エアーズロック:神秘的かつ圧倒的な一枚岩

「エアーズロック」は、世界でも最大級の一枚岩。オーストラリアが持つ世界遺産のひとつだ。その神秘的で圧倒的な迫力は、見るものの心を奪い、観光の目的地としても高い人気を誇っている。そんなエアーズロックの、真の魅力とはなんなのか?人生で一度は目にしておきたい、オーストラリアの先住民「アボリジナルピープル」の聖地の秘密に迫っていこう。

地球のヘソ「エアーズロック」

「エアーズロック(Ayers Rock)」はオーストラリアの「ノーザンテリトリー(Northern Territory)」にある世界最大級の一枚岩を指します。とはいえ、その知名度の高さとは裏腹に、実は世界一の大きさではありません。世界で一番大きい一枚岩は、同じくオーストラリアの西に位置する「マウント・オーガスタス(Mount Augustus)。エアーズロックはオーガスタスに次いで、世界第二位の大きさを誇る一枚岩です。

エアーズロックの標高は348m、周囲は約9.4kmにも及ぶ巨大な岩です。「アウトバック」と呼ばれるオーストラリアの赤く乾いた大地に、突如として現れる巨大な姿。エアーズロックの周囲には、なんとも神秘的な雰囲気が漂っています。地表から垂直に伸びる縦縞は、エアーズロック表面を覆い、他の山々とは異なった独特の景色を生み出しているのです。

そんなエアーズロックですが、正式名称は「ウルル(Uluru)」。ウルルとはオーストラリアの先住民である「アボリジナルピープル(Aboriginal people)」が使っている呼称です。固有名詞であるため、そこに深い意味はないそう。ウルルはアボリジナルピープルの間では「聖地」として崇められている場所です。エアーズロックに漂う神秘的な雰囲気は、この聖地と呼ばれる所以と、深い関係があるのかもしれませんね。

エアーズロックの歴史

「エアーズロック」という名前がつけられたのは1873年のこと。イギリスの探検家「ウィリアム・ゴス」によって発見されたエアーズロックは、当時の南オーストラリア植民地首相であった「ヘンリー・エアーズ」にちなんで、その名を冠されました。当時のアボリジナルピープルは、この事実を知る由もなかったでしょう。

そんなエアーズロックが、先住民であるアボリジナルピープルの手に返されたのは、1985年のことです。その後土地の所有権を認められたアボリジナルピープルのアナング族は、改めてオーストラリアの政府とリース契約を結び長期の間エアーズロックをオーストラリア政府に貸し出すことになりました。なんとも意外なストーリーですが、現実的にそのような仕組みになっているのです。この頃から「ウルル」の名称も一般的に使われるようになりました。

現在のエアーズロックが位置する場所には、6億年も昔に8,000m級の山々が存在していたとされています。地殻変動や、雨風の侵食を受け、エアーズロックが現在の姿になったのは約7,000万年前のこと。スケールの大きな話ではありますが、エアーズロックは太古の昔から、地球上のあらゆる変化を見続けてきたのですね。

現在圧倒的な大きさを誇るエアーズロックも、地表に現れているのは全体のうちたった5%だといいます。残りの部分は、地面の中に埋まっています。すぐ近くにある岩山で、ユネスコ世界遺産でもある「カタ・ジュタ(Kata Tjuta)」とは、地中で繋がっているともいわれているのです。

エアーズロック自体も、1987年には自然遺産に、94年に文化遺産として登録されています。植民地時代からさまざまな変遷を経て、先住民であるアボリジナルピープルの元へと戻ることになったエアーズロック(ウルル)。その長い歴史によって培われた神秘的な雰囲気は、確実に目にするものの心を奪います。人生で一度は見ておきたい絶景の上位に入ることは、間違いないでしょう。

サンセット、サンライズ、そして星空

エアーズロックに漂う神秘的な雰囲気。その存在を感じるだけでも、見に行く価値があるほどです。とはいえ、エアーズロックの美しさがさらに際立つタイミングがあることも事実。そのタイミングとは、「サンセット」と「サンライズ」そして「星空」です。

暗く静寂が流れる夜明け、遥か地平線から現れる太陽の光を受けて、徐々に赤さを増してゆくエアーズロックからは、神々しさすら感じます。日が暮れるサンセットには沈みゆく太陽を背景に、赤く燃えるような情熱的なエアーズロックの姿を目にすることができるでしょう。夜の暗闇の中に輝く満点の星空の元、鎮座する姿もとても神秘的です。

時間によってその表情を変えるエアーズロック。時には雄大に、時には情熱的に、時には静寂をたたえて、一日の中でめまぐるしいほどに姿を変えるエアーズロックの魅力は、一日かけても体感し尽くすことは難しいかもしれません。地球規模での歴史の変化を見守ってきたエアーズロック、その魅力を味わうために数日間の滞在は欠かせないといえるでしょう。

※画像は閉山以前のものです

エアーズロックの登山は可能?

現在エアーズロックの登山は禁止されています。
エアーズロックの標高は348m。決して高いものではなく、麓(ふもと)から頂上への往復所要時間はおおよそ2〜3時間。健脚であれば時間にしてもさほど長い道のりというほどではありません。しかし、登山道の最大傾斜は約46度にも及びます。
その鋭い岩肌を自身の足で踏みしめ踏破することができれば、遮るものはなにもない360度パノラマの絶景が出迎えてくれるでしょう。その感動を求め、このエアーズロック登山ツアーは観光客に大変な人気を誇っていました。
エアーズロックのあるウルル=カタジュタ国立公園は年間およそ65万人が訪れるということです。
年間で見た場合のエアーズロックの登山可能な確率は約32%程度で、気温や気候によって登山が制限されることが頻繁にありました。実際1950年代以降脱水症状や熱中症、滑落などを含めて数十人が登山中に亡くなっています。

押し寄せる大量の観光客。ホテルを取れなかった人たちが近隣でキャンプを張り、ゴミの不法投棄や落書きが繰り返されていました。この土地の所有者であるアボリジナルピープルの民族、アナングたちにとってエアーズロックは聖地であり、その山に足を踏み入れることは神聖な行為に当たるため、以前から観光客が景色を見るためだけに登山をすることを快く思っていませんでした。
国立公園への入場料の一部は彼らの収益にもなっていたため、賛否はあったようですが聖地への配慮と観光客の理解がすすみ、2019年10月26日。ウルルの所有権がアナングたちに返還されて34年目になるこの日をもってついに登山が全面的に禁止となりました。

現在は登山をすることはできませんが、エアーズロックは景観だけでも素晴らしいものであり、登れなくなったからといってその雄大さは損なわれるものではありません。
長年先住民の聖地とされてきたその崇高さに敬意を払い、時間帯によって刻一刻と変貌を遂げるその神秘的な情景を眺めることは、きっと忘れることのできないひと時としてあなたの心に焼きつくでしょう。

「Yulara」で過ごす、エアーズロックのリゾートタイム

アウトバックと呼ばれる赤土の荒野に、突如としてその姿を現すエアーズロック。そんなエアーズロックの近くには、空港が完備されています。その名も「エアーズロック空港(Ayers Rock Airport)」。オーストラリアのほぼ中心、世界の中心とも呼ばれるエアーズロックには、その場所へ行くために作られた空港があるのです。

空港から約15分。「Yulara(ユーラーラ)」はエアーズロック・リゾートとも呼ばれる、リゾート施設です。5つあるホテルはもちろん、キャンプ場にレストランやショッピングセンター、ビジターセンターまで完備した一大複合施設。もちろんお土産屋さんやカフェも豊富です。エアーズロックを眼前に望みながら過ごす時間は、至福のものとなるでしょう。

敷地内には、いくつかの展望スペースも用意されており、リゾートから約20km先に位置するエアーズロックの、圧倒的な迫力を目にすることもできます。時間によって表情を変えるエアーズロックの姿を味わうには、離れた場所から全景をみてみるのもよいでしょう。ユーラーラは長期滞在にもオススメです。快適な時間を過ごすことができますよ。

世界最大級の一枚岩「エアーズロック」の魅力

世界で二番目に大きい一枚岩である「エアーズロック」。オーストラリアの先住民であるアボリジナルピープルにとっての聖地であり、複合世界遺産でもあります。エアーズロックからは、その果てしなく長い歴史によって生まれた、神秘的な雰囲気が漂っています。赤土の大地にそびえるエアーズロックをみた瞬間から、一瞬たりとも目を離すことはできないでしょう。

周辺では、エアーズロックを楽しむためのアクティビティも充実しています。エアーズロックの周囲をトレッキングしてみたり、ラクダに乗って開拓者の気分を味わえたり、上空からヘリコプターでエアーズロックの全景を眺めてみたりと、楽しみ方も無限大です。地球の「へそ」ともいわれる雄大な姿は、ぜひあなたのその目でご覧いただきたいと思います。圧倒的なスケールを体感しに、ぜひオーストラリアへ足を運んでみてはいかがでしょうか?

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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