グランツーリスモ:レースゲームの新たなスタンダードを築いたシリーズ

レースゲームはゲーム黎明期からアーケードや家庭用ゲーム機、PCゲームなど様々なプラットフォームで発売されてきた人気ジャンルの1つです。
そんなレースゲームに実際に運転しているかのような挙動を取り入れ、ドライブシミュレーターというジャンルを確立したとされるのが、初代プレイステーション(PS)で発売された「グランツーリスモ」です。
この記事ではそんな「グランツーリスモ」シリーズのゲーム内容や魅力を紹介します。

「グランツーリスモ」シリーズとは?

一般的に「グランツーリスモ」とはレースにも参加できるほどの走行性能を持つ自動車の車種を指します。
このシリーズでは、そんなモータースポーツに参加する一般車を中心に様々な車種が登場するレース&ドライブシミュレーションゲームとなっています。
シリーズ一作目となる「グランツーリスモ」PS1で発売され、販売本数1,000万本以上という大ヒットを記録し初代PSの新規タイトルで最も成功した作品になりました。
その後はPS系統の機種で続編が製作され、新作のたびにビジュアルや挙動は進化し続けています。

「グランツーリスモ」シリーズのタイトル

ナンバリングタイトル

グランツーリスモ

初代PSで1997年(アメリカ・欧州は1998年)に発売。
この作品ではそれまでほとんどなかった多数の実在する車種を収録することに成功し、日本車を中心に100車種146グレードが収録されました。
コースは架空のコースが11種類。
環境マッピング(車の車体に周囲の景色を映り込ませる手法)をいち早く家庭用ゲームソフトに取り入れ、車の綺麗な光沢を表現したり独自の物理エンジンを搭載したりすることで、それまでのレースゲームなどよりも本物に近い車の挙動が再現でき、実際の車の見た目や挙動にこだわった作りになっています。
実在する車にゲーム上で乗れるため、ゲーム上で自分の車や憧れの車を運転できるという単純なレースゲームとは一味違った楽しみが味わえ、普段ゲームをしない大人の男性層を取り込むことに成功した作品です。
また、これまでのレースゲームより実際に運転しているような感覚に近いゲームという一線を画したドライブシミュレーターというジャンルを確立。
初代PSの周辺機器であったネジコンに対応しており、「リッジレーサー」などと同じような操作もできるようになっていました。

グランツーリスモ2

初代PSで発売された2作目です。
登場車種は40社以上、500車種以上と一気に5倍程の数になりました。
この大幅な増加は海外車種の大幅増に加え、ラリーカー、軽自動車、過去の名車など様々な分野の車が増えたためです。
また、1作目は全て架空のコースでしたが、はじめて実在のサーキット(ラグナセカ・レースウェイ)が収録され、ダートコースも登場しています。

グランツーリスモ3 A-spec

シリーズ初のPS2作品。
搭乗車種200車種弱、コース減少など「2」に比べボリュームは少なめになりましたが、その分車やコースのグラフィック、物理エンジンの精度などは大幅に進化しています。
この作品でF1マシン(架空のもの)が初登場。
また、路面が濡れているウェット路面バージョンがあるコースも登場しました。
タイトルの「A-spec」は発売時には謎でしたが、本来は「B-specモード」を搭載する別バージョンを発売予定だったということが、「4」の発売で明らかになります。

グランツーリスモ4

PS2のナンバリング作品2作目。
登場する車種は80社の700車種以上と「2」以上のボリュームになりました。
新しい車の中には、世界初の3輪ガソリン車である「パテントモーターワーゲン」や世界初の4輪ガソリン車「ダイムラー・モーターキャリッジ」自動車初期の人気車「フォード・モデルT」など実際には古すぎて乗る機会が滅多にないクラシックカーや、ナイキとのコラボでデザインされた架空の車「ナイキ・One 2022」などが登場します。
コースは50以上あり、鈴鹿サーキットなど実在サーキットがこれまでの作品に比べて一気に増加しました。
ドライバーに指示を与えながらクルマを運転させるB-specディレクターモードがあり、これ以降「6」まではドライバーとして走るA-specモードとB-specモードが選択できるようになります。
また車を写真に収めることができるフォトモードも初めて実装されました。

グランツーリスモ5

PS3のナンバリング1作目。
新機種で初のナンバリング作品ですが、「3」と違い車種が減ることはなく、1,000車種以上と「4」を超えるボリュームになりました。
NASCARやWRC、SUPER GTのレーシングカーなどが追加されています。
コースも豊富で20ロケーション・70バリエーション以上を収録しています。
PSP版の「グランツーリスモ」と連動しており、収集した車データの引継ぎが可能なのも特徴です。
また、ナンバリング作品では初めて本格的オンライン要素がある作品で、他のプレイヤーとの対戦により賞金を獲得したり新たな要素がDLCで追加されたりと新たな楽しみが追加されています。
レースでは、初めてカーダメージが取り入れられ(「4」以前は車が壊れる表現はなかった)へこみなどクルマの見た目が変化するだけでなく、ダメージの受け方による影響を物理シミュレートによって再現さています。

グランツーリスモ6

PS3のナンバリング2作目。
1,200台以上と現在までのシリーズで最も多い車種が習得されており、コースは38ロケーション、108バリエーション。
車種やコース、それ以外の新機能などがアップデートで後に追加されています。
カメラが車へ近づくに伴い、車のモデルに使われるポリゴンが細かく分割される「適応型テッセレーション」という技術によりこれまで以上に車体が綺麗に見られるようになり、接近してもポリゴンが分からないモデルが実現しました。
コースでは変わり種として「月面」という宇宙コースが登場し、地球よりも重力が小さい環境をシミュレートした車の運転ができるようになっています。
直接のゲーム内容とは関係ありませんが、ゲーム初となるFIA(国際自動車連盟)認定を受けたタイトルになりました。

グランツーリスモ SPORT

PS4で登場した1作目。
オンライン専用タイトルとして発売され、セーブはオンラインでしかできない仕様となっています。
PS4に移行するにあたって車を全て作り直しており、発売開始時は車種が「6」に比べ激減。
その後毎月アップデートなどで車種が順調に増え、2018年12月の時点で271台まで増えています。
本作からそれまでライセンスの関係で登場しなかったポルシェ等の車種が追加されました。
上記の通り、発売前から「オンライン要素が主体でレースモードが中心」と言われていたのにも関わらず、発売後ユーザーから「オンラインの要素が少ない」という不満が噴出し、発売から僅か2カ月ほどでこれまでの「グランツーリスモモード」のような「GTリーグ」という一人プレイ中心のモードが追加されました。
そのため、現在ではオンラインレース以外にも1人でも充分遊べるゲームになっています。

その他のタイトル

  • グランツーリスモ コンセプト 2001 TOKYO(PS2)
  • グランツーリスモ4″プロローグ”版(PS2)
  • ツーリスト・トロフィー(PS2)
  • グランツーリスモHDコンセプト
  • グランツーリスモ5プロローグ(PS3)
  • グランツーリスモ(PSP)

ナンバリングタイトル以外にもリリースされている作品がありますが、その多くはナンバリングとナンバリングの間を埋めるソフトになっていることが多いです。
「グランツーリスモ」シリーズは小さい会社で開発されているため、開発に時間がかかり、発売延期になることも多いのでこれはある程度仕方ないのでしょう。
ただ、「ツーリングトロフィー」というバイクゲームやPSP版「グランツーリスモ」などナンバリング作品とは別に開発されたゲームもあります。
これ以外にもGTアカデミー(※下記参照)などに関連して、いくつか無料で期間限定ダウンロードできるなど直接配布されたソフトが存在します。

「グランツーリスモ」が誕生に至るまで

「グランツーリスモ」の生みの親は元ソニーミュージックの山内一典氏。
山内氏はソニーに入社してすぐに「グランツーリスモ」の企画書を書きましたが、メーカーとライセンス契約して実在の車をゲーム内に登場させるという内容は、当時非現実的で全く社内で受け入れられませんでした。
山内氏はそれでも社内で「なぜ作らせてくれないのか」と事あるごとに口にしており、社内で「不遜くん」と陰口を叩かれていたこともあるようです。
そのため当初は「モータートゥーン・グランプリ」という別のレースゲームを2作製作。
その実績をもとに本格的に「グランツーリスモ」の開発に乗り出します。
発売された「グランツーリスモ」は予想外の大ヒットを記録し、山内氏ら開発部は新たにソニーの子会社となるポリフォニー・デジタルを設立。
以後、20年「グランツーリスモ」シリーズをメインとするゲームソフトを開発しています。
「グランツーリスモ6」の発売時には「15年間同じチームで開発できたのはゲーム業界で他に例がない」という発言をしており、ポリフォニー・デジタルのメンバーや体制は創業時からほとんど変わっていないようです。

「グランツーリスモ」のゲーム内容

ゲームの目標と遊び方

最もメインとなるのがレーシングドライバーの生活を体験できる「グランツーリスモモード」です(シリーズによって呼び名は異なります)。
このモードでは試験を受けライセンスを取得、レースに出場し賞金を稼ぎ新しい車の購入ができるなど、チューニングやメンテナンスなどを行っていくモードで自分自身のドライブスキルを身につけると同時に、お気に入りの車やこれまで持っていた車より速い車を増やしていくことができます。
ナンバリング作品の「4」から「6」では、レーシングチームの監督となりAIドライバーに指示を出すB-Specモードが搭載され、自分で車を運転しない楽しみ方も追加、更に「5」以降は対戦・ランキングなどオンライン要素が追加され、家に居ながら世界のプレイヤーと腕を競えるようになりました。

モータースポーツや自動車産業との関わり

「グランツーリスモ」シリーズは1作目から実在する車を登場させるためにライセンス契約を結ぶなど自動車関連メーカーと関係がありました。
シリーズが進むにつれ、自動車メーカーやモータースポーツとの関係は深まり、色んな取り組みをしています。
例えばグランツーリスモ・アワード。
これは毎年11月にラスベガスで行われる自動車部品の見本市SEMAショーにおいて、出展したカスタムカーの中から山内氏らが審査し表彰するというもの。
受賞した車は「グランツーリスモ」のゲーム内に登場する特典が与えられています。
そして更に大がかりなのがGTアカデミーです。
これは「グランツーリスモ」のトッププレイヤーが本物のレーシングドライバーになれてしまうというもの。
日産とSIEが協賛している企画で、GTアカデミー優勝者は日産のレーシングチームの一員となり、国際レースを走るために必要な訓練とライセンスを取得するチャンスが与えられます。
ゲーマーからレーサーが生まれるという驚きのイベントです。

「グランツーリスモ」シリーズの魅力

好きな車でサーキットや行ったことのない場所を走れる

他のレースゲームとの一番の違いは普通に街を走っている大衆車に乗れることです。
「グランツーリスモ6」など収録車種の多い作品では、実際に自分が乗っている車がゲーム内に登場していることも多いはずです。
そんな普段自分が乗っている車で市街地コースを走ればゲーム内でドライブ気分が味わえますよ。
また、自分が憧れている車や今や乗ることが難しいオールド・カーに乗って「東京・ルート246」などを走ってみるといった楽しみ方もできます。
車がそれほど好きでなくても、日常で運転する機会がある人は楽しめるゲームだといえます。

オンライン対戦は自分と同じ実力の人と競える

オンライン対戦は昨今のゲームで当たり前のシステムです。
ただ「実力が全然違うプレイヤーと当たって何もできずに負ける」「マナーの悪いプレイヤーに当たる」などライトに遊びたいプレイヤーにとっては面白くなく感じることもありますよね。
「グランツーリスモ SPORT」はオンライン専用ですが、ライトなゲーマーも多いシリーズだけあって、オンラインのマッチングには結構気を遣われています。
DR(ドライバーレーティング)というそのドライバーの速さの基準となるランクの他に、SR(スポーツマンシップレーティング)という運転マナーの良し悪しを分ける基準がもうけられているのです。
これによって嫌がらせのように体当たりを仕掛けてくるプレイヤーはSRが低くなり、安全運転を心がけているプレイヤーとはマッチングしにくくなります。
もちろんDRもマッチングの条件なので、速さもマナーも自分に近いプレイヤーが選ばれるようになっており、不快な思いをしないよう設計されています。

プレイヤーによって色んな遊びができるシリーズ

「グランツーリスモ」シリーズはレースゲームでありますが、一方でドライブシミュレーターでもあります。
つまり、コンピュータや対人のレースで自分の速さを競うだけではなく、上記でも述べたように実際に持っている車でゲーム内ドライブをするのも「GT」シリーズのれっきとした楽しみ方の一つです。
「グランツーリスモSPORT」はレースに比重が置かれており従来のシリーズとは少し異なりますが、レース好きなら「SPORT」、ドライブシミュレーターとして遊びたい人は過去作やPS5で発売されるグランツーリスモ7がおすすめです。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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