ロボット産業:人類との共存

ロボットとは、人間の代わりに何らかの作業を行うオートメーション装置の総称。現在では主に家庭、産業、医療、軍事などのジャンルにおける開発が革新的に進む一方2030年には5人に1人がロボットに仕事を取って代わられるとまで言われている。

■ロボットのはじまり

昨今のロボット化やオートメーション化の流れは非常に早いのと同時に、ようやく一般的にもこういった言葉たちが浸透してきたことからも、ロボットと聞くと非常に新しいテクノロジーのように感じますが、実はロボットという概念や起源となるもの自体は紀元前から存在していたといわれています。

世界初のロボットと言われているのは、古代ギリシアの科学者のヘロンが開発したおもりを利用した自走式のロボット。当時このロボットは舞台上の見世物として作られました。

また、哲学者アリストテレスは機械人形による人的労働の廃止の可能性を論じたといわれています。

そして今。2000年以上の時を経て、そんなアリストテレスの考えは大きく前進、実用化の時を迎えています。

■産業用ロボット

ロボットテクノロジーにおいて現在最も注目を浴び、また発展が著しいのは製造ラインなどで活用される産業用ロボットです。正確性、スピード、生産性が求められる製造業において、ロボットとのシナジーは非常に高くなります。

導入企業が増え始めたのが1980年代。最初は自動車メーカーなどが製造ラインで利用を始めました。そこから着実にロボットは製造業界に定着。2000年では10万台に満たなかった世界の産業用ロボットの生産台数は2017年には38万台と約4倍に。

2016年と2017年の比較でも10万台もの生産数増と、ここにきて一気にオートメーション化の波が押し寄せたといえます。

その理由のひとつがロボットの低価格化。今現在製造業に導入するロボットは、導入から5年以内に償却をできるラインの価格設定にされていることが多く、大企業のみならず中小や零細企業においてもロボット化を検討できるレベルにまでなっており、実際に推し進める企業が増加しています。

しかしその一方で、ロボットの導入を積極的に行うことによって問題も発生します。それまでロボットの代わりに働いていた労働者たちの再雇用問題です。

単純な作業であればあるほど、正確にスピーディーに動くロボットは強さを発揮します。その一方で、そういった作業に従事せざるを得ない事情のある労働者が、居場所を失ってしまうことにもつながります。

産業用ロボットの発展と共に人的労働の活かし場所も考えていかなければならない問題でしょう。

■医療用ロボット

人の命を助け、救う技術にも、ロボットは利用されています。代表的なものがアメリカのインテュイティヴ・サージカル社が開発した手術用ロボット『da vinci(ダヴィンチ)』。

内視鏡に表示される画像は10倍にも拡大されるうえに3次元で表示し、実際に作業を行う手術者はその映像を見ながら手元でロボットアームを遠隔で操作を行うことになります。

実際に手術を行うロボットアームでは1cm角よりも小さな折り鶴を折ることも可能であり、人間では決して真似のできないような細やかな作業が可能となっています。

また、そういった手術用のロボットと同じように注目を集めているのが『介護ロボット』です。福祉先進国である北欧をはじめ、特に関心を高く持っているのは、少子高齢化が国家的な問題になっている日本や、爆発的な人口増加により要介護者の増加が見込まれる中国などを中心としたアジア諸国。

日本では2025年に現在の20倍規模になることが想定されており。中国においても2030年には現在の2倍規模にまで介護ロボット市場は成長するとみられています。

■軍事用ロボット

決して好ましいことではありませんが、ロボット産業は軍事方面でも大いに発展を遂げています。今では一般にも流通するようになったドローンも、もとはと言えば軍事方面で開発、活用されているロボットでした。

こういった、ドローンの様に一般的な生活にも流用できそうな軍事用ロボット技術はほかにも多数存在します。

2005年にアメリカ合衆国が軍事用に開発した四足歩行型ロボット『ビッグドッグ(BigDog)』は、180kgの重量物を一介の燃料補給で30キロ運ぶことが可能であり、転倒しても自力で起き上がることが可能なシステムや、GPS機能を搭載し、目的地に単独で到達することが可能です。

例えばこのビッグドッグを、人が向かうには難しい災害現場への物資補給や、険しい山間に住まう人々への補給などに流用することも十分可能でしょう。

また、地雷撤去も無人で行う研究が非常に進んでいます。戦争における負の遺物として挙げられることもある『地雷』をロボットによって撤去する技術が発展すれば、現段階で危険地帯と呼ばれている土地を安全な土地へ変えることも十二分に可能でしょう。

非常に残念な面もありますが、いつの時代もテクノロジーを大きく発展させるのは、娯楽と戦争であることもまた事実ではあります。軍事面でもロボット化、無人化が進めば、その分間違いが起きてしまった際の尊い犠牲の数を減らすことが可能である、という考え方も、一部では認めざるを得ないことなのかもしれません。

■今後の焦点はロボットと人類の共存

現在のロボット産業における主役的存在は製造業、食品業などにおける『産業用ロボット』にあります。人的労働のようにバラつきがなく、また交代不要で24時間稼働可能という点は、稼働時間や生産数が売り上げに直結する業界において非常に大きな強みとなります。

また、そういった経営的な面だけでなく、ロボットには人が行うには危険な作業や、担い手がなかなかいない作業を任せといったメリットなどがあります。

ただやはりそういったメリットと共に考えていかなければならないのは、ロボットに追いやられる人間がいるという点。

冒頭でも述べたように、これからの将来「ロボットが取って代わる仕事や作業」が数多く出現する可能性も大いにあり、ロボット化によって失業してしまう人が増加する危険があるという点については、見過ごしてはならない事項といえるでしょう。

「蒸気機関発明以来の『産業革命期』」と、現在のロボット産業の発展を評する声も上がる中「人あってこそのロボット」という基本は、忘れてはならない重要な考え方でしょう。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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