スタンリー・キューブリック:20世紀を代表する巨匠の軌跡

スタンリー・キューブリックは、「2001年宇宙の旅」「シャイニング」など今でも名作と語り継がれている作品を世に残した映画監督。完璧主義者といわれ、20世紀を代表する映画監督の一人といえる。SF、サスペンス、戦争など、さまざまなジャンルで名作を残している。その高い芸術性と作家性は、今なお後世の映画監督たちに多大なる影響を与え続けている。

20世紀を代表する映画監督を上げろと言われたら、どんな人を思い浮かべるでしょうか。ジェームズ・キャメロン、マーティン・スコセッシ、黒澤明を思い浮かべる人もいるでしょう。その中でも、SF映画のさきがけとなるような作品を生み出し、今でも尊敬されている映画監督がいます。それが、スタンリー・キューブリックです。このページでは、彼の魅力を紹介しながら、スタンリー・キューブリックについて詳しく解説をしていきます。

1.スタンリー・キューブリックとは?

スタンリー・キューブリックは、アメリカを代表とする映画監督で、さまざまな作品を手がけました。そのストイックな映画作りへの姿勢は、「完璧主義者」と称賛されたほどです。そんなスタンリー・キューブリックの経歴について詳しく説明をしていきましょう。

1-1.生い立ち

スタンリー・キューブリックは、ニューヨーク・マンハッタンで開業医を営む両親のもとで生まれました。幼少期には、ジャズやチェスに興味を引かれ多感な時期を過ごします。その中で、彼が夢中になったのはカメラです。カメラがまだ世に浸透していなかった頃から、彼はカメラの虜になります。

1-2.カメラマンの夢を追いかけるスタンリー

スタンリーは、カメラマンになり自分の写真を世に送りだしたいと考え、雑誌「ルック」の見習いカメラマンになります。ルックでは、自分の記事を担当することもありました。このルックの中で、自分の生い立ちを綴ったフォトヒストリーが、スタンリーにとって大きな影響を与えます。

1-3.映画監督として

スタンリーは、雑誌「ルック」に見習いカメラマンとして在籍した時に、短編ドキュメンタリー映画「挙闘試合の日」を手がけます。この映画は3800ドルもの制作費がかかりました。しかし、4000ドルで売れることに成功したことで、映画監督としての道を歩み始めるようになります。

1-4.後世にも伝えられるスタンリー

映画監督の道を歩み始めたスタンリーは、SF3部作品の「博士の異常な愛情または私は如何にして心配するのをやめて水爆を愛するようになった」で世間的に認知されるようになります。

その後「2001年宇宙の旅」「シャイニング」「フルメタルジャケット」などさまざまな映画を手がけるようになります。70歳の時心臓発作で死去してしまいますが、その後も彼が脚本をてがけた「A.I」をスピルバーグが製作しました。また、スタンリーの撮影手法を参考にして映画を作る監督らの登場など、後世の映画界にも大きな影響を与えた人物でした。

また、スタンリーは、後輩の監督たちにアドバイスをすることを絶え間なくおこなっていました。ジェームズ・キャメロンが映画作りに悩んでいた時は、ロンドンの自宅に招きアドバイスをしたという逸話が伝えられています。熱心な映画作りをしてからこそ、彼を慕っていた映画監督は多くいるのです。

2.スタンリー・キューブリックのデビュー作

スタンリーの映画監督の道は、華々しいデビューではありませんでした。初めて作った長編作品は、「恐怖と欲望」という映画で、低予算で製作をしました。

この時の製作費は親族からの借り入れでまかないました。この作品で起用したスタッフは、映画経験がない人ばかり。そのため、評論家から酷評されることが予想されていましたが、ふたをあけると低予算ながらも評価は上々。ですが、映画としては成功しなかったため借金を回収することはできませんでした。

しかし、この作品は後に再評価をされ、「スタンリー・キューブリックの幻のデビュー作」ということで、2011年にニューヨークのテレビで公開されました。その後も、ブルーレイ作品としてインターネットで購入することができるように、彼のファンにとってはたまらない作品の1つといわれています。

3.キューブリックとスピルバーグ:作家性と娯楽性の塩梅

スタンリー・キューブリックを紹介する上で、欠かすことができないのが、スピルバーグとの関係性です。スタンリーとスピルバーグは、交流があり彼が死去した後は、スピルバーグが「A.I」を映画化させるなどして世間的にも注目を集めました。

3-1.スタンリーとスピルバーグの共通点

スタンリーとスピルバーグにはある共通点があります。スタンリーは、戦争からSF、娯楽、エロスまでさまざまな作品を手がけました。スピルバーグも、「E.T」のようなSF映画から、「プライベートライアン」のような戦争映画までさまざまなジャンルの作品を手がけてきました。

特定のジャンルだけでなく多くのジャンルの映画作品を手がけるという点では、2人に通じるものがあったといえるでしょう。

3-2.違い

スタンリーとスピルバーグの圧倒的な違いは作品への完璧性であるといえるのではないでしょうか。スタンリーは、自分の求めている作品を極限まで追い求めるようにしました。そのため、映画を観ている人が主人公に感情移入するのではなく、主人公を客観的に見てエンディングでどのような結末を迎えるのかを見守るというスタンスでした。

しかし、スピルバーグの作品では、主人公への感情移入ができるため、作品を客観的ではなく主体的にとらえることができます。そのため、スタンリーの映画では、娯楽性よりもメッセージが強烈な作品になっているので、スピルバーグの作品にあるようなワクワク感のある映画という作品は比較的少ないといえるでしょう。
しかし、作品を客観的に見てもらうためにストイックな映画作りをした結果、名作を多く生みだし、その作品の虜になっている人が多いことも確かなのです。

4.スタンリー・キューブリックのおすすめ作品3選

数々の作品を残してきたスタンリー・キューブリックのおすすめ作品を紹介していきましょう。

4-1.シャイニング

スティーブンキング小説をもとにした作品で、ホラー映画の中でもこの作品を名作にあげる人は少なくありません。この作品では、今では当たり前になったステディカムを採用。当時の映画技法で斬新な撮り方であると注目を集めました。

また、数々のシーンで多くのオマージュを受けるなど、さまざまな人がこの作品に多く影響を受けました。

4-2.2001年宇宙の旅

彼の代表作といって良い作品が、この作品です。月に移住するようになった人間が木星へと旅に出る作品ですが、この作品は当時のSF映画を覆すような作品になりました。この作品は、セリフや説明だけでなく、視覚で観客の意識に訴えかけるというもので、当時の手法としては斬新でした。また、電子音がSF音楽の主流であった時代に対し、クラシック音楽を多用したことでも話題になりました。物語もさることながら、斬新な手法で世間に衝撃を与えた作品です。

4-3フルメタルジャケット

ベトナム戦争をテーマにした作品で、新兵訓練から、一人前の兵士になるまでを描いた作品です。この作品で注目すべき点は、前半部分の新兵訓練の様子。訓練をよりリアルなものにするため、配役には現役の海兵隊軍曹を起用しました。この軍曹の新兵訓練は圧巻で、今でも多くのファンに語り継がれる名シーンの1つとしてあげられています。この作品はアメリカとベトナムが舞台の作品にも関わらず、撮影場所は全てイギリスで行った作品でもあります。

5.まとめ

スタンリー・キューブリックは、後世に語り継がれる20世紀を代表する映画監督です。彼の撮影技法や作品への姿勢は、今の監督たちにも多く影響を与えています。この先も、映画界のお手本として語り継がれていくでしょう。スタンリーの作品を観たことがない方は、一度観てみてはいかがでしょうか。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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