ニュージーランド・テカポ:宇宙に近づく星空のドーム

「世界一」ともいわれるほどの絶景が広がる、ニュージーランド、テカポの星空。眼前に広がる満天の星の輝きは、まるで宇宙の中に放り出されたような感覚を覚えるほどだ。そんな感動的な美しい星空を求めて、ニュージーランドのテカポには世界中からたくさんの人々が訪れている。そんなテカポの魅力を、余すところなくあなたにお伝えしていこう。

星が眠る場所「テカポ」

テカポが位置するのはニュージーランドの南島です。南島最大の都市「クライストチャーチ(Christchurch)」から、車で約3時間の距離。国道沿いにポツリと現れるテカポですが、有名になる以前はドライブ中の休憩スポットとして知られていたそうです。

そんなテカポは現在「世界一美しい星空」が見られる場所として、注目を集めるようになりました。2012年には「国際ダークスカイ協会」に星空保護区として認定。保護区の中でも最高位である「ゴールドティア」を冠する場所として、その名を馳せています。

すでに世界中で「絶景」として知られるテカポ。テカポとはニュージーランドの先住民であるマオリの言葉で「星が眠る場所」を意味しています。昔からテカポは、星がひときわ美しい場所として認められていたのでしょう。世界に点在する星空の絶景スポットの中でも、屈指の場所といえます。観光シーズンともなる夏になれば、テカポ周辺の地域に観光目当ての人々が多数訪れるというのにも納得ですね。

テカポにある「テカポ湖(Lake Tekapo)」。マッケンジー盆地の北端に位置しているテカポ湖は、その圧倒的に澄み渡るミルキーブルーの水色が特徴です。湖のすぐ横には人口約300人の「テカポ湖村」があります。村にはホテルやカフェ、レストランが立ち並び、観光で来る人々の拠点として有名です。

テカポ湖村自体は小さく、村の内部に観光スポットはあまりないようです。しかしそれが逆に、テカポ湖村の魅力ともいえるでしょう。テカポ湖村は、テカポの魅力を支える「縁の下の力持ち」のような存在です。滞在時には欠かせないさまざまな情報を得られたり、ゆっくりと澄んだ空気を堪能したりするには最高の場所といえるでしょう。

テカポ湖のすぐ横にある山「マウント・ジョン(Mount  John)。標高1,031mのこの山の頂上には、天文台「マウント・ジョン天文台(Mount John University Observatory)があります。この天文台は1965年から運用が開始され、現在も星空の様子を観測しています。世界で最南端に位置する天文台ともいわれ、迫力のある円形の観測台を目にすることができます。夜はテカポの星空を鑑賞する絶好のスポット、覚えておいて損はないでしょう。

「星空のドーム」、テカポを120%楽しむ

「星が眠る場所」を意味するテカポの地。星の魅力を味わう場所ともいえるテカポの魅力は、やはりその圧倒的に美しい星空の輝きです。ここではそんなテカポの見所を、星空を中心にいくつかご紹介します。

1.眼前に広がる星空の輝き

テカポ最大の見所は「夜」。暗くなってからがテカポの真骨頂です。現在「星空保護区」に認定されているテカポの星空は、ユネスコ世界遺産への登録も検討されているそう。もし世界遺産に登録されれば、世界で初めての「星空世界遺産」となります。

徐々に暗さを増していく夜の空には、眼前全てを多い尽くすように、満点の星空が広がります。テカポの晴天率は約70%。テカポ湖村でも、星空がより美しく見えるように、照明の量を極力少なくする配慮をおこなっています。古くからテカポの地で親しまれている星空の輝きは、現地の人々の努力によって、その壮麗で鮮やかな姿を保っているのですね。

テカポの星空のハイライトは、やはりその圧倒的な規模を誇る「天の川(Milky  Way)」ではないでしょうか?無数の輝きが形成する夜空の光の帯。世界中で親しまれている天の川の、真の姿ともいえるその美しさは、テカポにきて初めて実感できるのかもしれません。それほどまでに、テカポから見える天の川の輝きは段違いに美しいものです。

他にも「南十字星(Southern Cross)」や「マゼラン雲(Magellanic Clouds)」など、宇宙が生み出す星空の芸術を、さまざま目にすることができます。星座の数も数知れず。新月であれば、月の光が届かず、ひときわ美しい星の姿を目にすることができるでしょう。CGと見紛う(みまがう)ような澄み渡る宇宙の神秘的な姿を、ぜひ心ゆくまで堪能してみてください。

2.ミルキーブルーの美しき「テカポ湖」

「テカポ湖」は南北約30km、面積は83平方km、テカポの地を象徴する美しい湖です。ミルキーブルーともいわれる、テカポ湖の水の美しさの正体は岩石の粉。氷河が削った「岩石の粉(Lock Flower)」が湖の水に混ざり込み、美しく鮮やかな水色を形成しています。水源になっているのは、北に位置するアルプス山脈。アルプス山脈から流れ出た水を「ゴッドレー川(Godley River)」が引き継ぎ、ここテカポの湖にもたらしています。テカポ湖の左手には、天文台が設置されたマウント・ジョンが、大きく存在感を放っています。

朝、昼、夜と違った表情を持つテカポ湖。朝は日の出に煌めく美しい姿を。昼は周りの自然と渾然一体となった、壮大な湖の姿を。暮れゆく夕方には、徐々に色褪せる儚げな姿を。それぞれ目にすることができます。まるで絵画のように魅せるミルキーブルーの水色と、周囲の大地のコントラスト。何度でも写真に収めたくなる絶景であることは間違いありません。テカポ湖の周囲に設置された「バウンダリー犬の像」も、隠れた撮影スポットです。ぜひ数日滞在して、テカポ湖の魅力を味わい尽くしてみてください。

3.テカポのほとりに佇む神秘的な建物「善き羊飼いの教会」

テカポ湖のほとりに、ポツンと佇む小さな教会。教会の名前は「善き羊飼いの教会(Church of The Good Shepherd)」です。建造されたのは1935年、地元の芸術家「エスター・ホープ」の下絵を元に、設計は「RSD・ハーマン」によっておこなわれました。善き羊飼いの教会は、現在ニュージーランドで最も写真に撮られている教会ともいわれています。目立った外観の派手さはなく素朴ながら、なぜか人目を引く神秘的な魅力を持つ教会。丘の上に佇むその姿に、心を奪われずにはいられないでしょう。

善き羊飼いの教会は開拓者のために作られた教会といわれ、外観には大小混じったさまざまな色の石が使われています。いたってシンプルに施された造りの数々。滑らかなアーチを描いた入口の扉、左手上部に設置された小さな鐘、無機質に教会を覆う黒塗りの屋根、どれもシンプルなものです。しかし、それゆえにでしょうか。この教会の「建物」としての完成度の高さには、ついつい目を奪われてしまいます。どの角度から写真を撮っても、絵になってしまうでしょう。

教会内部には大きな窓があり、雄大なテカポ湖を窓越しに眺めることができます。残念ながら教会内部での写真撮影は禁止されているため、絶景をフィルムに残すことはできません。しかし、教会の窓越しに見たテカポ湖の美しさは、長くあなたの心に留まることでしょう。それほどまでに、内部から見る光景は印象的です。

テカポ湖同様、時間帯によって表情を変える教会の姿も楽しみのひとつ。朝焼けに夕暮れ、そして星の輝きの元で見る善き羊飼いの教会は、素晴らしいものです。ぜひテカポ湖と、星空と、教会を一緒に収めた素敵な写真を撮ってみてください。長時間かけて撮る「タイムラプス」もオススメですよ。

テカポの星をもっと堪能するのなら現地ツアー

美しいテカポ湖、ほとりに佇む善き羊飼いの教会。それらを堪能したら、いよいよテカポの本番である夜の訪れです。夜空に広がる満点の星々の輝きに、魅了される心の準備は万全ですか?しかしその前に、ひとつの提案があります。それは「星空鑑賞ツアー」への参加です。世界でも屈指の星空を眺める機会。無数にある星たちに宿るストーリーを、名前を、関係性を知ることができたら、その輝きは何倍にもなるでしょう。

さまざまな星の解説を聴きながら満点の星空を眺めれば、その感動も一入(ひとしお)です。これまでに目にすることのなかったわずかな星の輝きにも、奥深い歴史や逸話が隠されていることもあるのです。ツアーや日程によっては、テカポに設置された天文台「マウント・ジョン」周辺で星空を楽しむこともできるでしょう。もちろんツアーに参加しなくても星空を楽しむことは可能です。しかし、またとないテカポでの星空鑑賞。ぜひ隅から隅まで堪能できるように、ツアーへの参加も含めて計画を練ってみてください。

星空の瞬きを一生の思い出に

「星の眠る場所」、テカポの星空のスケールは圧倒的です。まるで宇宙に浮遊しているかのように眼前に広がる星空の輝きを、他の場所で目にすることは難しいでしょう。テカポの星空を眺めるために、今日も世界中からたくさんの人が、この小さな土地を目指して旅に出ています。人生で一度は見てみたい絶景、あなたの人生にもぜひ「テカポの鮮やかな星空の風景」を刻み込んでいただきたいところです。

そんなテカポへのアクセスは、「クライストチャーチ国際空港(Christchurch International Airport)」から、クライストチャーチの街からは、バスでおよそ3時間の旅です。現在は星空保護区、ゆくゆくは世界初の「星空世界遺産」になる可能性を秘めたテカポの星空。忘れることのできない宇宙の絶景を、ぜひあなたのその目でご覧になってみてください。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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