クリストファー・ノーラン:唯一無二の世界観を持つ監督

クリストファー・ノーランは、イギリス・ロンドン出身の映画監督である。映画監督としてだけでなく、映画プロデューサーや脚本家としても活躍している人物だ。メメントやダークナイトなど、批評家からも評価される映画を世に送り出している。

<幼少期〜学生時代>

ノーランは、コピーライターをしていた父親と客室乗務員をしていた母親のもとに生まれます。生まれはロンドンですが、父親がイングランド人で母親がアメリカ人だったこともあり、イギリスとアメリカの国籍を取得しました。幼少期は、ロンドンとシカゴで過ごすことになります。
高校を卒業した後は、ロンドン大学ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンに入学しました。イギリス小説を学びつつも、短編映画の製作を始めます。

<メメントが称賛を受ける>

1998年には長編映画にも挑戦し、フォロウィングで監督を務めました。2作目の長編映画、メメントでノーランは監督と脚本を担当し、多くの称賛を受けます。メメントは2000年に公開され、ノーランの実の弟であるジョナサン・ノーランが書いた短編小説をベースに作られました。メメントはストーリーが終わりから始まりに向かうように編集されており、時系列を逆順に見ていくことになります。メメントは、アカデミー賞でオリジナル脚本賞と編集賞にノミネート。さらにゴールデングローブ賞では最優秀脚本賞にノミネートされ、インディペンデント・スピリット賞で作品賞、そしてノーラン自身も監督賞を受賞しました。この受賞により、ノーランは一躍監督として一気に飛躍したのです。

<バットマンシリーズが伝説的映画に>

メメントでの活躍が評価され、新しく制作されたバットマンシリーズの監督に抜擢されます。2005年にはシリーズ第一弾、バットマン・ビギンズが公開されました。興行収入は約3億7,200万ドルとなり、2005年の全世界興行収入ランキングで9位という結果でした、特筆すべき結果ではなかったものの、良好な興行収入を挙げたのです。批評家からは高評価を得ました。批評家の総意は、「ひどくて暗いが、エキサイティングでスマートなバットマン・ビギンズは、決定的なスーパーヒーローの本質を理解している映画です」としており、評価されたのです。映画批評サイトであるRotten Tomatoesでは、84%の支持率を獲得します。サターン賞では、バットマン・ビギンズがファンタジー映画賞を受賞しました。さらに主演を務めたクリスチャン・ベールは主演男優賞を受賞し、ノーランとデヴィッド・S・ゴイヤーは脚本賞を受賞したのです。第78回アカデミー賞の撮影賞にもノミネートされるなど、ノーランの作品は再び評価されたのでした。
2008年には続編のダークナイトが公開されます。ダークナイトは、ノーランの知名度、そして評価をさらに押し上げたのでした。批評家からは絶賛されており、先述のRotten Tomatoesでは94%という高い支持率を獲得します。興行収入でも卓越した成果を収め、オープニング興行収入は初登場で1位になりました。さまざまな記録を打ち立て、公開当時は全米歴代興行収入2位を記録します。世界興行収入でも歴代4位を記録するなど、世界的な大ヒットを記録したのです。ノーランは多くの賞を獲得しており、スクリーム賞、オースティン映画批評家協会賞、オンライン映画批評家協会賞で監督賞を獲得しました。悪役を演じたヒース・レジャーが公開前に死去したことも、大きな注目を集める理由になりました。レジャーは、第81回アカデミー賞で助演男優賞を受賞し、ダークナイトは再び注目を集め、映画史に残る存在になります。ノーランは、ダークナイトの撮影にIMAXカメラを一部のシーンで導入しました。劇映画では初めて使用されており、ノーランはこのような新しい試みにもチャレンジしています。
ノーランは再びバットマンシリーズの製作を始めます。2012年に、ダークナイト・ライジングが公開されました。このシリーズ最終章は、再び成功を収めます。オープニング3日間の興行収入は前作のダークナイトを超え、歴代3位を記録しました。世界興行収入は前作を超え、ノーランは映画史に残るシリーズを製作したのです。

Batman interrogates the Joker | The Dark Knight (YouTube)
The Dark Knight Rises – Official Trailer #3 (YouTube)

<インセプション>

これまで紹介してきた映画以外でも、ノーランは高い評価を得ています。2010年に公開した映画インセプションでは、監督、原案、製作、脚本を務めました。ノーランはインセプションの構想に約20年をかけています。構想期間中にバットマンのシリーズが成功したことになり、ノーランはインセプションをより大規模な映画にすることを目指しました。そのため、脚本の完成に8年もの時間がかかったのです。興行収入は、SF映画のなかではアバターに次ぐ史上2位のオープニング記録を達成するなど、成功を収めます。第83回アカデミー賞では、4部門で受賞しました。

<DC映画の製作>

ダークナイト・ライジングと同時期には、バットマンと同じDCコミックスが原作のスーパーマン実写映画に参加します。ノーランは監督ではなく製作として関わることになりました。これにはダークナイト・ライジングでの成功がノーランの信用を高めたため、この契約に至ります。この映画はマン・オブ・スティールと名付けられ、新しいDCコミックスのクロスオーバー映画作品、DCエクステンデッド・ユニバースの第一弾として2013年に公開されました。批評家からの評価は芳しくなかったものの、一定の評価は得ました。ノーランはこの後のDCエクステンデッド・ユニバース作品にも携わるようになります。
第二弾としてバットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生の製作が開始されるときには、ノーランは新たな契約を済ませ、製作総指揮として関わることになりました。第三弾のジャスティス・リーグでも製作総指揮として関わるなど、ノーランはDCコミックスの映画作品と深く関わるようになるのです。

『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』予告編 (YouTube)

<好きな映画>

2013年、ノーランはSight and Sound マガジンにて、好きな映画を10本紹介しています。『グリード』(1925年)、『怪人マブゼ博士』(1933年)、『アーカディン/秘密調査報告書』(1955年)、『十二人の怒れる男』(1957年)、『ジェラシー』(1980年)、『コヤニスカッツィ』(1983年)、『戦場のメリークリスマス』(1983年)、『殺し屋たちの挽歌』(1984年)、『宇宙へのフロンティア』(1989年)、『シン・レッド・ライン』(1998年)を、お気に入りの映画として挙げました。

クリストファー・ノーランについて紹介してきました。ノーランは、近年最も評価されている映画監督の一人と言えるでしょう。最近では第二次世界大戦を描くダンケルクで監督をしており、史実映画にも挑戦し成功を収めました。特にノーランが監督をしたバットマンのシリーズは、映画史に残る評価・興行収入を達成しています。ほとんどの映画監督がデジタルカメラで撮影するようになった現代にも関わらず、フィルムを使った撮影をするなど、独自のこだわりを大切にしながら、映画を製作しています。007シリーズのファンであり、今後の監督することへの意欲を示すなど、これから公開される映画でも、多くの観客を虜にしてくれるはずです。

出典:Wikipedia クリストファー・ノーラン

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

関連記事一覧