レインボー・ロール:世界で独自発展するSUSHI

レインボー・ロール (Rainbow roll)
アメリカで考案され、今では世界のSUSHIの定番ともなっている「カリフォルニア・ロール」に、さらにハワイの独自性が加わった巻きずし。ハワイはよく虹が出ることでも知られ、虹に見立てた「レインボー・ロール」には、カニ肉とアボカドの裏巻きの表面に赤、白、オレンジの身の刺身や緑のアボカドが巻かれており、カラフルな見た目が特徴。「ハワイのスシ」として定着しており、レストランだけでなくスーパーなどでも入手可能。

世界に広く受け入れられ、各地で独自進化を続けるSUSHI

これほどまでに広く、世界中から受け入れられ、絶大な人気を誇る料理も、そうめったにないものではないでしょうか。「SUSHI」は、いまや無国籍料理とも言えるほど、世界各地で現地の料理人によってアレンジが加えられ、独自発展を遂げつつ世界の人々に楽しまれている料理です。

昔、イギリス・ロンドンのヒースロー空港に降り立った際、「Welcome to LONDON」のサインボードの背景に、巻きずしが描かれていたことがありました。「スシってロンドン名物だったっけ?」と、若干困惑したことがあります。

アメリカ・ニューヨーカーのランチの選択肢には、ごく普通に「SUSHI」がありますし、オーガニック志向やフード・コンシャスな人々といった、食事面のアッパークラス向けの食材を扱うお店にもほぼ必ず「SUSHI」が置かれています。
またオーストラリア・メルボルンの中心部では、ファスト・フードのひとつとして地元に定着した人気のスシ・ショップがありますし、ドイツ・ライプツィヒのショッピングモールにも回転寿司のスシ・バーがしっかりとありました。

SUSHIは、いまや世界中の人々の大好物。日常にも溶け込んでいるのです。

一般的に世界で受け入れられているSUSHIの種類は二分されているように思います。巻きずしは「カリフォルニア・ロール」、握りずしは「スシ」。この2種類が、まずは世界で最も普及しているSUSHIと言えるでしょう。

カリフォルニア・ロールの誕生は

「カリフォルニア・ロール」は、アメリカで1960年代に日本食ブームが起こった際に誕生しました。マグロの刺身が手に入りづらかった現地で、手に入りやすい材料としてアボカドとカニ肉に白羽の矢が立ちました。また、海苔の真っ黒い見た目は、初めての人には驚かれて敬遠される傾向があったことから、海苔を内側に、そしてごはんを外側に巻いた「裏巻き」にすることが考案されたそうです。

流行りのスシ・バーに来てみたけれど、生の魚を食べることに抵抗がある、といった人々を中心に、「カリフォルニア・ロール」は一気に受け入れられました。その後一時、カニが獲れなくなって材料費が高騰したことで下火になったものの、1980年代に日本からアメリカに「カニカマ」が輸出されるようになってからは、再び人気が復活しています。
この、誰にでも抵抗なく食べられる、「オシャレでヘルシーなおいしいスシ」が、世界に「SUSHI」を広めることになったきっかけとも言えそうです。

サーモンの握りは生魚なのに受け入れられる理由

世界中あちこちのスーパーで、ごく普通にパック入りのSUSHIを見かけるようになりました。その中にはほぼ必ず「サーモンの握り」が入っています。生魚なのに平気なのでしょうか?
よく考えてみると、生魚を食べる習慣のない国でも、「スモーク・サーモン」だけは古くから製造され、日常の食卓でおなじみです。例えばアラスカ、スコットランド、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、フィンランド、ロシア、ポーランド、チリ、スペイン・・・etc.
だからきっと、赤身や白身の生魚のスシには抵抗があっても、オレンジ色のサーモンのスシは、どんな味がするのかある程度も予想できることもあり、抵抗なく選ばれるのでしょう。

「スシってオシャレでおいしいわよね、私もよく食べるのよ」と自慢(?)できる格好のすしネタが、世界ではサーモン、そしてカリフォルニア・ロールなのです。

ハワイで誕生した「レインボー・ロール」とは

広大な太平洋に小さな島々が点在するハワイ諸島。周りの海ではもちろん新鮮な魚介類がたくさん獲れます。生の魚もごく普通に食されています。
ハワイでは、日本人の移民が持ち込んだ伝統的な日本の寿司のネタと、カリフォルニアから渡ってきたアメリカのSUSHIが融合した、またひとつ別の発展形の独創的なSUSHIが存在します。そのSUSHIは、「レインボー・ロール」と名付けられています。

ハワイの名物のひとつ「虹」

ハワイでは、朝や夕方など、スコールが降ったあとにすぐに強い日差しが戻り、空には大きな虹がかかります。ハワイでは虹を見られる確率が高いことから、名物にもなっています。「ハワイ滞在中に虹を見ることができたら、再びハワイに訪れることができる」ジンクスもあります。そして景色としての名物だけでなく、「レインボー○○」と名付けられたカラフルな商品は、ハワイのいたるところにあります。一番有名なのは「レインボー・シェイブアイス」でしょうか。
そして「レインボー・ロール」も、カラフルな見た目と味の、とてもハワイらしい料理です。

「レインボー・ロール」のベースは「カリフォルニア・ロール」

ワイキキの日本料理レストランが考案したといわれる「レインボー・ロール」は、
巻きずし本体は「カリフォルニア・ロール」で、カニ肉またはカニカマとアボカドが巻かれた裏巻きです。
いまやハワイ全土で「ハワイのSUSHI」としてすっかり定着した理由は、次にご紹介するもう一工夫にあるでしょう。

一口ごとに異なるネタのコンビネーションが味わえる

レインボー・ロールは、巻きずし1本分で供されます。ネタは各レインボー・ロールによって異なりますが、カリフォルニア・ロールの上にマグロ、サーモン、ハマチやカンパチなどの白身、エビ、イカ、タコなどが少しずつのせられて、まさに「レインボーな色彩」で巻かれています。アボカドの鮮やかな黄緑色も効いています。まさに芸術品です。
一口分ずつカットされていて、一口ずつが異なる食材のコンビネーションで味わえることも、このSUSHIの大きな特徴です。
なお、わさびは入っていないため、食べるときにはお好みでわさび醤油をつけていただきます。

見た目が美しくて楽しい、食べておいしい、ハワイへ行ったら必ず一度は食べたい、ぜひ食べていただきたいSUSHIです。

アメリカン?アジアン?ハワイの独創的SUSHI

レインボー・ロールほど決まった作り方はなく、さまざまなレシピが存在するようですが、他にハワイのSUSHIには以下のようなものもあります。

・ドラゴン・ロールDragon Roll

こちらも裏巻きで、巻き込むネタは、ウナギのかば焼きやエビのてんぷらなどです。食感のアクセントにきゅうりも入ります。表面にはアボカドを薄くスライスしたものが巻かれ、とびこが飾られることが多いようです。添えるソースには、マヨネーズやチリソースなど混ぜたものや、かば焼きのたれのような甘辛いたれが使われます。
美しい緑色の見た目で、ハワイ産の濃厚なアボカドのおいしさを堪能できるSUSHIです。

・ボルケーノ・ロール Volcano roll

ハワイのSUSHIには、巻きずしを天ぷらにしたものもよくあります。巻かれるネタはロール次第で異なり、「ボルケーノ」とは異なる名前がついていることもあります。表面のさっくりした衣と、スシが温かいという点も不思議で、新食感体験ができます。
スパイシーなチリソースやマヨネーズソースが添えられることが多いようです。移民が多いハワイならではのアジアンSUSHIと言えるのかもしれません。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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