スティーブン・スピルバーグ:世界最高のヒットメーカー

スティーブン・スピルバーグ(1946年−)はアメリカ合衆国の映画監督、映画プロデューサー。世界的なヒットメーカーとして知られる。代表作に「E.T.」、「インディ・ジョーンズ」シリーズ、「ジュラシック・パーク」など。

誰もが一度は彼の作品を観たことがあるのではないかというくらい有名なスティーブン・スピルバーグ監督。彼は監督業だけに止まらず、プロデューサーや製作総指揮なども務めます。娯楽大作を作ったかと思いきや、社会派映画まで手掛けるという幅広い作風を持ち合わせているスピルバーグ。そんな彼の生い立ちや、映画作品について書いていきたいと思います。

【映画大好き少年だったスピルバーグ】

スピルバーグは1946年、オハイオ州でウクライナ系ユダヤ人の家庭に生まれ、アリゾナ州で育ちました。ユダヤ人であったほか、ディスレクシアという学習障害の一種を患っていたため同級生より読み書きの習得速度が遅く、いじめを受けた経験もあります。また両親は離婚しており、スピルバーグ作品に離婚している家庭の子供が多いのはそのためです。

幼い頃から8ミリカメラで自主映画を製作してきたスピルバーグ。12歳で短編映画を、14歳のときには後の「プライベート・ライアン」を彷彿とさせる40分の戦争映画を製作しています。自主映画を町の映画館で有料公開したのは18歳のとき。映画一筋の青春を過ごしてきました。スタンリー・キューブリックやデヴィッド・リーン、黒澤明、アルフレッド・ヒッチコック、「ゴジラ」などさまざまな映画に影響を受けてきた彼ですが、最も彼の軸となっているのはディズニー映画でした。

17歳のときにユニバーサル・スタジオを回るツアーに参加。こっそり途中で抜けだして勝手にスタジオ内を探検するという大胆な行動を行いました。怒られるかと思いきや彼の行動をおもしろがったスタジオのスタッフと顔見知りになり、その後通行証なしでスタジオ内を出入りできるほどまでになったといいます。

大学生になると学校で映画の勉強をするかたわら、ユニバーサル・スタジオへ潜りこむようになり、空き部屋を勝手に自らのオフィスとして使用。ハリウッドに出入りするようになります。学校の狭い空間よりも現場で学ぶほうがより良いものが得られると知っていたのでしょうね。その甲斐あってか映画製作資金を提供してもらいながら最初の作品「アンブリン」を完成させ、ユニバーサルと契約するまでに漕ぎつけたのです。

その後彼は「ジョーズ」や「E.T.」、「インディ・ジョーンズ」などの娯楽作品を手掛け、監督業のみでなくプロデューサーとしても活躍します。また、ナチスによるユダヤ人大量虐殺をテーマにした「シンドラーのリスト」でアカデミー賞作品賞と監督賞を受賞。ユダヤ系のスピルバーグにとって自身のルーツを辿る作品でしたが、世間からも大きな評価を得ました。

【映画好きの次世代を支援する巨匠】

自身の作品を制作する一方でスピルバーグは映画業界の人材育成にも尽力しています。彼の名前が「製作総指揮」としてクレジットに上がるだけで観客が集まるのです。

1994年には元ディズニーの製作部門トップであるジェフリー・カッツェンバーグ、レコード会社経営者のデイヴィッド・ゲフィンとともにドリームワークスを設立。作家性を重視した映画製作やテレビ界出身監督の育成など、人材育成に力を入れています。きっとスピルバーグ自身ユニバーサル・スタジオで大人たちからいろいろな支援や技術、映画業界でのノウハウなどを学んだため、つぎは自分の番だと恩返しがしたかったのかもしれませんね。

2001年には映画に多大なる貢献をした彼の功績が称えられ、大英帝国勲章を受賞。映画界のみでなく、国家からも認められる映画監督となりました。

【E.T.】

宇宙人と子供たちとの交流を描いた家族向けファンタジー作品。
実際に映画を観たことのない人でも自転車に乗った宇宙人と少年が空を飛んでいる姿や、指先をくっつけ合っている場面は見たことがあるのではないでしょうか。

スピルバーグ作品には光を効果的に使う場面が数多く登場します。この映画でもっともよく見せたいシーンにはあえて強烈な光を使い、シルエットで演出をしていました。月をバックに自転車で飛ぶというシーンが印象的ですよね。
なお、本作のテーマは「両親の離婚」だとか。スピルバーグ自身も体験したことを作中の少年に重ねあわせ、ラストで少年がE.T.に別れを告げるシーンは両親の離婚を受け入れるメタファーだと言われています。

【「インディ・ジョーンズ」シリーズ】

スピルバーグのライバルであり友人でもある、「スター・ウォーズ」シリーズを手がけたジョージ・ルーカスと組んで製作した作品。考古学者インディ・ジョーンズの冒険活劇であり、ディズニーのアトラクションにもなっています。

「インディ・ジョーンズ最後の聖戦」では、スピルバーグが初めて劇場で観た映画「地上最大のショウ」のオマージュシーンもあり、彼の映画に対する愛情が感じられる作品です。また今作のテーマは父と息子の確執。スピルバーグ自身、両親の離婚により父親と仲違いした経験があります。“冒険を通じて父親と仲直りをする”というスピルバーグの理想も描かれているのです。

「スター・ウォーズ」を彷彿とさせる場面もあり、映画ファンを喜ばせることを忘れていません。たとえば「魔宮の伝説」では冒頭に登場するクラブの名前が“クラブ・オビワン”だったり、「クリスタル・スカルの王国」ではハリソン・フォードに「イヤな予感がする」と言わせたりもします。ジェダイの騎士であるオビ=ワン・ケノービを彷彿させる名前や、「スター・ウォーズ」で多用されるセリフの登場に思わずニヤリとしてしまいます。
映画好きのスピルバーグが“映画好きが喜ぶネタ”を見せてくれるシリーズです。

【「ジュラシック・パーク」シリーズ】

公開当初最先端のCG技術を使い、少年の夢である恐竜をスクリーンに復活させた映画です。
いまなお人気を誇るシリーズであり、「スピルバーグといえば、ジュラシック・パーク」と言う人もいるのではないでしょうか。本当にそこに存在するかのようなリアリティ溢れる恐竜たち。鳴き声は猿や鷹、ワニなどさまざまな動物の鳴き声を合成して作っています。

アクシデントにより成功しているシーンも登場するのがスピルバーグ作品の特徴で、ティラノサウルスが車の窓を突き破ったのは想定外だったとか。恐怖する俳優たちの演技はあながち嘘ではなかったみたいですね。
今作でもスピルバーグの過去のトラウマが反映されており、「ロスト・ワールド」では親と離ればなれになってしまったTレックスが登場。主要人物たちが孤独なTレックスを大事にしているさまが描かれています。

【シンドラーのリスト】

ホロコーストを題材に扱った社会派作品。全編にわたりほぼモノクロ映像で、色の代わりに光が象徴的に使われている映画です。

第二次世界大戦下のドイツを舞台に、実業家シンドラーが強制収容所送りからユダヤ人を救うというストーリー。娯楽大作を作っていた初期のスピルバーグ作品と比べるととても暗い内容となっています。

今作でスピルバーグは「血に染まった金はもらえない」と報酬を拒否。ホロコーストに関連する研究を支援するショアー記憶財団を支援しています。親族を収容所送りにされたユダヤ系アメリカ人であるスピルバーグだからこそ、撮れた作品ではないでしょうか。

子供から大人まで楽しめるエンターテイメント作品から、社会派作品までをも手がけるスピルバーグ監督。彼の映画を観て映画好きになったり、映画監督を目指したりなんていう人も多いのではないでしょうか。彼の作品はアクションやアドベンチャーに満ち溢れていても、どこかハートウォーミングな内容となっています。
少年の心を大人になったいまでも持ち続けているのが、彼がヒットメーカーであり続ける所以かもしれません。

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/スティーヴン・スピルバーグ

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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