U2:その奇跡の理由と厳選3曲

『奇跡のロックバンド』と言われ、世界中にファンを持つU2。数々の賞を受賞し、グラミー賞の受賞数は「ロックバンド史上最多」と言われている。社会問題や宗教観をストレートに表現した楽曲が多く、ポストパンク世代では異彩を放つ存在。ライブの規模や動員数も世界最大のバンドであり、独創的なステージセットやパフォーマンスが毎回話題となる。2018年には経済誌『Forbes』が最も稼いだミュージシャンとして発表。

メジャーデビューからおよそ40年、現在もロックバンドの頂点に立ち続けるU2。彼らは何故『奇跡』と言われるのか?バンド結成から音楽性の特徴、厳選曲に至るまで、U2の魅力を余すことなくお伝えします。背景を知った上で聞く音楽には、一味違った楽しみがありますよ。

ロックバンドU2とは?

U2は世界的人気を誇るアイルランドのロックバンド。
メンバーは、ボーカル・ギターの「Bono(ボノ)」、ギター・ピアノ・バッキング・ボーカルの「The Edge(ジ・エッジ)」、ベースの「Adam Clayton(アダム・クレイトン)」、ドラムス・パーカッションの「Larry Mullen,Jr.(ラリー・マレン・ジュニア)」の4人編成です。

バンドの編成と結成秘話、音楽性について

・バンドの結成と名前の由来
1976年、ラリー・マレン・ジュニアが高校の掲示板にバンドメンバー募集の貼り紙をしたことで現在のメンバーが集まりました。(当初、ジ・エッジの兄であるディックを含む5人編成だったが、1978年に脱退)
ディックの脱退後『U2』というバンド名に変更していますが、名前については諸説あります。メンバーは「バンド名の候補の中で、一番マシなものを選んだ」と語っており、「無意味な言葉の解釈こそが魅力」と考えています。

・結成4年後にメジャーデビュー
『U2』として新たな一歩を踏み出した彼らは、1979年に「CBSアイルランド」と契約し、3曲入りシングル「スリー」を1000枚限定でリリース。1979年〜80年にかけてイギリスとアイルランドでツアーを行い、アイルランド・レコードの目にとまりました。
結成から4年後にメジャーデビューを果たした彼らの勢いは、当時相当なものだったでしょう。

・U2の音楽性・テーマ
社会問題や宗教をテーマにした楽曲が多いU2。4人中3人がキリスト教を信仰するクリスチャンであり(アダムは無神論者)、歌詞には関連するワードが多く出てきます。
ストレートに宗教観を表現した作品は当時珍しかったため、ポストパンク世代では一際目立つ存在でした。宗教紛争や反核運動、人権問題など扱う内容には強いメッセージ性があり、これがファンを惹きつける魅力ともいえます。

U2の歌詞のほとんどはリードボーカルであるボノによって作詞されたものであり、初期作品は特に政治や宗教に関する内容が目立ちます。しかし、バンドが成熟するにつれ、それ以外(個人的な体験など)をテーマにした歌詞も増えています。

また、U2は作品だけでなくチャリティーイベントなどの社会活動も積極的に行なっていることが有名です。 国際的な慈善活動家であるボノは過去3回も「ノーベル平和賞」の候補に選ばれるという一面も持っています。

U2が奇跡と呼ばれる理由

U2が成し遂げた3つの奇跡

1. 22作品でグラミー賞を獲得

全米レコード芸術アカデミー(NARAS)が、優れたアーティストに贈る『グラミー賞(Grammy Awards)』。U2は、「世界で最も権威ある音楽賞」と言われるこちらの賞を22作品で獲得しています。この受賞数は”ロックバンド史上最多”であり、U2が奇跡のロックバンドと言われている理由のひとつです。
1980年にデビューし、8年後の1988年に初の受賞、ノミネート作品も入れるとかなりの作品数になります。また、2005年には「ロックの殿堂入り」も果たしています。

2. 結成後一度もメンバーの入れ替えがない

バンド活動において、音楽性の違いや不仲により解散・メンバーの入れ替えは珍しくありません。しかし、U2はデビュー後一度もメンバーの脱退や入れ替えを行なっていないのです。ギタリストのジ・エッジはイギリスのタブロイド紙『The Sun』で「お互いをリスペクトしている。U2というバンドの中でこそ自分たちの力を最大限発揮できる」と語っています”個人プレーではなく全体プレーの尊重”こそが、彼らの強みであり、何十年も一緒にバンド活動をしてきた理由だと言えるでしょう。

3. コンサートの規模・動員数が世界最大級

「世界で最も良いライヴを行う25バンド 第1位」(アメリカ雑誌『スピン』より)に輝いたこともあるU2。ライブの規模や動員数、パフォーマンスの独創性が毎回話題を呼んでいます。特に2005年の『Vertigo Tour』、2011年の『U2 360° Tour』ではコンサート収益1位を記録しており、”歴史上最も成功したツアー”として認定されています。

ライブの特徴

ファンの心を鷲掴みにするライブパフォーマンス

・大迫力のLEDスクリーンで会場が一体に
U2は、ライブにおいて観客の注目を集めることを第一の目的とし、常に新しいパフォーマンス・個性的な演出を追い求めています。過去のライブで特に話題になったのは、1997年のLEDスクリーン(当時最大)を使ったPopmartツアー、そして2017年のJoshua Treeツアーでは超大型8KLEDスクリーンを使用しています。大画面ならではの圧倒的な迫力と臨場感の中、メンバーと一体になるライブでファンの心を鷲掴みにしました。

・進化し続けるライブパフォーマンス
U2のライブパフォーマンスは常に進化しており、2018年にはAR(拡張現実:コンピューターを利用し、現実風景に情報を重ねて表示する技術)を用いたことが有名です。専用のARアプリLEDスクリーンにかざすと、滝が流れたり巨大化したボノが現れたりと様々なユニークな演出が注目を集めました。今後も新たな可能性を追い求め、ファンをワクワクさせてくれるに違いありません。

U2のおすすめ曲3選

奇跡のロックバンドと呼ばれ、数々の偉業を成し遂げてきたU2。ここからは、彼らの代表作品をご紹介します。U2を初めて聴く方にもオススメの3曲を集めました。
この3曲だけでも、U2の世界にどっぷりハマることでしょう。

1. With Or Without You(1987年)
アルバム:The Joshua Tree

U2のシングルで初めてUSチャート1位に輝いた名曲です。
まるでバイオリンのような伸びが美しいインフィニットギター(ハイエンドミュージックのギターブランド)によるバッキング(伴奏)が特徴的な曲です。
”愛の矛盾や複雑さ”をテーマにした曲であり、当初その歌詞の解釈には諸説ありました。作詞したボノ本人は「ロックスター生活と普通の家庭生活の板挟みになっていた心境を表現した」と口にしています。思い描いていたロックスター生活との違いに悩みながらも、歌詞を書きながら「この2つの生活を生きることこそがアーティスト的な人生だ」と悟ったといいます。

2. I will follow(1981年)
アルバム:BOY

デビューアルバム『BOY 』の一曲目に収録されており、ポストパンク色が強い初期の代表曲です。今でもライブで演奏されることが多いこの曲はU2にとってもファンにとっても思い入れの強い曲でしょう。
「I will follow(僕はついていく)」というタイトルの解釈について、「神についていく、という決意を歌っている」「憧れのミュージシャンに対しての思いを歌っている」など当時様々な憶測が飛び交いました。
アルバムのジャケット写真が「少年」であること、またボノの母親が亡くなっていることから、「死んだ母の視点」から歌われているのでは、という説もあります。

3. Vertigo(2004年)
アルバム:How to Dismantle an Atomic Bomb

第47回グラミー賞で「最優秀ロックパフォーマンス(グループ)」「最優秀ロック・ソング」「最優秀短編ミュージックビデオ」の3部門を受賞した衝撃の名作です。
アップルの「iPod」コマーシャルソングとして使用され、メンバーそれぞれがシルエットで出演したことが話題となりました。
サビのメロディーを一緒に口ずさみたくなるような、シンプルで爽やかな曲調が魅力です。

まとめ

常に新たな可能性を求め、挑戦し続ける彼らの姿勢こそが『奇跡のロックバンド』と呼ばれる所以です。結成当初から変わらぬメンバーで作り上げる作品は、時代とともに変化しつも”彼ららしさ”を失わない魅力を持っています。今後もますます、ファンを引きつけてやまない最高のロックバンドとして進化し続けることでしょう。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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