑されるイエスの未来を暗示しているのではないかと言われています。絵画の右下にはローブを身にまとい巻物を掲げている1人の男性が立っていますが、この男性とマリアの距離感も不鮮明で、まるで別々の空間が同時に存在しているかのような描き方をされています。統一性のない空間表現こそが幻想的なマニエリスムであり、様々な憶測を考える余地を生み出しているこの絵画の素晴らしい点です。

さらに男性のそばにある1本の円柱をよく見てみると、一本であるはずの円柱の影が複数伸びていることに気がつくでしょう。実は、この絵画は未完成だと言われています。その証拠として、男性の左足付近に描きかけの足があることや、イエスの右足の上にはまるで幽霊であるかのような天使の顔が浮かび上がっています。

(Public Domain /‘Madonna with the Long Neck’By Parmigianino.at English Wikipedia. Image via WIKIMEDIA COMMONS)
※晩年のパルミジャニーノによる『自画像』

パルミジャニーノは晩年、私生活を全て投げ打って錬金術にのめり込むようになり、最終的に絵画を描かなくなってしまいました。そのため、『首の長い聖母』は彼が亡くなるまでずっと未完成のまま仕事場に放置されていたそうです。そんな『首の長い聖母』は、現在フィレンツェのウフィツィ美術館に収蔵されています。

<おわりに>

いかがでしたか。マニエリスムを代表する画家、パルミジャニーノとその作品についてご紹介しました。彼は『凸面鏡の自画像』、『首の長い聖母』の他にも優れた絵画を多数残しており、どれも必見の絵画となっています。

出典:Wikipediaマニエリスム

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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