ジョット・ディ・ボンドーネ:ルネサンス絵画に大きな影響を及ぼした画家

(Public Domain /‘Five Famous Men’By Florentine School, Unknown Master, Italian (active late 15th century). at English Wikipedia. Image via WIKIMEDIA COMMONS)
※ジョットの肖像画

ジョット・ディ・ボンドーネ(1266―1337)
ジョットはフィレンツェ郊外の小さな村で誕生しました。1290年代にアッシジにあるサン・フランチェスコ聖堂に飾る絵画を描いたことで一躍評判が高まり、その後イタリア各地で精力的に活動した画家です。絵画の人物の表情表現がリアルなことだけでなく、その構成も後世の画家に大きな影響を及ぼす画風でした。建築にも力を発揮した彼は、晩年にフィレンツェ大聖堂の主任建築士となりましたが、設計を手掛けた鐘楼の完成を見ることは叶わず、この世を去りました。

<ルネサンス>

ルネサンスという言葉には、フランス語で〝再生〟という意味が込められています。忘れられていた古代ギリシア・ローマ文化を見直し、再びよみがえらせる運動のことを指します。人の目から見えるものをリアルかつ正確に絵画へと落とし込むところが特徴のひとつで、遠近法や明暗法といった絵画の技法もこのルネサンス期に発達しました。この時代に活躍した代表的な画家は、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロです。

(Public Domain /‘The Arrest of Christ (Kiss of Judas)’By Giotto di Bondone.at English Wikipedia. Image via WIKIMEDIA COMMONS)
※『ユダの接吻』

そんなルネサンスの初頭に初めて感情を表情に乗せ、絵画に落とし込んだのがジョット・ディ・ボンドーネです。彼は『ユダの接吻』という作品で登場人物の表情に違いをつけ、個々の表情にそれぞれの内心や感情を表現しました。裏切り者のユダの絶妙な表情と、イエスのすべてを見透かした表情に注目してほしい作品です。『ユダの接吻』は壁画であり、聖書に記されたユダとイエス・キリストの緊迫した一場面を描いています。人物はそれぞれ肉体の厚みまでリアルにふっくらと描かれており、遠近法を用いて主要な人物と脇役を区別できるような画面構成になっています。この作品は後のルネサンス絵画に大きな影響を及ぼすことになりました。

<小鳥への説教>

(Public Domain /‘Legend of St Francis, Sermon to the Birds.’By Giotto diBondone.at English Wikipedia. Image via WIKIMEDIA COMMONS)
※『小鳥への説教』

ジョットの作品は他にも『小鳥への説教』があります。この作品はアッシジにあるサン・フランチェスコ聖堂上堂内にある壁画で、『ブオン・フレスコ』という技法を用いて22羽の小鳥が聖職者の話を聞き入っている様子が描かれています。『ブオン・フレスコ』とは、壁画を描く際にその日に作業できる仕事量を計算し、その区分に対してのみ漆喰を施していく技法です。また、22という数字はキリスト教にとって特別な数字であり、神の意志が宿る数だといわれています。

<オンニサンティの聖母>

(Public Domain /‘Madonna Enthroned (Ognissanti Madonna)’By Giotto di Bondone.at English Wikipedia. Image via WIKIMEDIA COMMONS)
※『オンニサンティの聖母』

ジョットは初期のルネサンスに大きな影響を及ぼす作品を多数残しました。その内の一つが『オンニサンティの聖母』です。ジョットは絵画の中心人物であるマリアのみを大きく描きました。玉座の構図は左右対称となっていますが、下部と上部とで別視点から描かれているのではないかという説が存在しています。聖人、弟子、預言者がそれぞれ空を飛ぶことはなく、しっかりと地に足をつけ個としての存在を強調しているかのようです。

マリアは後に、イエスの死体を抱く運命にあります。ジョットが描いたマリアの黒いケープは、その観点から見ると喪服を表しているようにも見えてきます。

<まとめ>

ジョット・ディ・ボンドーネは、遠近法を用いて絵画を描く手法を世に広め、人物の表情や肉体のリアルな厚みなどを個々に描き分けた作品を数多く残すことによってルネサンス絵画に大きな影響を与えました。後にジョットの画風を真似する画家が多数輩出され、1300年代のフィレンツェから残されている美術作品には『ジョット風』という呼び名がつくことになりました。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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