ヒューガルデン:ビール王国ベルギーからやってきたホワイトビール

ビール王国ベルギーのビールの種類は全部で1500種類以上になるともいわれている。

そんなビールの中でも世界で人気のビールが、ホワイトビール「ヒューガルデン」。乳白色とレモンイエローの優しい色合い、爽やか且つスパイシーな飲み口、心地よい飲み口から女性を中心に世界で人気の高いビールだ。

今回は世界中で愛されるこのビールの歴史や背景、美味しい飲み方、ぴったりな料理などをご紹介しよう。

<ヒューガルデンが作られた小さな村>

ホワイトビール「ヒューガルデン」の故郷は、ブリュッセルから50kmほど離れた場所に位置するヒューガルデン村。ちょっと変わったビール名はこの村の名前に由来しています。赤レンガの家が並ぶ小さな可愛い村です。

ベルギーでは、北半分がフラマン語というオランダ語の一種、南半分がワロン語というフランス語の一種が使われており、ヒューガルデン村はフラマン語圏であるフラームス・ブラバント州に属しています。(ベルギーには一部にドイツ語圏もあります。ブリュッセルは北半分に属していますが、首都なので別カテゴリーとなりフランス語を中心とした4カ国語地域となっています)

そのため、駅やバスの表示、看板などはすべてフラマン語。フラマン語を見るのが初めての人は少々驚いてしまうかもしれません。ですが、フラマン語圏では英語はほとんどどこへ行っても通じるのでご安心を。

住宅街の周囲には、春は小麦、夏はサトウキビの畑など、のんびりとしていてのどかな村の風景が広がっています。

<醸造所ヒューガルデンを訪ねてみよう>

ヒューガルデン醸造所は、駅前のバスターミナルからJodoigne Gare行きのバスに乗って10分ほどの場所にあります。街並みと調和した赤レンガでできた3階建の建物です。到着した人はきっと「あの有名なヒューガルデンの醸造所にしては小さいな」と思うかもしれませんが、その奥には近代的な工場があります。

ヒューガルデン醸造所ではイースターや万霊祭、年始の休日や夏のバカンスなどの時期を除いて、醸造所見学を受け入れています。自由に中を見て回ることもできますが、有料のガイドツアーなら工場内の説明のほか、併設のレストランでビールの試飲も楽しむことができるので、訪問する場合はガイドツアーが行われているか確認してから出かけるといいかもしれません。
ツアーの言語はフラマン語かワロン語がベースとなっていますが、事前に人数を揃えて申し込んでおけば英語やドイツ語でのツアーも開催可能です。

試飲コーナーのカフェでの試飲は1杯となっていますが、その後食事や有料のビールを味わうことも可能。カフェは屋内席、屋外席があるので、天気が良い日はぜひ屋外席に座ってみてはいかがでしょうか。
ヒューガルデン醸造所では、通常のヒューガルデン以外にもフランボワーズが入ったヒューガルデンロゼや、赤ワイン風の味わいを持つヒューガルデン禁断の果実など数種類のビールを作っているので、カフェで飲み比べても楽しいかもしれません。

<ヒューガルデン・ホワイトビールの歴史>

ヒューガルデンのホームページによると、ホワイトビールがつくられはじめたのは1445年、15世紀の半ばとされています。

ヒューガルデンの主原料は、麦芽・ホップ・小麦。周囲では小麦が生産されていたため、材料として小麦が用いられました。作り手は、村の修道士たち。修道士たちがつくったそのホワイトビールはとても酸味が強かったので、コリアンダーとピールを加えてみたところ、酸味を弱める働きだけではなく、ビールを華やかにする役割をもたらしてくれたそうです。

なぜビールをつくったのかという疑問については、少々ベルギーの歴史や地理的環境を紐解かなければなりません。中世のヨーロッパでは、池や川があってもその水は衛生的でなく、そのまま汲んで飲むことはできませんでした。まだ紅茶やコーヒーもなく、当時のヨーロッパの人々の喉を潤したのは主にアルコール。

フランスやイタリアではワインがつくられ、ベルギーやドイツ、イギリスなどではビールがつくられました。ぶどうを栽培できる北限がフランス周辺であり、麦やホップの栽培はベルギーやドイツなどがむいていたのです。そういったことから、ベルギーでは村や町内、修道院といった生活の単位でビールがつくられることになりました。

それから時を経て20世紀初頭。ヒューガルデン村のホワイトビールは絶滅の危機にありました。この危機を救ったのがピエール・セリスという人物。村の閉鎖状態にあった醸造所を買い取り「ヒューガルデン」としてホワイトビールを復活させ、世界に広めたのです。

<ヒューガルデンの爽やかな飲み口はどこからくるのか>

もう少し深くヒューガルデンの原材料を見てみましょう。主原料は先述の通り、麦芽・ホップ・小麦。副原料はコリアンダーシード、オレンジピールなどです。

ここでは副原料のコリアンダーやオレンジピールについて注目してみましょう。ヒューガルデンにフルーティな味わいを加えている2つの材料ですが、どちらもベルギーで栽培されているものではありません。

コリアンダーは東インドの会社経由でインドから来たもの、オレンジピールはカリブ海に浮かぶオランダ領キュラソー島から来たオレンジを乾燥させたものだったようです。当時スパイスなどは高級品だったはずなので、当時のホワイトビールはちょっと高級で国際的な味わいの品だったのかもしれませんね。

そして、ヒューガルデンの味を決めるもう一つがつくり方。ヒューガルデンの製造方法は上面発酵です。この方法は、まず15度から25度ほどの温度で発酵させ、表面に浮かび上がって来た上面発酵酵母でビールをつくるというもの。上面発酵では爽やかな香りの元、エステルなども生まれるため、ビールをさらにフルーティにしてくれるのです。

<知っておきたい美味しい飲み方>

ヒューガルデンの美味しい飲み方をご存知でしょうか。
美味しく飲むために、大切にしたいことは2つ。専用のグラスを準備することと、注ぎ方に工夫をすることです。

ベルギーのビールには、それぞれ専用のグラスが準備されています。ワインを飲むとき、ボルドーワインにはボルドーワインに合う、ブルゴーニュワインならブルゴーニュに合うグラスを準備すると思います。それと同じように、ビールの個性が引きたつグラスというのがあるのです。

ヒューガルデンのグラスは広口、六角形の分厚いグラス。ほぼまっすぐな形状なのでフルーティな香りがストレートに伝わります。また、表面が分厚いことから手の温度が伝わりにくいため、ぬるくなりにくいのです。ヒューガルデンを飲むときにはぜひ、この専用グラスを手に入れていただきたいです。

次に注ぎ方。グラスに注ぐときはいきなり全部入れず、2/3ほどを泡が立たないよう優しく注ぎます。グラスを少し斜めにして、表面を沿わせるように注ぐとうまくいきます。それから残った1/3は、底から混ぜるようにボトルを振ってから注ぎます。これにより瓶の底の酵母までしっかり注ぐことができ美味しく味わうことができます。ヒューガルデンは瓶内二次発酵、酵母までしっかりと味わいましょう。

このほか夏場なら、レモンやオレンジなどを絞って入れると、より爽やかにすっきりと飲むことができます。

<ヒューガルデンにぴったりの料理は?>

ベルギー人にヒューガルデンと合う料理を尋ねると、多くの人が「フリッツ」と答えるでしょう。フリッツとはフライドポテトのこと。揚げたてのフリッツはどんなビールにもぴったりのお伴です。

ビールの特性を生かした料理としては、ムール貝の料理があげられます。ベルギーの名物料理・ムール貝料理は水で蒸したもの、ワインで蒸したもの、クリームを足して蒸したものなどがありますが、どれもヒューガルデンにぴったり。ムール貝のシーズンになると、ムール貝用の大鍋片手にヒューガルデンを飲むベルギー人の姿が見られます。

爽やかな風味から、鶏料理、魚介料理などもおすすめ。チキンを軽くソテーしたものと合わせても美味しいですし、地元の人たちがつくるようなチキンのクリーム煮にもぴったり。さっぱりとしたカルパチョや、ブイヤベースのようなスープにも合うでしょう。

<まとめ>

世界中の人たちに愛されるホワイトビール「ヒューガルデン」。爽やかながら個性的で、一度飲んだら忘れられない味わいです。ぜひその香り、味、料理との組み合わせの妙を楽しんでみてください。

参照元URL
ヒューガルデン公式HP
日本ビアジャーナリスト協会公式HP

ヒューガルデンに関する動画

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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