チンクエテッレ:断崖にカラフルでかわいい建物

チンクエテッレは、イタリア北部の断崖絶壁に寄り添うように並ぶ5つの村の総称である。イタリア有数のリゾート地のひとつで、昔ながらのカラフルでキュートな建物が、美しい海に映える景色は壮観だ。ローマからの日帰り観光も可能で、シーズンには世界中から観光客が押し寄せている。かつて要塞都市として重要な役割も果たした歴史もあり、独特の文化と芸術が息づいている。1997年には世界文化遺産にも登録されている。

1.イタリア屈指の人気リゾート「チンクエテッレ」とは?

近年は、インスタグラムやSNSなどにも頻繁に登場し、注目を集めている、チンクエテッレ。イタリア北西部東リヴィエラの終点ラ・スペツィアの西に位置しています。また、リヴィエラの中心都市、ジェノバの東側にあるリアス式海岸の切り立つ断崖の上に、等間隔に並ぶ美しい5つの村々は、訪れる人々に癒しを与えています。

ここは厳しい自然環境で、古くから人々が自然と戦い克服しながら作り上げた漁村です。実は、イタリア語で「チンクエ=5、テッレ=土地」といい、「5つの土地」を意味しています。かつて隔絶された地であったため、独自の文化を育んできました。

ジェノバ湾に広がる紺碧の海はもちろん、コロニアルの美しい家並みや教会など、リヴィエラの雄大な自然と人々が創り上げた景観が織り成す、美しく個性的な5つの村は、誰もが一生に一度は訪れたいと思える魅力的なスポットです。

2.チンクエテッレの歴史

この地方には、旧石器時代にすでに島からわたってきた人が、洞窟で生活していました。元祖は、ヴァーラ渓谷に広がる、農業で盛んな町。人口が増えたことにより、町を後にした人々が海の断崖に寄り添うように5つ村を造ったのが始まりです。

海沿いで暮らす人々も、農業を営みました。作物を輸送するにあたり、険しい山道は不便で、次第に港が整備されるようになります。村が飛躍するのは、11世紀ごろに、要塞都市としての役割を担うようになってからです。

次第に船による輸送も、ヨーロッパや中東方面に広がっていきました。港街として栄えるにつれ、四大海洋国のひとつのジェノバと対立するようになります。12世紀後半には、戦争で負けてしまいジェノバの海洋要塞都市とされました。

約1000年という長い間海がメインの交通ルートだったチンクエテッレは、時代に取り残されたような陸の孤島となっていました。切り立った断崖の上には、7kmにもわたる石組みが残っています。また、斜面にはぶどうの段々畑が広がっており、蜂蜜のように甘い高級ワイン「シャッケートラ」の名産地として名を馳せています。これらは、ここに住む人々の気が遠くなるような努力の結晶といえるでしょう。

現在は、断崖絶壁に並ぶ色鮮やかな建物や紺碧の海と空の絶景で人気のリゾート地として、また、この地が育んだ歴史の生き証人と人々にチンクエテッレの魅力を伝えています。

3.アクセス

ミラノ中央駅からジェノバ経由の急行列車に乗り、約3時間でモンテロッソまでいけます(途中レバントまたは、ラ・スペッツィアで、普通列車に乗り換え要)。

ジェノバから急行列車に乗り、同じくレバントまたは、ラ・スペッツィアで普通列車に乗り換え、約1時間15分でモンテロッソに到着します。

チンクエテッレ周辺の、公共のトイレは有料です。レバント駅は無料なので、ここで済ましておくのも得策です(2018年現在)。

4.チンクエテッレの巡り方や注意点

・服装は動きやすいもので

服装は動きやすく、靴は履き慣れたものをおすすめします。街歩き以外の道は、歩きやすい道とはいえず岩の階段が多いです。ヒールはまず考えられません。少なくともスニーカーは必須。トレッキングコースを歩く方は、トレッキングシューズを履いて、飲み物は必ず用意してください。

・ホテル探しは困難

チンクエテッレに宿泊して、雰囲気を存分に味わいたい方は要注意。近年、B&Bホテルが増加しているものの、各村々のホテルの件数が足りないのが現状です。特に、夏場の宿泊をご希望の方は、混み合うので早めに予約を入れるのが得策です。

・大人気の絶景スポット「愛の道」は一部閉鎖中

リオマッジョーレからマナローラをつなぐ約1.1kmのトレッキングルート「愛の小道」は、土砂崩れで一部のルートが閉鎖されています。復旧は、2021年4月の予定です。
地元のカップルたちがデートコースとして使っていたほどの、ロマンティックな景色を見ることができます。現在は、マナローラ側の200mのみ、無料で散策できます。

・チンクエテッレ・カード

ハイキングコースの入場料が含まれているので、使い方によっては凄くお得です(
の利用は1回7.50ユーロ)。また、チンクエテッレは、車で回るのは不便なので、効率よく回るなら公共交通機関がおすすめです。5つの村を結ぶ列車やバスが乗り降り自由になる、チケットもあります。
カードを購入すると、ホットスポットでの無料Wi-Fi(パスワード要)が利用可能になり、公共の有料トイレも無料で使えるなどの特典もあります。

チンクエテッレ・カード(列車なし)
☆大人(12歳以上) 1日券:7.50ユーロ、2日券:14.50ユーロ
☆子供(4~12歳) 1日券:4.50ユーロ、2日券:7.20ユーロ

チンクエテッレ・列車カード(列車あり)
チンクエテッレ・カードに、列車乗り放題が付いたカードです。
☆大人(12歳以上) 1日券:16.00ユーロ、2日券:29.00ユーロ
(冬場:1日券:13.00ユーロ、2日券:23.00ユーロ)

Cinque Terre Card | Parco Nazionale delle Cinque Terre

・かなり混み合う駅の券売所

チンクエテッレのベストシーズンは、4~10月です。この時期は、もちろん駅の券売所もかなり混み合います。少しでも早く回りたい方は、チンクエテッレ・カードを買う方が賢明です。

・列車の遅れに注意!

電車は遅れることが多々あります。忙しい観光には致命的なので、早め早めの行動を。

・チンクエテッレにいく前に

チンクエテッレにいく前に、観光拠点の「ラ・スペツィア駅」に寄るのもお忘れなく。駅構内には観光案内所があり、チンクエテッレ・カードの購入もできます。また、荷物預かり所もあるので便利です。

・おすすめの観光ルート

日帰り観光なら、東から電車を乗り継ぎながら、西の村へ進むのがおすすめです。リオマッジョーレからマナローラへいき、愛の小道の開通ルートを散策。次にコルニリアへいき、ヴェルナッツァへ、その後モンテロッソを観光するのがおすすめです。帰りは、モンテロッソから船で、ラ・スペツィアまで帰れば、海からの景色も楽しめます。

リオマッジョーレやマナローラには、レストランやカフェが多いので、逆回りで回るのもいいかもしれません。

5.チンクエテッレのみどころ

ジェノバに近い方から順に5つの村の見どころをご紹介します。トレッキングの推奨ルートは、観光の王道「青の道」と、モンテロッソとコルニーニャをつなぐ道です。

〇リオマッジョーレ

リオマッジョーレは、船着き場からのドラマティックな景観が素晴らしい場所。所要時間は1時間~1時間30分くらいです。急斜面にはぶどう畑があり、まさに絶景。海辺にはアーチを描く古い建物が立ち並び、他にはない不思議な空間です。

街の上の高台に立つ、サン・ジョバンニ教会から見下ろす眺めは最高です。駅から階段を下った岩場近くから見上げれば、チンクエテッレらしい街並みを見られます。港町の風景や大きな岩に波が打ちつける光景を、ゆっくり眺めるのもおすすめです。

〇マナローラ

マナローラは、メイン通りにセンスの良い土産物店が軒を連ねる、チンクエテッレで2番目に小さな村です。展望台からの街並みの風景は、絵葉書やパンフレットに使われています。昔の漁村風景が色濃く残っており、トレッキングロードからの眺望も言葉を失うほど美しいものとなっています。

街中の灯りが輝く夜景も、チンクエテッレで一番美しいといわれています。頭上に光る星たちを見るのもお忘れなく。クリスマス時期には、「世界で一番大きなプレゼーピオ(キリスト誕生のジオラマ)」のイルミネーションが登場することで有名です。

〇コルニリア

コルニリアとは、古代ローマ時代にこの地を統治していた「ゲン・コルネリア家」から名前が付けられました。崖の上に町があり、チンクエテッレで唯一船が寄航できない場所です。切り立つ断崖は、要塞都市としての要件を十分に満たしていたことを伝えています。険しい崖には、ぶどうの段々畑が広がっており、つづら折りの海岸から眺める美しい海との絶景は必見です。

他の村より更に高台にある、チンクエテッレで一番小さな村です。村までは、337段の階段を上る必要があります。迷路のような細い路地を、ゆっくり散策するのも楽しいですよ。所要時間は約1時間。

村の入り口にある14世紀に建てられたサン・ピエトロ教会にも是非足を運んでみてください。モンテロッソ・アル・マーレに続くトレッキングルートもおすすめです。

〇ヴェルナッツァ

ヴェルナッツァは、中世の雰囲気を彷彿とさせ、夕暮れ時の景色が一番美しいとされる村です。海から見上げる街の風景もいいですが、高台からの眺めは一枚の絵のような美しさ。中世の面影を残す石畳の道を歩けば、小さな広場や教会、鐘楼などがあり、イタリアの小さな村の情緒に触れることができます。所要時間は、1時間~1時間30分ほど。

中世の城砦が残っており、11世紀に再建された塔がそびえています。湾沿いにある、13世紀のジェノバロマネスクの教会「サンタ・マルゲリータ・ディ・アンティオティア教会」も必見です。周りにはトレッキングコースもあり、高台から見下ろす風景も素晴らしいですが、時間がない方は、駅から海へと続くメイン通りを歩くだけでも十分に楽しめます。チンクエテッレで唯一防波堤があり、ここからの風景はインスタ映え間違いなしです!

〇モンテロッソ・アル・マーレ

モンテロッソ・アル・マーレは、チンクエテッレの西北端に位置する、一番大きく人口も多い村。所要時間は1時間30分~2時間です。駅の側にはチンクエテッレ唯一のビーチがあります。夏のリゾートとして整備され、シーズンには観光客が海水浴を楽しんでいます。

昔の漁村風景が目当ての方は、駅を出て左のトンネルを進んでください。細い路地が続く情緒に満ちた景観を見られます。夕暮れ時のビーチや漁村は、とってもロマンティックです。

また、チンクエテッレから一足伸ばして、同じく世界遺産の街「ポルトヴェネーレ」を観光するのもおすすめです。

〇おすすめトレッキングコース

チンクエテッレには、10以上のトレッキングコースがあります。おすすめは、約10kmの「青の小道(Sentiero Azzurro)」です。4つの区間に別れており、どのコースもそれぞれに素晴らしい絶景と歴史を垣間見ることができます。

愛の道は、一部閉鎖されていますが、マナローラからモンテロッソ・アル・マーレまでのトレッキングルートは、問題なく通れます。美しい森やぶどう畑、海岸の眺望や、石の垣根など、チンクエテッレらしい絶景が広がります。体力に自信がある方は挑戦してみてください。また、マウンテンバイクや乗馬のコースもありますよ。
参考所要時間:モンテロッソ・アル・マーレからリオマッジョーレ間の、所要時間4時間半。また、モンテロッソ・アル・マーレからポルトヴェネーレへ、尾根伝いにトレッキングするには10時間半。

〇遊覧観光

復活祭から10月下旬の間は、ラ・スペッツィアから、チンクエテッレへの集落やポルトヴェネーレまで、遊覧船が出ています。区間利用や1日乗車乗り放題、午後券や片道券、など乗車券も色々あります。
注:コルニーリハには停泊しません。
ホームページ: Navigazione Golfo dei Poeti

まとめ

いかがでしたでしょうか。一か所ここぞというところを決めてのんびり過ごすのも、2日以上かけて5つの村全てを巡るのも、遊覧船で巡るのも、チンクエテッレのおすすめ観光の方法です。フォトジェニックな写真をとって、SNSにUPしてみてはいかがでしょう。

基本情報
チンクエテッレ観光局
住所: Parcheggio Multipiano, Località Loreto, 19016 Monterosso al Mare SP
電話番号:+39 0187 819270
料金:無料
ホームページ: チンクエテッレ観光局公式サイト

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

関連記事一覧